意外と複雑な介護タクシーの“分類学”

暮らし

Photo by Alexander Popovkin on Unsplash

分類学とは生物を分類することを目的とした分野で、広義では生物に留まらず無機物や観念にも適用されます。一方、「介護タクシー」には様々な形態があり、それによって呼び方も変わってきます。

まず介護タクシーとは、主に車いすやストレッチャーのまま乗り降りできるよう改造された車両と、それを用いた介助業務を指します。介護タクシーを運転するには介護関連の資格が必要となりますが、無資格者でも業務として出来ないというだけで似たことは可能です。無資格だと「福祉タクシー」「ケアタクシー」などと呼んで区別する場合があります。

一方で、介護タクシーはあくまでも通称に過ぎず、公的には訪問介護サービスにおける「通院等乗降介助」の一種とされています。公的に定義されていない反面、業務として運転するにはヘルパー2級などの資格が必要な、なんとも面白い形態ですね。

資格の有無によらず、こうした介助を伴うタクシーは大きく「福祉タクシー」とまとめられます。要するに、「福祉タクシー」という大分類の中に、資格が必要な「介護タクシー」「介護保険タクシー」と、資格を要さない「福祉タクシー」「ケアタクシー」という分類がある訳ですね。ただ、いずれも公的に定められた名前ではなく、その辺りで曖昧な部分は残っています。

さて、有資格者による「介護タクシー」には「介護保険タクシー」という亜種がおり、これらは保険適用の有無によって区別されます。介護保険タクシーには保険が適用される代わりに様々な制限が設けられているのが特徴です。なお、介護タクシーの料金は「運賃」「介助費」「器具レンタル費」で構成されており、このうち介助費が保険によって自己負担額1割まで抑えられます。保険の有無でどれだけ料金が変わるかはケースバイケースといえるでしょう。

介護保険タクシーには利用者や目的などに制限があります。まず対象は「要介護」であり、「要支援」では利用できません。また外出の目的も厳しく、「通院」「補助具(補聴器やメガネ等)の購入や調整」「預金の引き下ろし」「選挙投票や公的な申請」くらいに制限されています。他にも、家族の同乗が原則不可であったり、運転手が病院内まで原則付き添えなかったりといった制限があります。介助の時間や内容によって身体介護や生活援助など別のサービスとして扱われることもあり、料金計算に狂いが生じるかもしれません。

保険適用外の介護タクシーでは、介助費が全額自費になる一方で上述の制限は一切なくなります。要支援でも使えますし、通勤や買い出しや趣味にも使えますし、家族などの同乗も出来ます。ただ、運転手に介護関連の資格がないため介助に別の制限がつくケースもあります。あくまで「ケアタクシー」の範疇であって、別に脱法でやっているなどの意味ではないのですが。

介護タクシー業者が厳密には何に分類されるか、何が出来て何が出来ないのかなどは利用の前にチェックしておいた方がよさそうです。自治体でも「福祉タクシー」の大分類で検索できますし、調べる方法は幾らでもありますので、自分や家族の目的に合った業者に頼れるといいですね。利用も1回や2回では済まない筈ですし。

参考サイト

【はじめての方へ】介護タクシーの料金と利用方法について
https://kaigo.homes.co.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください