障害年金の不支給判定が急増、からの秘密裏に再判定か
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障害者の金銭面において最後の砦となるのが「障害年金」なのですが、障害者なら誰もが受けられるという訳ではありません。「障害者は働けない」という前提があるのか、働きながら受けるのは特に難しく、低収入を補う方法としては期待薄といったところです。
何より厄介なのは支給基準の不透明さです。極論、同じ障害種と程度であっても受給が通る人と通らない人に分かれ得るという訳です。受給判定において不利な要素を覆せるかどうかは、医師や社労士の手腕にもかかっています。
ただでさえ不確定要素の多い障害年金。2024年度は不支給判定が急増、つまり申請しても通らなかった人が大勢出てきました。しかも判定基準に変化はありません。審査にあたるのは日本年金機構と、担当部署である障害年金センターです。
不支給判定が急増した理由について、共同通信の取材では「判定に携わる医師の一部に“絞る”よう機構から通知が来た」「医師よりも機構の胸三寸で決まるようになった」「基準の厳しい人が新しいセンター長に就いた」という回答が出ていますが、日本年金機構はこれらの疑惑を否定しています。
中国新聞の社説では、「2024年度の不支給判定は約30,000人で、前年度の2倍以上、申請者の6人に1人が通らなかった計算になる」「新しいセンター長の意向で、ガイドラインの目安では支給対象でも事前審査で通らない人が増えた」「支給総額を一定に抑えるため厳しくしたのではないか」「そもそも書類審査では就労の困難が伝わらない」などの指摘があります。
再三の疑惑を否定していた日本年金機構と障害年金センターですが、不支給判定のうち1,000件ちょっとばかりの再判定を秘密裏にやっていたと、再び共同通信が報じました。不支給判定の増加分に比べて1,000件程度では焼け石に水でしょうけれども、再判定そのものは普段ほとんどやらない異例の措置だといいます。なお、機構側は再判定の動きについても否定しています。
年金の支給総額が膨れ上がるのを嫌って厳しくしたという考察もありますが、もしそうであるならば障害者の生活費を捻出できるのは一般就労の正規雇用しかありません。社会が障害者を本当の意味で組み込んで、納税者(タックスペイヤー)にしていこうと本気で取り組まなければ年金頼みの現状は変わらないでしょう。障害年金の判定で大騒ぎになるのは、就労の困難という形で社会が障害者を拒んでいる世相の表れともいえます。
とはいえ、正規雇用そのものが障害者にとって贅沢品のままである現状、改善へのビジョンすら見えないままです。植松聖や旧優生保護法なんかを崇める新興宗教が先に立ち上がりそうなほど、厳しい前途です。
参考サイト
障害年金判定、判断誘導の可能性 機構、医師の傾向と対策文書作成
https://nordot.app
障害年金の不支給急増 審査の透明性を高めよ
https://www.chugoku-np.co.jp
報道受け障害年金ひそかに再判定 年金機構、不支給の千件超
https://www.47news.jp