障害という漢字と難しさ

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小学校で習う漢字は計1026字ありますが、中学に上がると「この漢字は何年生で習うんだっけ?」と判然としなくなるものです。加えて中学からの漢字はすべて「常用漢字」と一括りにされており、漢検でいえば何級に相当するのかソラで答えられる人は少ないのではないでしょうか。

なお、漢検の等級は5級までが小学校、3級までが中学校、準2級が高等学校、2級が高卒以降に相当し、ここまでが「常用漢字」の範囲となります。準1級と1級は「非常用漢字」とされ、非一般のマニア向けに相当します。ただ、非常用漢字でも「杖」「狼」「絆」「嘘」など一般でも広く使われている漢字はありますし、「鬱」「俺」など常用漢字に移ったものもあります。

さてこの「障害」という2文字は、どちらも小学校で習う漢字です。厳密には「障」が6年生(漢検5級)、「害」が4年生(漢検7級)で習う漢字です。中学生以上ならほとんど読み書き出来るので、敢えてルビを打ったり平仮名にしたりすることもない筈です。

一方、漢検準1級以上に相当する漢字や読み方は、一般的でないためルビを打ったり平仮名にしたりすることが結構あります。例えば「警ら」「かん黙」「卑わい」。それぞれ「邏」「緘」「猥」と書くのですが、いずれも漢検1級相当の漢字なので、テレビではしばしば平仮名で表記されています。ちなみに、「碍」は準1級に相当し、「杖」と同じクラスにあたります。

ところが、常用外であったり難読漢字であったり、あまり一般で使われていなかったりする漢字や読み方が、そのまま使われている事例もあります。やはり文章全体を眺めた際のバランスといいますか、“美観”は捨てがたい要素ですからね。

約款(やっかん)
不特定多数との取引を高速で済ませるために予め定めておいた契約条項を約款といいます。鉄道やバス、電気やガス、保険やネット回線と様々な場面で使われますが、約款という単語自体はあまり表に出ず馴染みも薄く、読み方が検索される程です。しかし「約かん」などと表記されることはほぼありません。なぜならば、「款」が漢検準2級相当の常用漢字に入っているからです。

膾炙(かいしゃ)
「膾」は獣の生肉、「炙」はあぶり肉を指し、多くの人の舌を喜ばせるものとされています。転じて「人口に膾炙する」のように広く好評を受けている意味で使われます。膾炙はどちらも漢検1級相当ですが、同音異義語の「会社」が強すぎるせいか「かいしゃ」として表記されることはほぼありません。

我孫子(あびこ)
千葉県北西部にある市の名前、または大阪市住吉区にある地名、あるいは人の名字です。我孫子に限らず、難読とされる地名や名字といった固有名詞が平仮名にされることはほぼありません。なぜならば、よそ様の名前を勝手に書き換えるのは失礼に値するからです。漢字そのものはすべて小学校で習います。

それにしても、漢検準2級どころか1級ですら平仮名にされない単語がある一方で、7級でありながら漢字で書かれない単語もあるというのはなかなか歪(いびつ:準1級相当)なものですね。字義に囚われる視野狭き者が行動力だけ持った結果といえるでしょう。小学4年生で習う字を書かず、間抜けで醜い文字列によって表現することが「配慮」といえるのか、いま一度考え直してもらいたいですね。

参考サイト

漢字ペディア
https://www.kanjipedia.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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