心の一歩

人生の時間軸は水平だけど、私はそこを泳ぐ。 『心の一歩 』vol.4 

障害者水泳
『心の一歩 』 vol.4 <毎月30日連載>

障害者水泳というスポーツ。病気を患っていなかったら出会う事もなかったスポーツ。本格的に練習し始めて丸4年間泳ぎ込んだ。スポーツ選手としての意識が芽生えだしたけれど、進行性の難病であるが故に、技術の習得と共に身体能力は反比例して失われていく。

仕方がない。それが現実なのだから。だから、私は止めないし私は止まるつもりもない。今は次の大会に向けての泳ぐことが楽しくてたまらない。

障害者水泳を始めた頃には夢のような話でしたが、水泳を続けるうちに、いつしか私は国民体育大会への出場を目指すようになりました。国体に出場するためには県代表として選ばれなければなりません。練習を重ね、ついには2年連続出場を果たし、更には4種目で大会新記録付の金メダルを獲得することができました。

ここで言いたいことは、自慢話ではありません。脊髄小脳変性症という病気になって、病気になって良かったとは言わないが、ならなければ気がつくことは出来なかった事があり、それは、水泳だけの事ではなく、全てのことに共通していることだと思い、今のうちにそれを発信しておきたいのです。

その昔、全てにおいて中途半端で過ごしていた私は時間というものに無頓着であり、その大切さには気が付いていませんでした。大切なものは失ってから気づくとは、まさにその通りで、運動神経が破壊されていくという症状が劇的に進行を始めた時に、自分の人生の残り時間というものを意識しました。そして、その残り時間はあまりにも少なく思えたのです。時間は無限ではないことは分かっていたけれど、日々健康な時においては、人生での時間の残量を感じることは無かったです。皆さんもそうなのではないでしょうか?

私の場合は病気になることで、人生を歩むための身体機能が急速に低下を始めました。もっと長く、もっと遠くまで行きたいと思っても、それは容易ではなく、現実的に無理かな、という状況で、そうなることが私の運命、いや、宿命だったのかも知れません。

戸惑い、不安、不満、憤り等、もちろん考えだしたら沢山有りますが、そんなことを考えている場合ではなく、泳いで泳いで、沢山の人に出会い、泳いで泳いで、沢山の人と触れ合い、泳いで泳いで、自分の道を極めてみたいと思ったのです。生まれてから死ぬまでの時間は人それぞれに長い短いはあるけれど、その過程がそれぞれの人生なのならば、自分の目の前にあるその道を、長さなんか関係なく、しっかしと果てまでたどり着きたいと思ったのです。

自分の道を極めようとすれば、その過程は、記録や情報として残る場合があります。そのことは、遥か遠くにいるであろう人達と、知らず知らずに触れ合うことにも繋がっているだろうし、直接に御逢いすることができなくても、私にとってそのような触れ合いはそれだけで楽しいこと有り難いことだと思うのです。

残された人生の時間をどう過ごすか。なにをやるにも精一杯楽しむと決めました。手も足も、身体は前に進もうという意思がなければ進みません。だから私は気持ちだけは負けずに前に進み切ってやろうと思っています。


先日、千葉県の優秀スポーツ選手選ばれました。平成27年・平成28年の連続受賞です。
どこかで見てくれている人が居る、と思うことの一つです。

  • たまにサポートしてくれる後輩と。

  • 一緒に水泳に励んでいる仲間と。 (真ん中はパラリンピック日本代表選手です!)

佐久間 勇人 Powered by スマイリーエッジ

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2010年、小脳が萎縮し、伝達神経系が徐々に破壊されていく神経難病脊髄小脳変性症であることを知りました。そこから今日までは沢山の経験・後悔がありました。人と出会い、生まれた笑顔、そのありがたみを人一倍感じとり、今まで気が付かなかったようなことを学べてきたような気がします。ハンデがある。でも、それは「個性」でもある。そう思うようになった時、生き方がかわりました。そして、障がい者水泳というスポーツに出会うことが出来たのです。目標を持ち、チャレンジし、全国障害者スポーツ大会(2015わかやま大会・2016いわて大会)においては新記録を樹立しました。まだまだやりたい。まだまだチャレンジしたい。継続していくことに最大の意義があると思います。何もしないで、後悔するのではなく、「いま」できることを思いっきりやりたい。限りある時間の中で出会うべくして出会えた“こと”。体験の中で見つけた思いをお伝えしています。

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