双極スペクトラムとは?〜うつの方にも知ってほしい

unsplash-logo Markus Spiske

以前、双極性にはI型とII型があると書きましたが(「双極性障害にも種類がある〜I型・II型」)、実際にはより軽微な双極性を持つ人たちがいます(うつの方も可能性が有ります)。現在の主流である、精神障害の診断と統計マニュアル、DSMからは外れた考え方ですが、双極スペクトラム(連続体)という考え方があります。新しい考え方とされていますが、ごく昔からあった考え方が、現在見直されているといったほうが正しいでしょう。

双極性はたくさんの人が持っている

ここに一本の線があるとします。左端が単極性うつ(大うつ病)、右端が双極性障害I型とすると、その間には、程度の異なる様々な双極特性を持った病気が存在することになります。イメージ的には、線状に転々と病気があるわけではなく、わかりやすくいうとグラデーションのような感じでしょうか。この中には、即極性障害I型II型、気分循環型障害、基準内に当てはまらない特定不能な双極性障害、軽微双極性障害(明らかな躁病が見られない)などが含まれます。この線は、うつ病を元にしています。そして、うつ病にも、双極性障害と診断するほどではない、というものがあります。つまり、「躁状態にはなったことがない」といううつ病の患者も、この中に含まれる可能性があるのです。

軽躁の症状ですが、睡眠が減る、饒舌になる、疲れないなど、どれか「ひとつだけ」とれば、そこまで異常とは言えません。「正常」と軽躁病の間に明確な境界はないということです。また、診断も非常に難しいのです。また、双極性障害II型の診断基準は「4日以上高揚した状態が続く」ことですが、では3日以下の躁状態は何なのでしょうか。これも双極性障害とは診断されませんが、双極スペクトラムという考え方に基づけば、「線」上のどこかに含まれると考えることができるのです。

抗うつ剤が症状を悪化させるかも

双極性障害IIや軽微な軽躁にとって危険なのは、病気そのものが見つかりにくいだけでなく、うつと診断されてしまったときに、誤って抗うつ剤を処方されてしまうと、ラピッドサイクラー(躁うつの周期が早くなる)や混合状態(躁とうつ両方の症状が出る)の引き起こしの原因になってしまいます。そういった意味でも軽い躁状態の発見は非常に重要なのですが、DSMの基準では判断が難しいため、治療を困難なものにしています。

そういったことのないよう、正確にうつではなく双極性障害かどうかを診断してもらうためには、患者自身のヒアリングだけでなく、家族のヒアリングが有効だと思います(そもそも躁状態は把握しにくいので、双極性障害の診断に家族の協力は必須だと思います)。患者自身が饒舌な状態を当たり前だと思ってしまっていても、周りからみたら、少しおかしいなと思うかもしれないのですから。

どんな人でもみな何かを抱えているのかも知れない

どのような障害にも言えることですが、まったく同じ症状の方もいませんし、また、「自分は健康だ」と言っている人も、気づくほどでないだけで、何らかの疾患の傾向を、気づいていないだけで少しくらい持っているかも知れません。精神に限らず、人より腰の弱い人、体力のない人、鼻炎になりやすい人…いろんな人がいますよね。特にうつの増えつつある今、双極スペクトラム上の「ほんの少しだけ双極傾向がある人」はどんどん増えたり、見つかったりしているのかもと思うと、誰もが無視できない考え方なのかも知れません。

参考文献

星和書店 「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ? – ジム・フェルプス
http://www.seiwa-pb.co.jp

コウ

コウ

30代男性。10代でうつの診断をうけ、その後就職もしていたが、30歳頃に双極性障害の診断を受ける。趣味は音楽全般。

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