Johnson & Johnsonが潰瘍性大腸炎の導入療法に新たな選択肢「皮下注製剤」を提示。IL-23p19阻害薬では、「トレムフィア®」皮下注製剤が国内初かつ唯一導入療法から維持療法が可能な承認事例へ。
暮らしJohnson & Johnson(ヤンセンファーマ株式会社)は去る3月23日、潰瘍性大腸炎の治療において、IL-23p19阻害薬「トレムフィア®」が皮下投与による寛解導入療法の治療薬として新たな承認を取得したと記者向けの説明会で発表しました。皮下注製剤による潰瘍性大腸炎の導入療法と維持療法が可能な治療薬としては、日本国内で初めてかつ現状唯一の承認事例です。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は国から難病指定を受けている疾患の一つで、詳細は割愛しますが激しい下痢や腹痛や血便の症状により、頻繁な便意切迫感が生じて生活に多大な影響を及ぼします。
これにクローン病も含めた括りを「炎症性腸疾患(IBD)」と呼び、アッヴィ合同会社による「I know IBDプロジェクト」など民間の支援活動もいくつか存在しています。
潰瘍性大腸炎には原因は確立されておらず、治療は症状の出ていない状態を少しでも長く続ける方向性で進めます。症状の出ていない状態は寛解(かんかい)と呼ばれ、現在のところ根治する方法はなく寛解の状態を長く保つしかありません。
国内の患者は2025年時点で31万人いるとされ、若年層の発症が多いため国や社会にとっても機会の逸失となります。命に関わる疾患ではないため患者数は増加の傾向にあります。ただし、寛解状態を保っていれば社会生活を通常通り営むことが出来ますので、患者の生活を最終的に決めるのは周囲の理解と支援も重要といえるでしょう。

寛解導入の皮下注製剤による新たな治療
皮下注製剤とは皮膚と筋肉の間に注射する薬剤のことで、この方法自体は糖尿病患者のインスリン注射などで既に使われています。会見で話されていた承認事例というのは、あくまで潰瘍性大腸炎の寛解導入療法という分野において国内で初めてかつ唯一のIL-23p19阻害薬の皮下注製剤という意味です。点滴静注と比較しても一貫性のある効果が認められています。これは、静脈へ点滴するのが一番効くというイメージにも一石を投ずる結果となりました。皮下注製剤であれば患者は病院での滞在時間を削減でき、医師は導入療法から維持療法への移行がスムーズになり、看護師や薬剤師の業務削減になる等の強みが期待されます。どちらが優れているかではなく、同等の効果が得られるもう一つの方法として存在することに価値があるのです。
この療法は中度から重度の症状を持つ患者向けに、点滴静注と同じタイミングで選択可能なものになります。ただ、点滴に比べるとスピード面での強みはあるのかも知れません。
実際の患者の声
中学生の頃に発症したという患者さんも説明会に登壇しました。入院によって学校行事に参加できなかったこともあったそうですが、現在は会社員として社会人らしい生活を営んでいます。両親や学校も理解があり、食事への配慮や工夫(脂質や刺激物を避けるなど)が為されていたのも重要で、やはり周囲の環境に大きく左右される疾患であるといえます。しかし一生モノの難病ではあるため、確実な通院やケアの為には症状の変化を絶えずセルフチェックせねばなりません。
患者さんの立場から治療の選択肢が増えることへの感想も語られました。中学時代は「これ以外の治療法はない」とまで言われていたのが、今は治療法の選択肢が増えているということで歓迎ムードでした。
質疑応答
──治療方法の選択や根治の可能性について
「治療方法については患者さんの背景を重んじて決めてもらうようにします。血管が細いなどの事情で点滴静注が難しい患者さんもおり、何度も失敗するとそれだけで心理的負担も大きいです。そういう時には皮下注製剤がいいのではないでしょうか。逆に皮下注製剤で腹部に打つとか赤く腫れるなどが気になることもあるでしょう。そういう時は点滴静注も選べるわけです。同じ治療で二つの方法があること自体が強みではないでしょうか」
「根治に至る方法はなく、出来るのは安定した状態を長く保つことだけです。他の免疫疾患にも言えることですが、原因が分からなければ根治も予防も出来ません。それでも根治が最終的な目標であることには変わりないです」
──情報が氾濫する中で何を頼りにしたらいいですか
「色々な媒体の情報源に触れましょう。あとは信頼できる主治医と会話するのもいいですね」
──何をもって臨床寛解としていますか
「臨床試験である以上は基準スコアを定めていますが、医師の目としてはスコアではなく、その患者さんが病気になる前と同じ生活を出来て持続するかどうかが寛解の基準ではないでしょうか。本当の意味での寛解は、患者さんと直接話し合わないと決まらない部分もあり難しいです」
──他に課題はありますか
「多くの患者さんが求めているのは、もっと近くの病院にかかりつけ医が欲しいということです。今でも地域連携は進めており、一般の内科医でも扱えるようにはしつつあります。ただ、難病に理解のある開業医や総合病院は多くないので、ますます連携を強化していくのは依然課題として残っていますね。これでも昔よりは広がってきたのですけれども」
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