仮面の日々に、そっと音楽を――『オペラ座の怪人』とともに

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UnsplashAlessia Cocconiが撮影した写真

発作が続いたり、不安が強くなったりして、家の中で静かに過ごす毎日が続いています。私は知的な障害と不安症を抱えていて、外に出るのがむずかしい日も多く、誰かと会ったり話したりすることもなかなかできません。でも、心の中ではいろんなことを感じたり、考えたりしています。

そんなときに出会ったのが、『オペラ座の怪人』という物語でした。
このお話は、パリのオペラ座を舞台にした、あるひとりの男と歌姫の物語です。その男、エリックは、顔に傷を負い、仮面をつけて地下にひっそりと生きています。人に怖がられ、拒まれてしまう彼は、音楽だけを頼りに生きてきました。
でも、そんな彼にも、ひとり大切な人がいました。歌の才能を持つ若い女性、クリスティーヌです。エリックは彼女を「音楽の天使」として導き、支え、心から愛していきます。けれどその愛は、報われないものでした。

私はこのエリックに、どこか自分を重ねてしまいました。表からは見えない“生きづらさ”や、誰にもわかってもらえない気持ちを、私もずっと胸に抱えています。仮面をつけるように、心の奥を隠して過ごす毎日。でも、だからこそ、エリックの孤独や想いが、静かに心に響いてきたのです。

2004年に公開された映画版では、アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽がとても美しくて、「Music of the Night」などの曲は、今の私の気持ちにそっと寄り添ってくれました。音楽は、言葉にできない想いを、やさしく伝えてくれるのだと感じました。
エリックは、最後にすべてを手放して、クリスティーヌの幸せを願います。その姿は、哀しくもあり、でもどこか温かくもありました。愛って、こういうかたちもあるのだと教えてくれた気がします。
この物語を通して、私は少しだけ心が軽くなりました。たとえ障害があっても、うまく言葉にできなくても、ちゃんと想いはある。音楽のように、そっと誰かに届く日があるかもしれない。そう思えるようになったのです。
だから私は、今そっと伝えたい。見えない生きづらさを抱えている人がいたら、『オペラ座の怪人』を観てみてください。仮面の奥にある想いを、きっとやさしく受け止めてくれるはずです。

座敷わらしのユカ

座敷わらしのユカ

座敷わらしのユカより
おうちであなたのペースで頑張っているの、座敷わらしのユカはいつも見ておりますよ。
無理なく「できること」を大切に進めば、福も招き、応援します。
どうぞ、これからも安心して、あなたの道を歩んでいってくださいね。

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