障害者の就職活動~就労移行支援を利用して

仕事

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皆様は働いたことってありますか?私はありません。生まれてからこの二十数年間、働いた記憶がほぼありません。このコラムでは、就職に一度失敗した私がなぜ就労移行支援事業所に通い始めて、またどんな就労移行支援事業所がいいか?ということを皆様に伝えたいと思います。

就職活動での失敗

私は大学生時代に就職を一度失敗しております。当時の私は障害者求人ではなく、一般求人で就職に挑戦しておりました。当時、主な希望職種は無く「とりあえず就職出来たらいい」程度に思い、営業などの職種の会社へ見学や面接などを応募するという方法を取っていました。その数は約20社、もちろん全て落ちました。

当時を振り返ってみると、大した志望動機もなく、働いてお金がもらえたらそれでいい程度に思っていたのが間違いだったようです。なぜならば、そんな情熱のかけらもない人材を企業は欲しがらないのです。さらに言えば、障害に関する配慮も何もない「一般求人」で応募をしていたので、もし入っていたらのちのち苦労していたと思います。何の準備もしていなかった、大学生の一般求人というハードルの高さはとてもじゃないけど、越えられませんでした。もし、それを越えてたとしても、日々の業務、人間関係、何より自分の障害のことなど様々な要因を抱えて毎日を過ごすのは、難しかったと思います。

「一般求人では駄目だ!障害者求人に変えよう!」と思い医者に相談したところ、「就職は辞めて下さい。今の状態では危険です」と言われてしまいました。「ああ、このままだと将来の進路が決まらない・・・」と思いハローワークに相談したところ、オススメされたのが就労移行支援事業所だったのです。

就労移行支援事業所って何?

就労移行支援事業所とは日本の障害者総合支援法に基づく、就職のサポートをしてくれる施設の事です。就職に向けた総合的な訓練する施設になります。

対象者は難病や知的、発達、身体、精神の障害を抱えた18歳から65歳までの方です。就職を希望する方で就労が可能と思われる方が対象者です。

私の行っている就労移行支援事業所ですと、まず始めに利用者一人一人に「個別支援計画書」というものが配られます。この計画書は簡潔に言ってしまいますと個人個人の目標です。私の例ですと、ライターに就職したいから日々文字を書く練習をするなどの、目標が書いているのがこの「個別支援計画書」です。日々の訓練はこの計画書に基づいます。この計画書はある一定の周期(私の通っている場所だと3ケ月に一回)見直され目標を変更するか決めます。

通い始めは主に勤怠の安定などの基礎的な訓練をしていきます。その後、実際に企業へ実習に行く企業実習などより実践的なトレーニングをしていきます。実習が終わると施設のサポートを受けながら就職活動に集中して行き、最後には就職をするといった流れになっております。

もし就職出来たなら、その職場に定着するまでの定着支援サービスというものもあります。これは利用者やその職場で守ってほしいルールことが守られているか?その職場での状況はどうなっているか?などを話し合うことができる期間になっていますので就労後も安心して業務できるという訳です。

利用料は、世帯ごとの収入によって変わります。私のような生活保護を受けているものはかかりません。

もし、興味があって見学したい場合は、最寄りの事業所に電話をすれば大丈夫です。見学したのちに体験利用する事が出来ます。この体験利用で「この事業所はこんな雰囲気を持っている」と感じるのが体験利用中です。この体験利用が終わって「ここにします!」と思えるような事業所があったなら、本利用に入る・・・と言いたいところですが、お近くの市町村の障害福祉課に行き受給者証の発行をしなければなりません。これにはいろいろと審査が要ります。審査期間は約1ヶ月。その審査を通って晴れて本通所という形になります。

ただし、この就労移行支援事業所というサポートは一般的には2年までしか使えません。2年間でいかにスタッフと話し合って、就職に繋げていくのかがポイントとなっていきます。

日々の訓練

私の通っている施設の場合、日々の訓練では主にスタッフが指導するプログラムや、作業訓練、PC訓練などがあります。順に解説していきます。

プログラムは就労に関する知識を得る講習会の様なものです。様々なプログラムがあり、ビジネスマナーの訓練や、障害理解のための自己分析などをやっていきます。また、このプログラムには、事業所のスタッフの前職からの経験や、趣味などの経験をプログラムにしたりもします。様々な経験に基づくプログラムはとても有益なものです。ぜひ活用していってください。

作業訓練では主に自己の集中力を養う為の訓練を行っています。どのような訓練かと言いますと、おしぼりの裏表や向きをそろえて巻く訓練、ビーズをお手本のように色や数を間違えずに袋に入れる訓練、クリップをカードにお手本のように裏表や向きを間違えずに挟む訓練、など一見すると地味ですが、集中力や作業の正確性の訓練として非常に効果的です。この訓練が得意で主に軽作業をする職場に行く人もいます。

PC訓練ではWordやExcelなどのOfficeの学習や、タイピング、データ入力などの訓練もあります。WordやExcelは教科書を使って学習を進めていきます。データ入力はタイピングと似ていますが正確性がより重要視される訓練です。表示された文字や記号を、指定された枠組みの中に正確に入力することが求められます。

訓練は他にも、人前で話す訓練の「一分間スピーチ」などもあります。通所している間は、先ほど触れた個別支援計画書に基づいて訓練できているかどうかを日報に毎日書いております。これもある意味生活習慣を、正しくするための訓練の一環です。

事業所ごとでそれぞれやっている事が全然違ったりするので、各事業所がどんなことをやって何に重点を置いているのかよく調べる必要性があります。

どんな就労移行支援事業所が良いか?

これに関しては、好みとしか言いようがないのですが、私が今の就労移行支援事業所に通所するまで悩んだのは「サポート内容」と「家からの距離」です。

別の事業所に体験見学しに行った事あるのですが、サポート内容が完全に事務職重視のところもあったり、実際に行ってみて発達障害のグレーゾーンであると伝えたら、やんわりと断られるところもあったりと、事業所によって千差万別でした。

家からの距離も問題です。週3~5ほぼ毎日通い続ける場所なのであまりに遠すぎると行く気力を失います。なので私は電車一本で行ける距離の場所を選びました。

あなたのお好みの事業所をぜひ探してみて下さい。きっと就職活動の助けになります。

終わりに

どんなに就職で失敗したとしても、体を壊しては元も子もございません。なので、身体を壊さないように就労移行支援事業所に通い、準備をして就職活動に望んでいきましょう。もしかしたら、あなたの就職の助けになるかもしれません。

NR

NR

私は中学の頃、統合失調症になり病院に通い詰めている20代の男。
次々と現れる幻聴に対抗しながら、家族で支え合い笑って生きることを目的としている。
今は就労移行支援事業所に通いながら、就職を目指しています。
趣味はTRPGをはじめとするゲームやお絵かきなどの創作活動。

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