パラリンピック・ボート編~パラボートのルールは?

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2020年東京パラリンピックではカヌー競技の他にボート競技もあります。ざっくりとした違いは身体を前に向けて漕ぐのがカヌーで、逆に身体を後ろ向きにして漕ぐのがボートです。また、漕ぐ道具にも違いがあり、「オール」を使うのはボート、「パドル」を使うのはカヌーです。船体に固定する部品があり 直線で進むとき(背面)両手同時に漕ぐのがオール。固定部品が無く左右交互、またはどちらか片方だけで前面に漕ぐのがパドルです。

今回はボート競技の説明をさせて頂きます。

パラリンピックボート3種類の競技種目

ボートには大きく分けて二種類の競技があります。ひとつ目は「スカル」。これは漕ぎ手が両手に1本ずつ、スカルという短めのオールを使用します。もう一つは「フォア」。4人の漕ぎ手がそれぞれ1本のオールを使用します。パラリンピックでは障害の程度によって以下の競技に分かれます。また、コースはオリンピックと同じ直線2000mで競います。

PR1クラス(シングルスカル)・・・男子と女子それぞれで行われる1人乗りボートを使用した種目です。障害が比較的重く、胸から上の機能が残っている選手が出場します。体幹が効かない選手が1人でボートに乗り、腕と肩の力でボートを漕ぎます。

PR1は3クラスのうち最も障害の重いクラスで、固定のシートに加えて背もたれも装備しています。選手は胴体にベルトを巻いて身体を固定して競技を行います。

PR2クラス(混合ダブルスカル)・・・男女1人ずつのペアになり、2人乗りボートに乗って行う種目です。PR1同様にPR2も下肢に障害のある選手が出場しますが、最大の違いは体幹が効くことです。そのため、PR1よりも上半身全体を使って漕ぐことができます。

このクラスに該当する選手は、下肢に障害がありますが、体幹が効くため比較的座位のバランスが良く、上半身を前後に動かして漕ぐことができます。

PR3クラス(混合舵手つきフォア)・・・男女2人ずつの合計4人で漕ぎ、舵手(コックス)1人が同乗します。出場できる選手の障害は比較的軽度な肢体不自由と視覚障害です。舵手は健常者が行うことができます。唯一、前を向いている舵手が司令塔の役割を担います。

舵手(コックス)とはいわゆる舵取りの役割です。選手が息を合わせて漕ぐよう掛け声をかけたり、レースの状況を見極めて指示を出します。この役は障害者だけでなく、健常者も受け持つことができます。視覚障害の選手は他の選手が漕いでいる様子を目視できないため、舵手の声を頼りに漕ぎます。他のチームとの駆け引きや、どのようなペースで漕いでいけば勝利できるのか、舵手の判断が非常に重要になってきます。

このクラスは、上下肢の障害や、脳性まひなどの肢体不自由、または視覚障害の選手が出場できます。このクラスに出場する肢体不自由の選手は、腕や片脚の切断や機能障害、麻痺などの障害がありますが、PR1やPR2の選手と比べて比較的軽度な障害です。

障害によって変わるオールの漕ぎ方

ボート競技では「漕いだ力をどれだけ余すところなく推進力に変えられるか」が重要となります。どんなに大きな身体や長い腕で力強く漕いだとしても、水をしっかりとらえて力を伝えられなければボートは速く進むことはできません。そのためには正しいフォームを身に付けることが必要です。障害のある選手の場合はどうでしょうか。一言で障害と言っても、PR1、PR2、PR3でそれぞれ障害の種類や程度が異なります。残った脚の長さなどによっては可動域やパワーが違い、さらに半身に障害がある場合は左右均等に力を入れて漕ぐことが難しく、真っすぐ進むことすらままならない選手もいます。そこで選手たちは自分の障害と向き合い、障害に応じた自分だけのベストな漕ぎ方を見つけなければなりません。一般的な「正しいフォーム」は必ずしも障害のある選手に当てはまるわけではないのです。そのために選手たちは、シートの位置やオールを取り付ける高さなど用具の調整や、色々なフォームを試してみたりと、トライ&エラーを繰り返しているのです。障害が違えば漕ぎ方が変わる。大会で目にする選手たちは試行錯誤の末に自分に合った最も速く進むことができる漕ぎ方を見つけるのです。

大会ではぜひ選手の漕ぎ方に注目してみてください。

参考文献

【TOKYO2020 ボート】
https://tokyo2020.org/jp/

【朝日新聞デジタル】
https://www.asahi.com/?iref=com_gnavi_top

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

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