オーバードーズを防ぐためにできること
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「オーバードーズ」とは、処方された薬や市販薬を、定められた数より多く飲むことです。「OD(overdose)/オーディー」、「(薬物の)過剰摂取/過量服薬」とも呼ばれます。
危険な行為だと分かっていても、耐えられないほどのつらさに襲われて、「もう楽になりたい」、「全てを忘れたい」という一心から、ついオーバードーズをしてしまう人が後を絶ちません。深刻な場合、命にかかわることもあります。
今回は、本人とその周囲の人がオーバードーズを防ぐためにできることをご紹介します。
オーバードーズの衝動は長くは続かない
「楽になりたい」、「全てを忘れたい」という思いに駆られてオーバードーズは行われますが、このような強い衝動は、長くは続きません。ほどんどの場合、強い衝動が持続するのは数十分程度だそうです。そこを乗り越えられれば、冷静に物事を判断することができるようになります。この数十分を乗り越えることが重要になります。
ちょっとの手間が大きな抑止力になる
オーバードーズを繰り返す人はつらい気持ちに押しつぶされると、他に方法が思い付かないので、またオーバードーズすることを選んでしまいます。やむを得ずやっているだけなので、そこにちょっとした壁やブロックがあるだけでもオーバードーズを思いとどまるきっかけになります。
例えば、自殺予防対策として電車のホームなどに設置されている柵、本気で自殺しようと考えている人ならあんな柵は乗り越えてしまうだろうと考える人も多いでしょう。しかしギリギリの精神状態にある人にとっては、柵を乗り越えるというちょっとした「壁」があることによって、自殺を思いとどまったり、我に返ったりしやすくなるという心理的効果が期待できます。
オーバードーズを防ぐ5つの工夫
①家族に薬を管理してもらう
薬を手元に置かないことは、単純ですが非常に有効な防止策になります。家族の方に薬を管理してもらうことで、薬の受け渡しの際に精神状態をチェックしてもらうことができ、家族の方にとっても声かけや精神状態の把握がしやすくなります。家族の方にとっても、薬の管理が長くなれば負担となるので、精神状態が特に悪い期間だけ管理してもらうなどの配慮も必要でしょう。
②粉薬にしてもらう
粉薬をオーバードーズするケースはほとんどないそうです。錠剤は一度に何十個でも飲みやすいですが、粉薬は何十回分をまとめて一度に飲むことは難しそうです。また、粉薬は飲むためには水が必要なので、水を準備するというひと手間がオーバードーズの衝動の「壁」となります。(※ただし、粉薬にできない薬もあるので、主治医にご相談ください)
③受診間隔を短くする
例えば、毎週受診するようにすると、手元には1週間分の量の薬だけになります。これによってオーバードーズにつながるリスクが減りますし、万が一オーバードーズをしたとしても被害を小さく抑えることができます。
④我慢せず周囲に助けを求める
どうしてもつらい時は、周りの人に助けを求めてください。「つらい」、「助けて」、「話を聞いて欲しい」の一言でいいのです。「迷惑だと思われるから…」と思ってはいけません。いつも我慢してしまう方ほどそう思いがちです。しかし家族や周りの方からすると、身近で大切な人がある日突然オーバードーズしてしまい、「どうして相談してくれなかったのか」、「そんなにつらいなら言ってくれれば」と思うでしょう。つらいときは、「つらい」、「助けて」と言いましょう。自分のためでもあるし、家族や周りの人の安心にもつながります。
⑤日頃からストレス解消法を持っておく
オーバードーズしやすい人には、ストレスを溜め込みやすい傾向があるようです。長く溜め込んで膨らんだストレスに押しつぶされそうになったり、溜め込みきれなくなったストレスが噴き出して、オーバードーズの行為につながってしまうのです。そのためにも、日頃から定期的にストレスを解消できる方法をもっておくことは大切です。ストレスを解消の方法は探せば必ずあるはずです。友達や家族、指示医に相談して自分に合うものを見つけましょう。
オーバードーズはほとんど場合、精神的に不安定になった時に勢いで実行されます。そして冷静になった後、「周りに迷惑をかけてしまった」、「主治医の指示を守れなかった」と後悔したり、自分に自信をなくしてしまいます。こうならないためには、本人の努力だけでなく、周りの人たちの協力が必要です。つらいとき、苦しいときには、一言でもいいので、正直な気持ちを周りの人に伝えましょう。