「貧すれば鈍する」足ることを知らねばは判断力は下がる

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Photo by Christian Seymour on Unsplash

「貧すれば鈍する」という言葉が本物だと実感させられる出来事が相次いでいます。「貧困が判断力を下げ、さらなる貧困へ陥る」という本の一節がバズるなどです。(小題だけで盛り上がっているのがなんともネット民らしいですが)

また、「ゴールドタイガー」が流行ったのをきっかけに、金運上昇などを称しておすすめ上位になれるようなアクションを暗に仕掛ける動画群の存在も明らかとなりました。「ゴールドタイガー」「金言大仏」「飛ばすんじゃねえ」が面白キャラとして消費された一方で、胡散臭いスピリチュアル動画に本気で縋りつく書き込みなども発見されており、開運系のセコいメソッドも垣間見えています。

スピリチュアル系の広告(パワーストーンなど)は昔からありました。貧困を自覚する人に限って、こうしたものに縋って短期での一発逆転を夢見がちな傾向にあります。携帯電話の支払いより月額の占いアプリを優先するほどのレベルですが、そういった損得勘定も麻痺してくるようです。「稼げそう」と感じることが趣味になっていると言えるかもしれません。

貧困による判断力低下の極致が、いわゆる「闇バイト」と呼ばれる重大犯罪の鉄砲玉です。高額の日雇いバイトと思って集まったら、スマホと身分証を没収されて重い犯罪の実行犯に仕立て上げられるというアレです。指示役にとっては、金に困っている人間は鉄砲玉として絶好の存在となる訳ですね。なお、指示役など本当の悪人ほど「“強”のつく犯罪は(自分で)するな」などリスクヘッジが徹底しており、なかなか足がつかないものです。

とはいえ、貧困はお金の問題に限らない側面もあります。家庭と地位を持つ壮年の人間が極端な思想に傾倒するなど、傍から見れば恵まれているような人間さえも「情弱」「浅慮」というべき行動をとることがあるからです。「怒りは貧乏人に残された唯一の娯楽」と誰かが言っていましたが、お金以外の何かで“貧乏”な人もまた問題を起こしやすいのでしょう。

金銭、時間、知識、何が貧しく乏しいかは兎も角、金銭的な貧困は障害者にとって切っても切れない問題です。なにせ、平均月収が健常者のそれよりも圧倒的に下回っている訳ですから、金銭的に困らない筈がありません。既に鉄砲玉として目されてもいるでしょうし、そこから障害者ヘイトが市民権を得るかもしれません。そもそも、既に若者が鉄砲玉として使い捨てにされるのを「自然淘汰」などと吐き捨てるのは、思考と将来を捨てているに等しい近視眼的な発想です。

対句として「武士は食わねど高楊枝」という言葉があります。例え貧しくても、やせ我慢してでも人としての矜持を守る姿勢こそ高潔だという“願望”が込められた言葉です。裏を返せば、清貧であることがどれほど難しいかを物語る言葉でもあります。ただ、困難であっても「武士は食わねど高楊枝」が願望として求められていることも思慮するべきでしょう。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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