武田双雲登壇!映画『旅立つ息子へ』×SDA協会(NPO法人スーパーダディ協会)コラボ座談会イベントレポート

イベント
『旅立つ息子へ』 SDA協会コラボ座談会

2020年カンヌ国際映画祭など世界中の映画祭に正式出品され観客を感動で包んだニル・ベルグマン監督最新作 『旅立つ息子へ』が全国公開されました。

https://longride.jp/musukoe/

それに伴い、男性が前向きに育児や家事を楽しむためのワークショップなどを提案するパパのための集まり「NPO法人スーパーダディ協会」(http://www.superdaddyjapan.com/)のメンバーと、スーパーダディアワード2018年受賞の書道家の武田双雲さん、NYや東京で20年シェフをしている米澤文雄さんによる、父親ならではの育児の悩みについて語り合うオンライン座談会【「NPO法人スーパーダディ協会」コラボ パパの語り場オンライン座談会】が3月15日(月)に実施されました。参加者は次の通りです。武田双雲(書道家)、米澤文雄 (青山「The Burn」シェフ)、高橋一晃(NPO法人スーパーダディ 協会代表理事) 司会進行:KOJI(魔法科学者)

子離れと自立

まず本作の感想について、3人のお子さんをもつ武田さんは「中3の息子と二人旅をした。その息子が今年カリフォルニアの学校に旅立つから、別れの寂しさがわかるなーと思った。僕が物忘れが激しいADHDで、映画とは逆で息子が僕の面倒をみてくれる感じだけど、グッとくるシーンがたくさんあった。妻とは15年間の子育て生活でかなりぶつかった」と別れのタイミングで観たからこその共感や、夫婦間の子育ての違いに着目したと振り返りました。

娘さん2人、そしてダウン症の弟さんを持つ米澤さんは、「障害があるというのは、個性の一つ。運動ができないなど、どの状況も個性ととるのか、長所短所ととるのかで方向がわかってくる。子供を最終的に信じるということ、成長するということを考えていくことが大事だと感じた」とご自身のご家族と重ねられました。

また、NPO法人スーパーダディ 協会代表理事の高橋さんは「子育て目線で終始グッと引き込まれた」と語っていました。

劇中、父親が息子を施設に入れることを思いとどまり、二人で逃避行に出てしまいます。そのさなか父は今まで気づかなった息子の成長を知ることになります。このことから「子供に教えられたこと」がテーマに座談会はヒートアップしていきます。武田さんは「娘が幼稚園に入った時に、行くのを嫌がった。僕は行かせなくてもよいと思ったけど、妻が悩んで行かせようと。娘がそういう行動をしたことで妻と真剣に子育てについて話し合いプラスになった。当時のことを娘に聞くと、『ママと離れたくなかった』と言っている。結果的に通わせたんですが、映画なかでのお父さんが息子へ『逃げよう』と言った気持ちがすごくわかりますね」と体験を振り返りながら語れました。 高橋さんは「息子が小5なので自己中の塊になってきた。毎日ムカついてますが、自分もいい加減だったなと気づいた。小学生の時はそこまで厳しくしなくてもいいのかなと思った」と息子さんと過去の自分を重ねたエピソードを、米澤さんは「親は、子供ができることのスピードに対してついていけてない。自分たちのなかではずっと小さいイメージだけど、その認識がアップデートされているといい子育てができると思う」との成長に対する気づきの大切さを語られました。

また、武田さんが映画のなかで泣いた場面について「これまで違う価値観だった母親が、ある瞬間、父親の子育てを認めたシーン」と振り返りました。そこから、トークテーマは「子育てにおける夫婦のあり方の違い」に。米澤さんは「ケースバイケース。育ってきた環境、住んでる場所、仕事の違いで価値観が違う。方向性、HOE TOのデータはあるけど、まるはまりはしない」と熱く語られ、武田さんは「仕事ができる人ほど家庭をマネジメントするけど、それではできない。チーム『家庭』を謙虚に客観的に柔らかく考えていくことが大事」とコメントされました。高橋さんは「僕は場当たり的で自由にやっているけど、奥さんはしっかりしている。妻が書いた青図にのっからないとぶれるけど、皆の話をきいていると夫婦それぞれの考えでいてもいいのではないかと思った」と語られました。

次の話題はこの作品の大きなテーマである「子離れと自立」へ。武田さんは「親も自立しなきゃなと分かっているんだけど愛着が湧きすぎていて、寂しい。絶対止めないほうがいいんだけど」と抑えられない寂しさを語られ、米澤さんは「子どもを留学させたいと思ってる。友達との価値観の違いとか、主張性、国民性とかを感じてほしい。本人もいいんじゃない、と言っている」とコメントされました。話題は、ご自身が両親から自立した時の話にうつり、米澤さんは「アメリカ行った時。食事では困らなかったけど、たくさんの見えないサポートをしてもらってたんだなと気づいた。映画の中で一番深いなと思ったのは、父親が息子ができないと思って守っていたけど、実は自分が寂しいから一緒にいたかったという側面もありましたよね」と映画の緻密に描かれた複雑な親子の関係性を語られました。武田さんも「イスラエルなど関係ない。どこの国のお父さんも共感できる内容ですよね」と語られました。高橋さんは、「いつまでも面倒みていると、子供も依存してしまう。自分が子供がいなければダメな存在になってしまう。映画の父親もそういう風になっていたんじゃないかな。子育ては大変だけど、父親はそれが生きがい。親が子供へ自立をどういうタイミングで言うかが大切」と振り返かえりました。

最後に、武田さんは「この映画は家族で観て、感想を言い合った。家族で観て話し合うと超いいなと思いました。妻は妻の立場で観てたし、子供は自閉症など関係なく可愛い、楽しそうな息子として観てた。いろんな視点でこの映画について語れる」と米澤さんは「改めて映画館で観て観たいなと思っていたんですが、家族でも観て観たいと思いました。子供達は弟とも接していて、障害に理解がある。それを踏まえて純粋にこの映画をどう思うのか感想を聞きたい」と映画全体を振り返りました。

座談会では映画の感想を交えながら、子供の成長を通して気づいたこと、子育てにおける夫婦間のあり方の違いなどを自らの体験も元にそれぞれの思いが語られました。 この作品の大きなテーマである「子離れと自立」についても、寂しい思いを明かしながらも、 「改めて映画館で観て家族で感想を語り合いたいと」と大きく盛り上がりました。 父親ならではの子育てトーク、夫婦間の価値観の違い、そして子供の自立まで。様々なテーマが語られたトークの全貌は、映画配給ロングライドのyoutube(https://youtu.be/gHQIOnRt890)でアーカイブ視聴可能です。ぜひ映画の鑑賞とあわせてチェックしてください!

『旅立つ息子へ』 TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中

監督:ニル・ベルグマン
脚本:ダナ・イディシス 
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン

2020年/イスラエル・イタリア/ヘブライ語/94分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:Here We Are/日本語字幕:原田りえ

配給:ロングライド

公式ホームページ
https://longride.jp/musukoe/

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

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自閉症スペクトラム障害(ASD)

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