就労移行支援~通うまでとそれから
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現在、障害者雇用で就労を考えてらっしゃる方の中には、働き続けることに自信がない方や、どうすれば長期就労できるのだろうかと思っている方、ブランクがあるけど次の仕事を決めたい方などもいらっしゃると思います。そんな方に「就労移行支援」を次の選択肢のひとつとしておすすめします。
前職を退職するまで
私は前々職で過労により統合失調症を発症させました。退職後、休養につとめ、前職につきました。そこは障害者雇用でしたが、私は入社面接で自分の症状を半分ぐらいしか開示しませんでした。全部開示すると雇ってくれるところなんてないと思ったからです。それに、もう重いものは再発しないだろうという自信があったので、そのことを言わずに入社しました。最初は単調な仕事ばかりでしたが、ありがたいことに、いろんな業務を任せていただけるようになったころには、入社半年が経過していました。
順調にキャリアを積んでいました。残業はなしという配慮をしていただいていましたが、仕事が楽しくなっていきました。それで少しずつ残業をするようになり、症状が再発するようになったのです。夜に眠れないせいで日中眠く、ミスを頻発するようになりました。そして、自分の症状の1番重いものも出るようになりました。しかし、会社にはその症状のことを伝えていなかったため、相談ができませんでした。
このままじゃいけないと思いつつも、対処ができず、退職することになりました。
就労移行支援に通うまで
前職を退職してからは休養につとめ、症状が収まりました。そこで、また働きたいと思うようになり、転職エージェントに連絡したのです。状況を説明し就職活動がしたい旨を伝えると、そのときの私の状況(前職を1年程度で体調不良により離職している)では、そのまま就活を始めるよりも、1度就労移行支援(障害のある方が就労を目指すために受けられるサービスを提供してくれる場所)に通ってサポートをしてもらった方が、結果的に仕事が早く決まる可能性があるといわれました。その説明を受けて、確かに今の自分では普通に就活を始めても、決まらない可能性の方が高いかもしれないなと思うようになったのです。
見学にいった、いくつかの就労移行支援では、どこも最低3か月は体調安定につとめる必要があり、その間は就活はできないとのことでした。しかし私は、いわば離職期間のブランクになる期間を就労移行支援にきちんと通い、体調が安定していることをアピールできれば、それは就活にプラスに働くと思っていました。
そういった経緯があって、障害者手帳を取得し、今の就労移行支援に通うようになりました。当初はなるべく早く就職を決めてさっさと卒業しよう、ぐらいにしか思っていませんでした。
就労移行支援で学んだこと
就労移行支援にはそれぞれの場所で特色がありますが、ざっくりと説明すると、職業訓練や就職活動、就職後の定着支援をしてくれるところです。いざ通ってみると、実際は思っていたよりもさまざまなカリキュラムが組まれていました。
私がいっているところは個人ワークよりもグループワークが多いです。そこで、数人で話し合って何かを決めたり、自分の考えをプレゼンしたりするなかで、コミュニケーション能力が鍛えられたと思います。
また、通所者ひとりひとりに担当の職員さんがついてくれて、自分では気づかない視点から、いろいろとアドバイスをもらえることもあります。それも決して一方的な言い方ではなく、私の気持ちに配慮があるので、受けとめるこちらもアドバイスを聞いて嫌な思いはしません。
そして、何より自分の症状について、原因は何か、どうすれば予防できるか、症状が出てしまった時はどうするかなどを、職員の方に相談することができます。職員の方は、これまで何人も見てきた経験があるので、さまざまな角度からのアドバイスがあり、有益だと思うものは取り入れることができるのです。私はこの7月が終わると就活をスタートさせます。私の場合は就活を始めるまでに、8か月ほどかかり、当初の予定よりもずいぶん準備期間が長くなりました。しかし、自分のために無駄ではなかったと思っています。
就労移行支援はそれぞれカラーがあるので、自分がどんなことを学びたいか、どんなサポートがほしいかによって、マッチするところはきっと違うでしょう。私自身こんなにお世話になるとは思っていませんでした。自分の症状について理解を深めたい、就職を決めるまでのサポートがほしいと思っている方には、就労移行支援をおすすめしたいです。