私はうつの治療を始めたころ発達障害の検査を受けました。先生から「仕事で上手に対処できないのは発達障害が原因のこともある」「気になっているなら検査を受けることもできる」と教えていただいたのがきっかけです。

結果は「自閉症スペクトラム障害」でした。

今回は、その中の「WAIS-Ⅲ（ウェクスラー成人知能検査）の結果」を「通っている就労移行支援所で教えてもらったこと」と「自分の経験」併せて、困りごとと対処法を考えていきます。

結果の項目

WAIS-Ⅲでは「言語性IQ」と「動作性IQ」がわかります。ふたつのIQの数値に一定以上の差があると発達障害だと診断されます。

言語性IQは「言葉を理解する能力や、耳からの情報を理解する能力」、動作性IQは「動作に関わる能力や、目からの情報を理解する能力」です。

群指数という、上のふたつをこまかくわけた項目の数値もわかります。言語理解、作動記憶、知覚統合、処理速度の4つです。ここから得意不得意がわかります。

言語理解は「言葉による情報などを状況に合わせて応用できる力」、作動記憶は「耳からの情報を短期記憶で処理する力」、知覚統合は「見た情報をまとめて意味づける力」、処理速度は「見た情報を数多く、正確に処理する力」です。

これらに差があることで「自分が思う自分」と「人から見た自分」に差が出たり、特定のやりかたでしか理解しにくいといったことが発生します。

私の結果と経験と対処法

私は、言語性IQが低めで動作性IQは高めでした。「口頭で説明されてもわからないけれど、実際に現物を見れば作業することができる人間」ということです。

検査結果を見て「そういえば、今まで説明を受けても呪文を唱えているようにしか聞こえないときがあったな」と思い出しました。友人との会話のときは、実際にして見せてもらっていました。仕事では常にメモをとり、読み返して理解してから作業に入ってたように思います。

そこで、作業をするときは「見本や過去の物などを借りる」「実際に作業しながら説明してもらう」「最初は自分が作業するところを見ていてもらう」などで対処できるとわかりました。

つぎに、群指数は知覚統合が高く、処理速度はかなり低かったです。このことから私は「目に入っただけで他の人よりたくさんの情報が入るけれども、脳が処理する能力が低すぎておいつかない」「分析は得意だけれども作業速度が遅い」人間だとわかります。ちなみに言語理解と作動記憶は平均値でした。私は低いと思っていたのでおどろきでした。

仕事中、自分ではかなり手早くしてるつもりでも「作業スピードが遅い」「どうでもいいことを気にしすぎる」とよく指摘されました。作業中「次の工程のことを考えるとこうした方がいいのでは？」「この部分は説明されてないけど、しなくてはいけないのでは？」と考えることが多かったと思います。

このことから、情報を無意識に脳が分析していたのだとわかりました。また、作業始めは脳の処理が追いつかずわからなかったことが、作業途中で理解できたということも考えられます。

人にマイペースだと言われた原因がわかりました。プライベートで「よくボーッとしてる」「会話の返事が遅い」といわれますが、私はボーッとしているつもりはありません。いろいろなことを見て、頭はフル回転していますし、相手の言葉について深く考えています。

郡指数から「自分が思う私」と「人から見た私」で何が違うかがわかりました。それにしても説明を理解するのにも時間がかかるのに、作業速度も遅いのはかなり困ります。

これらに対処するために「するべきことだけに集中すること」「見て思いついたことは無視すること」を意識するようにしています。これは就労移行支援での作業などで実践して、クセづけるようにしていることです。ある程度できてからは「スピード」を意識するようにもしています。

また「完璧にしなくてはいけない」と思いがちで、不安になり何度も確認してしまうので「自分を信じて進めて、確認は最後だけ」と心がけることも必要だと思っています。

今の私

うつ中の検査で大変でしたが、とても参考になる結果でした。「働く中でどうしてもうまくいかないことがある」なら、この検査を受けてみてください。

現在私は、就労移行支援所に通いながら「発達障害とはどういうものか」「なにができなくてどう困るのか」「困っていることへの対処法」を学んでいます。自己肯定感が低いので大変ですが「ありのままの自分を受けとめる」「上手にできなくてもいい」を心にとめ「できないなりに対処する方法」を考えています。就職に対してはまだ不安がありますが「少しずつでも前進することが大事」だと思うのできちんと自分と向き合っていきたいです。