ミライロ社長の垣内俊哉氏の障害を価値に変える「バリアバリュー」という発想とは?
暮らし出典:障害者ドットコム撮影
株式会社ミライロへ訪問し、最初に目に入ったのは車椅子です。通常のよく病院などで使われる物とは違い、パラリンピックなどでも目にするスリムでカッコイイものでした。筆者にも身近に身体障害を持つ人がいて、機能性重視の補助具を嫌い、綺麗な事、かっこいい事にこだわりを持っています。筆者はとても素敵な事と嬉しくなります。そうなんです。ぜいたくなと思われるかもと遠慮している障害者の人々もいますが、綺麗でいたい、カッコ良くいたいと思って当然だと思うのです。
バリアバリュー?ユニバーサルデザイン?ミライロって会社の社長垣内さんって車椅子なの?正直言って何も知らなかった筆者の頭の中は?だらけでした。筆者が通所している就労移行支援事業所のカリキュラムで株式会社ミライロを訪問し、バリアバリューをコンセプトに置かれたお話や、ユニバーサルマナー、ユニバーサルデザイン、どれも耳に初めての新鮮な響きです。そして会社名のミライロは未来の色・未来の路を意味するなど、筆者は知らず知らずのうちに心が「ドキドキ。ワクワク」しながらお話に聴き入ってました。垣内社長の著書「バリアバリュー〜障害を価値に変える」について、会社に訪問させていただきた時に感じた事に触れながらお話いたします。
株式会社ミライロの垣内社長ってどんな方?
以前5/18に障害者ドットコムのイベントレポートで垣内社長の大阪での講演会を紹介しましたので、読者の皆さんの中にもご存知の人もいらっしゃると思いますが、少し述べさせて頂きます。
生まれて間もなくの頃、「骨形成不全症」という病にかかられ、幼稚園、小学校の途中までは、松葉杖などを使って歩くことができていましたが、5年生になる頃には車椅子生活を余儀なくされたと本には書かれてます。その後歩くことを諦めずに、壮絶なリハビリを続けたにもかかわらず、歩くことを断念しないといけなくなり、車椅子生活に。多感な思春期に、幾度と心折れそうになり、自ら命を絶とうとしたこともあったといいます。
しかし、垣内さんは、歩けなくてもできることがあると発想を転換し、仲間や色々な人たちと出会って会社を創られ、悪戦苦闘、紆余曲折しながらも決して諦めず、大きく躍進してこられました。
誰にでも当てはまるバリアバリューの目指す指針
この著書の中で「障害、弱点、短所を克服しようとするのではなく、価値、強み、長所に変える...。どんな人もそれぞれがトラウマやコンプレックス、障害が克服すべき事じゃなく、その人だから分かる事、見える事をする(車椅子の方の目線100㎝だからこそ気付く事をする。)。そんな風に考えると自分の欠点も個性や価値になる。落ち込んだり悔んだりするエネルギーをそういう方向へ使えたら、自分にとっても周りにとってもいい事になる。」と垣内さんは言っています。
バリアは「人」ではなく「環境」にあるー。環境を自分に合わせられないかという視点で考えることで、バリアからも多くの気づきや学びが得られ、チャンスが生まれます。高齢者や障害者のさまざまな方の目線で考え適切なサポートをするユニバーサルマナー、あらゆるものを機能性のみを追わず「使いやすく」「見えやすい」「嬉しい」「楽しい」を提供するユニバーサルデザインによる企画設計は、高齢化が進みストレスからくる精神疾患の方が多い現代では、必要不可欠なものだと思います。
障害者や高齢者の方々の為の手すりやスロープを設定するハード面、心遣いやコミュニケーション方法を考えるソフト面の両方に着目しておられ、提供する企業側の利益ともなるウィン・ウィンはミライロ=未来の色、未来の路だと思います。
垣内社長は子供の頃からかわいそうな人と呼ばれること、配慮されることに、5%の感謝と95%の怒りを感じられたと本に書かれてます。力強さと繊細さを持ち合わせ、障害を持って生き、夢を叶えるため血の滲むような努力をされてきました。幾度となく挫折も味わってこられましたが、前向きであきらめなかった、負けず嫌いで信じられないくらいの挑戦するパワーを持たれているようです。垣内社長は、ヘレン・ケラーのように、人として生きるという深い意味を伝えるメッセンジャーとして選ばれた人のように感じます。
辛い思いをしている人は目には見えないけど秘めたる凄い力を持っていると思います。何も大きな事をする必要はありません。たった一人しかいない大切な自分のために、少しの勇気を出して、見方を変えて新しい生き方をみつけませんか?自分が輝いて生きるためのヒントがいっぱい詰まっている垣内さんの著書「バリアバリュー」をぜひ読んでいただきたいと思います。