パフェやスイーツの人気カフェ「ツナグ茶房」がケアマネの憩いの場「bakeLab」をオープン
暮らし東大阪市俊徳道駅前に移転した「ツナグ茶房」を運営する株式会社TSUNAGUの代表である中村雄太さんに、インタビューいたしました。カフェ事業の取り組みを中心に伺いました。
「ツナグ茶房」を運営する株式会社TSUNAGUの代表取締役の中村雄太さん
工房と茶房を一緒に
──俊徳道に移転した理由はなんですか
「2021年の6月に移転したのですが、以前は道路一本を隔てて工房と茶房(カフェ)が別々の状態でした。道路一本あるだけで互いの交流が少なくなり、このままでは良くないと思いながらもズルズル長引いていました。利用者の不調や違和感に気付けなくなってようやく、工房と茶房を一緒の空間に出来るよう努力しはじめた次第です。工房で慣れたら茶房に入るスタイルは変えずに、より理想の距離感となりました」
店内のカフェスペース
──接客に水準は求めていますか
「接客にはある程度の水準を求めます。原価率は一般並みの30~35%を目指しており、相応の価格設定となっています。高ければスイーツ1個とドリンク1本で3000円超えるようなメニューをお客様にお出しする以上、いい加減な接客は出来ません。ある程度の配慮や支援はありますが、最低限の接客スキルがなければホールの仕事は与えません。ただ、定休日を使ってホール業務のトレーニングを積むようにはしています」
人気のパフェは季節ごとに新作が登場
B型事業所である意義
──普通の店ではなく就労継続支援B型として続ける意義は何でしょう
「単にB型事業所としてカフェを開くだけなら、ツナグの存在意義はなく代わりは幾らでもあるでしょう。この形態としてB型事業所をやるからこその存在意義だと思います。ただ、就労継続支援B型と看板にわざわざ書くのは個人的にデザイン面で好ましくないですね。B型事業所だということを隠すわけではないのですけれども」
「努めて他との差別化をしようとしている訳ではなく、我々のしたいことが偶々お客様の琴線に触れただけで、なにか戦略を練って動いたわけではないですね」
──工房と茶房の人数差などの課題をどう感じていますか
「結局、ツナグ茶房はゴールではないわけで、若干名の利用者が茶房から一般就労に進みました。その分茶房で働く利用者が減って、工房の利用者が部分的に入ってきています。一般就労したい利用者を囲い込む訳にもいきませんからね」
「我々としては工賃が最低賃金を超えるならば就活を勧めるスタンスです。本人の意思も大切ですが、B型事業所は雇用契約を結べない以上、保険もありません」
店内ではクッキーなどの焼き菓子も販売
ツナグ茶房の今後
「ツナグ茶房」に隣接する「ツナグ工房」でお菓子を製造
──6年間続けてきて感じたことなどはありますか
「続けた成果を振り返る段階にはまだ至っていないと感じます。この間、介護業界に進んだ元利用者に偶然会いました。その人は最初休みがちだったのですが、通って1年経つ頃にいきなり通所が増えた人でした。理由を聞くと、必要とされている実感が得られたからと言われました。6年間で成果を上げたとは言えませんが、誰かにとって重要なきっかけにはなれたのかなとは思っています」
──他事業所とのコラボなどは考えておられますか
「カフェ同士というコラボは勿論考えていますし、その上で他事業所とのコラボも出来るならやりたいです。ただ、我々には我々の色があるので、それを崩してまで固執するつもりはありません。その辺りを理解してもらえるなら是非コラボをしたいです」
──今後のビジョンについて考えておられますか
「3月に、ケアマネージャーや相談支援員さんが気軽に利用できる「bakeLab by ツナグ茶房」をオープンします。店内では美味しいドリップコーヒーや焼き菓子などのスイーツを提供し、高齢者の入居や障害者の就労など福祉に関わる相談を受けていく予定です。1月下旬からコーヒーのみ提供でプレオープンしますので、皆様お気軽にお立ち寄りください」
「また、いつになるかは分かりませんが、IT関係に関わる事業所もやっていきたいなと思っています。これまで面白いか否かを判断基準にして事業に取り組んできましたが、これからも面白いモノ・コトを創っていきたいと思います」