病気の根本原因に効くお薬をさがすこと

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出典:Photo by Lina Trochez on Unsplash

私は毎日数種類のお薬に支えられて生きています。「統合失調症」は季節の変わり目や環境の変化などで症状が出たり、楽になったりします。長期間、楽な時期が続くと、つい「もうお薬を減らしても大丈夫かも」と過信してしまうことがあります。

また、何か都合の悪いことが起こると「これはお薬の副作用ではないか」と疑ってしまうときもあります。たとえば、短期間で体重が増えてしまったときなどです。あとで考えると、外食やお惣菜などカロリーの高いものを食べる機会が続いただけかもしれないのですが「お薬の微調整をしたためではないか」と考えてしまったりなどです。

その結果、主治医に相談するのですが「お薬の微調整で太ったとは考えにくい」といわれるときもあります。しかし、なんとかして体重を落としたいという相談をすると「試しに以前から飲んでいる薬を減らしてみますか」といわれました。

少しずつ悪くなる病気

「統合失調症」は再発しやすい病気だと聞いています。特に減薬などすると少し減らしただけでも徐々に悪化していく、場合が多いことも身を持って体験しています。

体重増加の兆しがあったとき、主治医に相談し「寝る前に2錠飲んでいるお薬を1錠半に変更してみましょう」ということになりました。「半錠くらいなら減らしても大丈夫だろう」と思い、軽い気持ちで減薬してみました。

お薬には2パターンあります。ひとつは即効性があり効果が切れるのも早いタイプ。もうひとつはだんだんと効き目が増していき、一定期間飲み続けると効果が安定するかわりに減薬しても血中濃度がゆっくりと下がるものです。

そのため、ふたつ目のタイプは徐々に体調が悪くなっていくので、気がついたときには再発しそうになっている場合があります。今回私が減薬したのはこのふたつ目のタイプのお薬でした。

確かに体重増加は少し、ましになっていましたが、精神的にやや病んでしまいました。これでは元も子もありません。ちょうど減薬して1か月経ったころに定期健診があったので、主治医に結果を話したところ「やはり2錠飲んだほうがいい」との結論になりました。

そして、前々から気になっていた病気の根本治療について主治医に相談しました。

病気になった原因の症状

私の病名は「統合失調症」です。しかし、「統合失調症」とは非常にたくさんの症状を含んでいます。医師からすると、まず一番に重要視しなければならないのは「命に関わる出来事」です。要するに「自殺企図」などが起こらないように患者の症状を観察し、かつ困っていることに対してのお薬を処方することです。

私は月1回通院し、その時その時で困っていることを報告し、お薬を調整してもらいます。調子のよいときは数か月お薬の内容が変わらず、診察も5分程度で終わることもあります。

最初の入院のときは私が民間療法で「幻聴」が聞こえ「自分が家族を殺してしまうのではないか」という「妄想」にかられ、包丁で手首を切ったことが原因でした。救急車で運ばれ、何が起こっているのかもよく覚えていないくらい、ひどい状態だったのです。

医師の診断はそのときからなので、ずっと「妄想」や「幻聴」に関するお薬を処方されています。その上で、正常な思考回路を取り戻したのちも続く「対人緊張」「誇大妄想」や「躁鬱病」のお薬も処方されています。

「対人緊張」の中の「表情恐怖」ですが、統合失調症に効く強いお薬を処方してもらっていたときはとてもよくなっていました。そこで「軽めの対人緊張に効くお薬に変更してみましょう」と主治医からの提案がありました。もうずっとよくなっていた「表情恐怖」だったので「お薬が変わっても大丈夫」だと思ったのですが、ダメでした。

目を見て話したり、顔を見られながら話したりしているとどうしても「自分が今どんな表情をしているのだろう」と気になって話に集中できないのです。ひどいときには顔がこわばったり、ひきつったりして、一番初めに対人緊張を感じたときと、おなじような症状が出てしまうのです。

これではまた元も子もないと思い、主治医に相談しました「幻聴などがおこったのは表情恐怖を治したかったからであり、幻聴や躁鬱のお薬以外で対処する方法はないでしょうか」と。

そもそも「表情恐怖は対人恐怖症だからなのだろうか?」という疑問がわきました。歳をかさね、人は優しいものだと分かっているし、人とおしゃべりするのも大好きになりました。ですが「顔を見るのがつらい」というのは「また同じことがおこったらどうしよう」という「PTSD」か「パニック障害」なのではないかと考えるようになったのです。

「パニック障害」などに効くお薬を20年ほど前に本で読んだことがあったので、ダメもとで主治医に相談しました。主治医は私が一番困っていることを理解してくれ、当時私が試してみたいと思っていたお薬を処方してくれました。

症状からの解放

お薬が効いてくれました。まず「パニック障害」が無くなった感じがしました。「不安に対する不安」が無くなりました。強いお薬を抜いたあと、家族の前でも発症しかけていた「表情恐怖」がほぼ、無くなりました。恐怖よりも「話したいことがある」「やりたいことがある」気持ちが勝って、自分の表情にそれほど関心がなくなったのです。

それからあとは「楽」を感じることが増えました。夫が帰ってきて「今日は疲れているな」と感じるときは、あまり話しかけないようにしたり、していたのですが、最近は「そんなに遠慮することないよね」と思い「忙しかったの?お疲れー」と笑顔でむかえることができるようになりました。

以前は晩ごはんを食べた後もソファでうたたねをしている夫を起こすとき「機嫌が悪くなりそうだな」とこわごわ起こしていたのですが、最近は優しく起こすことができるようになりました。夫も「ああ、風呂入らないとな」などと「起こしてくれてよかった」という顔をしてくれるようになってきたので「おどおどする必要も無いのだな」と思えるようになったのです。

やはり「不安に対する不安」が無くなった気がします。「またなったらどうしよう」というパニック状態から解放され、日常生活でも「ああしなければ、こうしなければ」とガチガチになっていた思考回路からも解放されました。

朝家族を見送った後にゴミ出しをするのですが、二度寝などでゴミを出せなかっただけで「自分はダメな人間だ」と非常に落ち込んだりしていたのですが「また次ちゃんとすればいいや」と思えるようになりました。その上で、友達にそんな話をすると「二度寝って普通に寝るより気持ちいいんだよねー」と共感してくれたりするので「自分だけじゃないんだ」とダメな自分も肯定できるようになってきたのです。

生活の中での気づき

「毎日一緒でなくていい」という気づきもえました。以前、コラムでも書きましたが私は「規則正しい生活」を最優先して体調を管理してきました。ですが、それでは息切れすることにも気がついてきました。

たとえば、ある時期「歩くことが精神的に非常によい」ということを主治医に教えてもらい、毎日実践していました。確かによかったです。しかし、毎朝1時間の散歩は暑すぎる夏や寒すぎる冬には実践できないことです。

そんなこともあって朝に二度寝をしてしまっていたのですが、娘が休みの日に遅く起きてくる日があると「疲れているのだから、8時や9時くらいまで寝てしまうのも仕方がないな」と客観的に見ることができ「自分も天候のせいで歩けないのだから、朝はニュースなんかを見てくつろいでいても、やることさえやっていればいいよね」と思えるようになったのです。

「必ずしも規則正しい生活だけが、精神的にいいとは、いいきれないな」と思えるようになりました。

やっと本当に自分に合ったお薬に出会えた気がします。そして、無理をしなくなりました。私は常に忙しくしていないと社会からかけ離されていると感じたり、寂しかったりする人間だったのですが以前は不安のあまり予定を入れすぎて疲れてしまっていたことにも気がつきました。

木曜日は作業所に昼から出所しているのですが、朝に訪問看護師さんにも来てもらい、30分から40分くらい話をしてもらっていました。そうするとどうしても買い物や晩ごはんの用意がおろそかになり、気持ちも体も疲れてしまっていたのです。

訪問看護師さんには火曜日と木曜日来てもらっていて、どちらの看護師さんとも話していて楽しいし、悩みがあるときはよいアドバイスをいただけるので欠かせない存在なのです。しかし、さすがに朝も昼も予定を入れていると家事もはかどらないうえに外に出ていくのもしんどくなってしまいました。

作業所でも悩みは聞いてもらえます。訪問看護師さんは週一日だけ来てもらうことにしようと思い、私の気持ちを伝えたところ「無理せず息抜きしながらお過ごしください」と優しい言葉をかけてもらえました。

以前は、家に独りで過ごす時間が非常に苦手な私でしたが、ほどほどに外の世界に出て家でも、ゆっくりとした生活ができるようになって本当によかったです。やはり、本当に自分を苦しめていた、根本の悩みを解決できたことがとても大きかったと思います。

素のままで生きられる喜び

大学3回生のころから発症した「表情恐怖」。友達とファミレスにいって話をするときも、ものすごく疲れていました。むりやり笑顔を作ったり、自分の顔を気にしながら友達の話にうなづいたり……話に集中できないので楽しくしゃべることができなかったのです。

「自分はこのまま一生、この症状に悩まされながら生きるのだろうか」「心から笑えて親友と話をすることさえ、叶わないのだろうか」と独り自分の部屋で泣いていました。

しかし、やはり救いを求めていると助けられる日がくるのです。今はいいお薬がたくさん出ています。「お薬には頼りたくない」「やめられなくなったら嫌だ」といってお薬を飲まない人もいます。

私は「幸せな日々を過ごせるのなら、死ぬまでお薬を飲み続けてもかまわない」と思っています。

大好きな人たちと笑いながら「本当の笑顔」でおしゃべりを楽しめるようになることが何よりもの夢でしたので。

自分の本当につらい症状を正確に伝え、それに合ったお薬をえられるなんて思ってもいませんでした。しかし、私の夢も叶ったのです。

どうか今自分の病気で苦しまれている人がいるのでしたら、一度病院で助けを求めてみてください。私のように泣きながらつらい日々を過ごしてきた人が、ひとりでも多く幸せになれるよう願っています。最後まで読んでくださってありがとうございました。

macaron

macaron

統合失調症、その他の精神病をわずっている主婦です。
犬猫が好きで癒されています。

統合失調症

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