障害を持つ子どもとその兄弟に接してみて~私のボランティア体験談
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もう10年以上の前の話ですが、障害を持つ子どもたちのご家族のための相談ボランティアに参加したことがあります。私の担当は一緒に来館した障害をもつ子どもたちの兄弟や姉妹を見守ることでした。事情あって続けられず、僅か2ヶ月の体験でしたが、生涯忘れられない思い出になりました。
相談コーナー、キッズコーナー設置から撤去まで
私が参加させていただいたNPOは保健センターの1室を借りて平日の午後の2時間、隔週相談会を設けていました。私はキッズコーナーの設置と撤去作業、お母さんが相談をされている間、子どもたちの遊び相手などをいたしました。
相談会の設置では柔らかい絨毯を並べて1室の床に敷くのですが、固い繊維がはみ出していないか、隙間ができていないかなど、子どもたちの安全を考慮して細心の注意を払いました。また、テーブルや家具など角部分に子どもたちがぶつからないよう、発砲スチロールで覆ったりするなど、限られた時間の中でできる限りの工夫をしました。
こどもたちとの触れ合い
参加されたお父さん、お母さんが支援員に相談中、私たちボランティアは障害をもつ子ども、就学前の兄弟や姉妹と接しました。障害をもつ子どもは活発でずっと走り回っている子、話かけても反応がない子、いろいろな個性を持った子達でした。子供たちは先輩のボランティアさんが中心に1人1人に寄り添いました。私は兄弟、姉妹と遊びました。ぬいぐるみ、おもちゃ、ジェンガ、トランプ、絵本など子どもたちが興味を示すツールはそれぞれです。
絵本を持って絵本コーナーで立っている4歳くらいの女の子がいました。私は思い切って「一緒に読もうか?」と声をかけてみました。すると「うん」と頷き、私の隣に座ってくれます。少し距離をとって座っていたのですが、だんだんと絵本に顔を近づけてきました。
そこで「ここ座る?」って私の膝を指すと嬉しそうに座ってくれました。絵本の読み聞かせは初めてだったのですが、できる限りイントネーションをつけたり、セリフによって音色を変えてみたりすると笑ってくれたのが嬉しかったです。
3冊くらい読むとご家族の帰る時間となり、お別れになったのですが、お母さん、妹の顔を見ると凛とした「お姉ちゃん」の顔に変わったのが印象的でした。
障害を持つ子どもたちの兄弟や姉妹
私が出会った障害を持つ子どもたちの兄弟や姉妹は、控え気味でとてもお行儀が良く、優しい子が多かったです。泣いたりぐずいたりせず、健気に見えました。家ではお母さんの注意が障害を持つ子どもにいきがちだったり、兄弟や姉妹同士の遊びができなかったり寂しさを感じているお子様もいるのでは、と思います。
また、家の外では思ったことはすぐにずけずけと言ってしまう同級生から兄弟、姉妹のことを悪く言われたりしつこく言われたりして傷つくこともあるかと思います。
「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」が作成された漫画風で素敵なパンフレットをご紹介させていただきます。ご家族の方だけではなく幅広い方に知っていただければ、と思います。
・若い お父さん お母さんへ “障がいのある人のきょうだい”のホンネ
障害を持つ子どももその兄弟や姉妹も
残念ながら、筆者がお世話になったNPOはもうありません。しかし、全国で行政機関、NPO、親の会が行っている障害を持つ子どもたちの相談支援は広まりつつあります。中には私がお世話になったNPOのようにキッズコーナーを設けて、ご家族が相談に集中できるところもあります。ご兄弟も普段遠慮している部分があれば、支援員やボランティアの前では自分らしくいてほしいです。
昔出会った子どもたちに思いを馳せて、障害をもつ子どもたちだけではなくその兄弟や姉妹たちも健やかであることを願います。
参考文献
障害者情報ネットワーク ノーマネット
http://www.normanet.ne.jp/
障害児のきょうだい達の心の健康~きょうだい達をどう健やかに育てるか~
http://www.dinf.ne.jp/