アサーションスキルで自分も他者も大切にするコミュニケーションを
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コミュニケーションって本当に難しい!これは、人口の100%が抱える悩みだと言っても過言ではないと思います。この記事では、コミュニケーション力を上げるために使える知識、「アサーションスキル」を皆さんにご紹介します。
アサーションとはなにか
皆さんは「アサーション(assertion)」とは何かご存知ですか?直訳すると、「主張、断言」などの意味が出てきますが、ここで取り上げるアサーションとは、「自分も他者も大事にする表現方法」のことです。
認知行動療法の一種であるSST(ソーシャル・スキルス・トレーニング)の中に、「アサーション・トレーニング」が含まれます。「自己主張訓練」や「主張訓練法」とも呼ばれます。
コミュニケーションに難しさを感じている方にお勧めの治療法です。セラピストと行う場合は1対1の場合が多く、1回30~90分程度のセッションを週1~2回程度行います。もちろんご自身でワークを進めることも可能です。
あなたはどのタイプ?3種類の自己表現の仕方
アサーション・トレーニングでは自己主張の仕方を3つに分けて考えていきます。
①ノン・アサーティブ(非主張型)
自分を大事にできず、他人を優先してしまう自己表現の仕方
②アグレッシブ(攻撃型)
自分のことだけを考え、相手の気持ちや状況を全く考えない自己表現の仕方
③アサーティブ(非主張型と攻撃型の間)
自分を大事にはするが、他人への配慮も行える自己表現の仕方
例えば、忙しい時に急ぎの仕事を頼まれたとしましょう。ノン・アサーティブな人は、自分の仕事が山積みなのにも関わらず、「何とかします。」と引き受けてしまうでしょう。逆に、アグレッシブな人は、「私は忙しいんです!」と怒ってしまうかもしれません。では、アサーティブな人はどうでしょう?「申し訳ないのですが、他にも仕事がたくさんありますので、すぐにはできません。いつまでなら待っていただけますか?」などと、自分も大事にしながら相手にも配慮したコミュニケーションがとれます。
このように、アサーティブな言い方を練習することによって、ストレスやトラブルを減らしたり、抑うつ気分や不安な気持ちを軽減することを目標とします。
私のアサーション経験談
最後に、私のアサーション経験談をお話します。私は、以前から「アサーティブ」という言葉は知っていました。ですが、初めて本格的なアサーション・トレーニングを受けたのは、就労移行支援施設に通い始めてからです。アサーション練習のプログラムがあり、まず難しいシチュエーション(ママ友に無理な頼み事をされた等)が提示されます。まず、それに対して「非主張型」と「攻撃的」な言い方を考え、そして、その中間である「アサーティブ」な言い方を考えます。(言う練習もします!)この時に相手の状況や気持ちを理解していることを伝えたり、こちらの申し訳ない気持ちや事情を伝えます。そして出来るだけ新たな提案を伝えます。相手に、今後はこういうことに気を付けてほしい、と伝えることも時には有効です。
カウンセラーさんと一緒にワークをするのもよいですが、今までで困ったシチュエーションを思い出して、それに対するアサーティブな言い方を考えて、主治医やカウンセラーに見てもらう、というのもよいと思います。
アサーティブなコミュニケーションについて見てきましたが、いかがでしたか?特に日本人は、献身を美徳とする面もあるために、他人のために無理をし過ぎて疲れてしまう人も多いのではないでしょうか。だからこそ、「自分も他人も大事にするコミュニケーション=アサーション」を学ぶことはとても大切なのではないでしょうか。
参考文献
福井至、貝谷久宜著『図解やさしくわかる認知行動療法』ナツメ社/2012年