CO2が脳の機能(意思決定)に与える影響
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皆さんは空気のこもった場所で息苦しく感じることはありませんか?しんどくなる原因はいくつかあると思いますが、今回CO2に焦点を当てた研究を紹介します。
研究内容
2012年、米国のローレンス・バークレー国立研究所のウィリアム・フィスク氏とニューヨーク州立大学のウシャ・サティシュ氏によって、CO2が脳の機能(意思決定)に与える影響について共同研究が行われました。この研究では、22人の被験者がSMS(Strategic Management Simulation)というテストを受けました。テストは3種類の条件(600ppm、1000ppm、2500ppmのCO2を含む環境)で行われました(※1ppm=0.0001%)。SMSとは、意思決定の過程における実行機能を評価するコンピューター形式のテストで、被験者には仮定のシナリオが複数提示されます。
テストは以下の9種類の基準で採点されます。
①基本的な活動
②応用的な活動
③集中を要する活動
④同時作業
⑤自発性
⑥情報検索
⑦情報活用
⑧柔軟性
⑨基本的な戦略
研究結果
22人の被験者の平均得点を基準として比較しました。600ppmの環境に比べて1000ppmで6項目が低下しました。また、2500ppmの環境では7項目が大幅に低下しました。これにより、CO2が意思決定の過程における実行機能を低下させることがわかりました。
対照的に、③集中を要する活動だけは2500ppmで最高得点を記録しました。この結果に関して研究では過集中による可能性を示しました。この研究では、意思決定機能を低下を防ぐためには室内CO2濃度は1500ppm以下の環境を推奨しています。
場所別の一般的なCO2濃度
屋外:380ppm。
オフィスビル:1000ppm以下で維持管理。(建築物衛生法)
学校:1500ppm以下が望ましい。(文部科学省の学校環境衛生基準)
会議室:30分から1.5時間で1900ppmに増加。(フィスク氏の研究による)
密閉された構造で、人が密集しているところではCO2濃度が高くなります。窓を開けたり、換気扇や換気システムを使って空気を定期的に入れ替えることが重要です。
参考文献
EHP
blank"https://ehp.niehs.nih.gov