障害者雇用や採用面接で大切なこと~障害者の方を職場体験実習で受け入れた経験から
仕事今回は私が経験した障害者の方を職場体験実習で受け入れた経験と、障害者の方が面接を受けて感じている事についてお伝えしたいと思います。
障害者の方を職場体験実習で受け入れる事に
前職で平成20年頃に60人程度の部署で、10名の障害者の方を受け入れた事があります。人事課からの説明内容は以下の通りでした。
・法定雇用率未達の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならない。
・障害はあるがタイピング練習をしており、データー入力作業は問題ない。
・職場体験実習であり、今回の体験実習を通じて問題点を洗い出し、受け入れ体制等の検討材料とする。
体験実習受け入れで現場は大混乱に
障害に対する理解も準備もなく、健常者を受け入れる感覚で業務担当者が作業内容を説明、データー入力作業をスタートさせました。しかし、入力するデータは書式が乱雑だったり、入力すべき内容の記載されていない場合があったりと、作業内容を理解したり、柔軟に対応したりすることが難しい場面が多くありました。また、漢字が読めない方もおられ、入力作業が出来ない障害者の方が続出しました。障害者の方に業務を教える事に時間を割かれ、業務が停滞し現場は大混乱となりました。
障害者雇用で大切な事
障害者を職場体験実習で受け入れて現場が大混乱となった経験から、企業側の準備として、障害者に対する共通理解は担当部署と人事だけではなく、組織全体として必要です。特に業務担当部署、課単位での障害者の方に対する、障害特性、配慮事項等についての共通認識が肝要だと思います。
障害者の方のコミュニケーション能力、業務スキル等については、障害特性により大きく異なります。ですので、業務・作業内容を細部まで明確にする事により、障害者の方に求める最低限の業務スキルが具体的になり、より障害者の方の雇用機会が増えると思います。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構には、障害者の雇用支援に関する資料等をダウンロードする事も可能ですので、参考になれば幸いです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 WEBサイト
http://www.jeed.or.jp
面接官として大切な事
障害者の方に面接の感想を聞くと「緊張した」「怖かった」といった内容の話を聞きますが、今は優秀な人材の取り合いをしており、面接官の対応次第では優秀な人材を取り逃がしているのではないでしょうか。そこに気付いている企業は、面接者の緊張をほぐすため、面接官の自己紹介、雑談を経てから面接に入り面接者が答え易いように履歴書、職務経歴書に基づいて、質問内容を具体的にする等の工夫をされています。それは面接をビジネスシーンに置き換えて考えてみると、初対面の面談においては名刺交換を行い軽い雑談をしてから本題に入るのが一般的である事からも、当然の流れではないのでしょうか。
エジソン、スティーヴン・スピルバーグ、アインシュタイン、イチロー等はアスペルガー症候群(自閉症の一つとされ、社会性、コミュニケーション、想像性に関して障害があるとされている)であるとされており、彼らは一般の人には及ばないレベルの集中力とこだわりを特定の分野で発揮すると言われています。従来のコミュニケーション重視の面接では、これらの特殊能力を持った人達を取り逃がしているのではないでしょうか。障害者の方の面接においても上記内容を参考にしていただければ幸いです。