Photo by Vonecia Carswell on Unsplash
「褒めて伸ばす」教育というのはよく耳にすると思います。例えば、食器を割った子どもを叱るときに「正直に言ったのは偉い」「破片で怪我をしないよう気を付けたのは賢い」と、良かった点も挙げて反省を促す感じです。これを実践する自動車教習所が前に話題となったこともありました。
しかし「褒めて伸ばす」というのはしばしば曲解されるもので、叱って止めるべきところさえスルーしてしまう極端な対応にもなりがちです。個人相手でそれだと良くないのですが、これを集団相手にやっているようなコメントを数回見たことがありますのでご紹介しましょう。
「ガーシー当選」で荒れていた頃のエピソードです。「投票への姿勢を批判するよりも、選挙に行った若者の存在自体を喜ぶのが先。投票先についての反省は後ですればいいし、投票率の低い今は投票そのものを貴ぶべき」という甘々のコメントがありました。選挙に行く若い世代が減っている昨今、理由は何であれ名前を書いて投票したこと自体は褒めるべきだという意見です。
また、「異次元の少子化対策」についても似た話があります。「人生100年時代の結婚と家族」という切り口での内閣府研究会で、招かれた教授が「告白やプロポーズを練習する恋愛ゼミ」の導入を提案したのですが、その内容が「少女漫画のように壁に追い詰める『壁ドン』」だったため物笑いの種にされました。これについても、「政府が恋愛弱者への支援を考えるようになっただけでも大きな前進。いずれまともなアイデアが出せるようになるので温かく見守ろう」と、恋愛支援自体は評価する声が出ています。
なぜ集団相手に褒めて伸ばそうとするのでしょうか。「褒めてもらえないからやめる」「馬鹿にされたり叩かれたりするからやめる」と投げ出される恐れがあるというのでしょうか。褒めるつもりが一周まわって見下している雰囲気すら感じます。単なる皮肉という線もありますが、なんにせよ変わった反応であることは確かです。
遥けき博愛の郷
遥けき博愛の郷
大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。
関連記事
-
NEW
「ご祝儀には旧札がマナー」は近視眼的に過ぎる
暮らし -
NEW
「誰も傷つけない表現」が不可能ならば、風刺も不可能なのか
暮らし -
NEW
不満にコミットする才能と、その危険性
暮らし -
NEW
「発達障害が増えた」と嘆く定型発達者の方たちへ
暮らし -
水と油、聴覚過敏と乳児
暮らし -
えっ、「お里が知れる」って不適切用語なんですか。
暮らし -
発達障害の私が思う、メディアやSNSとの向き合い方〜発達障害のASDとADHDを併発して…
暮らし 発達障害 -
高齢者の介護に触れてみて思うこと。
暮らし -
“炎上を防いだ人間”を誰が守ってくれるのか
暮らし -
PwC財団が推進する未来の身体拡張~BMI技術で広がる可能性
暮らし
人気記事
-
障害者割引一覧~障害者割引を活用してお得に生活しよう!
エンタメ 暮らし -
ガイジとは?なぜ死語から蘇ったのか〜死語から全国区へ広まった流れ
暮らし その他の障害・病気 -
ソシオパスとは?~サイコパスとどう違うのか
暮らし -
頭内爆発音症候群とは?寝る時に頭の中で爆音が鳴る、これって病気?
その他の障害・病気 -
自己愛性パーソナリティ障害の特徴・克服方法・付き合い方について
その他の障害・病気 -
障害者手帳で割引やサービスを受けられるホテル等宿泊施設~全国版
暮らし エンタメ -
発達障害とは?~発達障害の有名人も紹介
発達障害 -
今更聞けない、共感性羞恥心とは?
その他の障害・病気 -
障害者は英語で何て言うの?~【handicap(ハンディキャップ)】他
その他の障害・病気 -
発達障害とWAIS-III(ウェイス・スリー)成人知能検査
暮らし 発達障害