◀︎前回のページ:双極性障害で親友自殺の大きすぎる衝撃~再び不眠に
31歳で躁状態になり措置入院してからの体験談をお話ししたいと思います。
友情は魂の結婚である
お墓や形見の品にこだわってましたが、「友情は魂の結婚である」という言葉を見つけました。少し救われたような気持ちになりました。「20年間一緒にいてくれてありがとう。たくさんの思い出をありがとう。これからいっぱい楽しいことして、全部話して自慢して、悔しがらせてあげるから、それまでの静かな時間をそっちで今のうちに楽しんで待ってて。きっとあっと言う間だよ。すぐだよ、すぐ行くから待ってろよ!」そう思えるようになったのは親友の死から1年近く経っていました。ありとあらゆる本や漫画、映画、ドラマ、音楽、舞台が、私の心の栄養になりました。気に入った言葉や心に響いた言葉、励ましとなった言葉、自分の気持ちが言語化された言葉を見つけたときは、ノートに書き留めていきました。PCのWordに自分なりの名言集を作ったりもしました。音楽では花花の「さよなら大好きな人」、及川光博さんの「ココロノヤミ」が特に心に響きました。
「ココロノヤミ」 及川光博
(抜粋)
この闇は黒ではなく 深い深いコバルト
夜明け前の海のように 沈黙の音がする
波はいつも 私の足元をさらうだろう
痛みと夢 そして歌を残して
やはり私は弱くて でも先に進もうと
胸を焦がし また星座を見上げて
2人分人生楽しんでやる
親友は私のことを「難しい国家試験に合格して、人の役に立つ立派な仕事をしている」と言ってくれていたそうです。私を誇りに思ってくれてたんだから、それにふさわしい、恥ずかしくない生き方をしようと思いました。 「立派な仕事」というものがどういうものかはわかりません。とりあえず経験のあった経理の単発仕事から再開しました。新しい環境に行き、新しい仕事を覚えることで、余計なことを考える時間を物理的に減らしました。また、ネットのコミュニティで、社会人のテニスサークルに入りました。運動は苦手でしたが、体を動かすのは気持ちがいいものでした。精神的に疲れているときは、適度に体を動かすのも効果があるようです。テニススクールにも通い始めラケットも買いました。昔からテニスを見るのが好きで、NHKの「ウィンブルドン選手権」をよく見ていました。選手の精神状態がよくわかるスポーツで見ていておもしろいのです。次、決めたら優勝というところでエラーを連発してしまう選手。極限の状態でどのように平常心を保つのか、とても為になりました。スノーボードにも挑戦し、サークルの人たちと甲子園に阪神の応援に通ったりもしました。及川光博さんのツアーで国内を回り、各地に友達もできました。意地でも人生を楽しまなくっちゃ、あの世で親友にあったときに悔しがらせてやるんだ、という気持ちだったのかもしれません。
求め続ける限り、人は迷う
ときどき親友は夢に出てきました。いつも後ろ姿か横顔で、はっきり顔はわかりません。今、どこに住んでるの?と聞くと、あっち、と指をさして消えてしまいます。それから私は、今どうしてるかは聞かないようにしました。自分からは会えないけれど、どっかで元気に暮らしている、という夢でしたので、それならそれでいいや、と思うようになりました。今考えると、よく入院しなかったな、と思います。衝撃の大きさはこれ以上ないぐらい大きすぎるものでした。精神科には変わらず通院していました。仕事中は来なくてよいと言われていましたので、服薬だけ続けていました。措置入院したときの医師は退院後すぐに病気休職してしまい、そのあと何人かの先生を受診して、ひとりの先生に落ち着きました。同族経営の大病院ですが、のちに院長先生になった医師でした。現在の担当医師でもあります。「とにかく無理をしない、ゆっくり、マイペースで」と毎回言われます。
立ち直った方法、とありますが、「時間薬」が一番だと思います。親友が亡くなったときの記事を思い出して書いてるときは涙目になってしまいました。「立派な仕事をしなければ」、「人生楽しまなければ」。無理矢理楽しんでいた部分もあったと思います。そのツケが一気にくることになります。
フジコ
フジコ
31歳のときに双極性障害を発症して入院し、8年後の夏オリンピックのときに再発入院。
また8年後に躁状態になったが自発的に対処できたため入院はせず。
その後主治医の許可が出たため、現在は就労移行支援施設で訓練中。
障害を隠して仕事をしてきたが、障害者雇用枠での長期就労を目指す。
双極性障害(躁うつ病)
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