多様性が富んだ社会が理想だと感じながらも、マイノリティに対して偏見・差別・心の壁を感じている人が多いという調査結果〜日本財団がダイバーシティ意識を調査

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9月より行われる「True Colors Festival」に関連して、日本財団がアンケート調査を行いました。アンケートの主題は、「社会的マイノリティに対する『心の壁』」なのですが、果たしてどういった結果が返ってきたのでしょう。

価値観も能力も多種多様な人々を抱合し共栄する「ダイバーシティ&インクルージョン」がどれほど認知・浸透しているかを占う調査です。主に社会的マイノリティ(アンケート内ではLGBTQ+や障害者だけでなく外国人や後期高齢者も含む)に対する回避や先入観などの「心の壁」についての質問で構成されています。果たして、どのような結果が出たのでしょうか。

「心の壁」はどうしても生まれる。そして知名度に課題。

まず、86.8%が多様性に富んだ社会の重要性を感じており、72.8%がダイバーシティ&インクルージョンの推進に前向きである結果が出ました。要するに、理念については賛成寄りの人がかなり多いという形になります。ただ「ダイバーシティ&インクルージョン」について多少なりとも知っている人は3割程度に留まっており、知名度そのものから課題を背負っている格好です。

また、95.9%が社会的マイノリティに対して日本社会に差別や偏見があると感じており、73.4%が実際に何らかの「心の壁」を意識した経験があるとのことですが、これが意味するところは何でしょう。

「この世は差別などない平等な世界だ!」などと本気で考える人は極稀で、差別や偏見の存在はほぼ全員が察していることと思います。そして、「心の壁」を意識した(≒差別意識を多少なりとも抱いた)経験もまた大半の人が経験していました。「心の壁」が芽生えること自体は本能に近いので、これだけを咎める訳にもいきません。寧ろ正直で誠意のある回答者をサンプリングできたことを喜ぶべきではないでしょうか。

ちなみに、最も「心の壁」を意識されていたのは「精神・発達・知的障害」で、62.2%でした。このアンケートでは障害者を身体障害とそれ以外で更に分けています。そうすることで見えてくるものもあるでしょう。

若者は知っている

世代別における社会的マイノリティへの差別や偏見の度合いは、最も低いのは10代で61.6%、最も高いのは60代で72.9%でした。特にLGBTに対しては、10代で26.7%、60代で54.6%とそこそこ大きな差がついています。これは、社会的マイノリティに対する知識を10代の若者がよく吸収していることを示唆しており、先入観にとらわれない若い世代が「ダイバーシティ&インクルージョン」のカギとなってくると言えるでしょう。

ただ、60代の72.9%に続いて多かったのが30代の72.0%というのが気にかかります。40~50代よりも多いので、ネット社会よりも親世代の影響が大きなウェイトを占めているのではないかと考えています。

よく接する人ほど「心の壁」はできにくい

「心の壁」の具体的な内容は、「会話など通常のコミュニケーションが取りづらいだろうと思った」が54.8%と最多で、次いで「日常的な行動や仕事などできないことが多いだろうと思った」が半数近くとなっていました。ここから、意思疎通の難しさや価値観の違いを直感して避けているのではないかという仮説が導けます。しかし、実際に接してみた感触がマジョリティと変わらない経験もまたあるのではないでしょうか。

「心の壁」が出来る原因についての項目もありました。回答者の自己分析ですが、「接し方が分からない」「あまり接したことがない」「よく知らない」の順で多いという結果が出ています。また、「心の壁」を減らす方法についても回答者に考えてもらい、「一緒に仕事や日常生活をする」「イベント参加などでコミュニケーションをとる」と挙げた人が4~5割を占めていました。

実際に社会的マイノリティと接する機会を多く経験することが「心の壁」を減らすことに繋がると、半数近い人が意識上では理解していることが示唆されます。「心の壁」を意識する度合いについても、「より多く+深く関わっているほど『心の壁』を感じづらい」「関わりが少なく浅いほど『心の壁』は感じやすい」という結果が出ています。ただ接するだけでなく職業レベルでないと「心の壁」は減らないのではないでしょうか。

ちなみに、「全く関わりが無いグループも『心の壁』を感じにくい」という結果も出ています。これは設問内容が無関心層を考慮していない為答えようがなかったと考察でき、初めて社会的マイノリティと直面した際に大きなショックを受けるのではないかと予想されます。

実際に関わらなければ始まらない

「ダイバーシティ&インクルージョン」の真逆である「心の壁」について、先入観から社会的マイノリティへの「心の壁」が生まれるという原因と、「心の壁」を減らすには「知る」「接する」ことが第一歩となるという対策が結論として導き出されました。

実際に社会的マイノリティと接することは楽ではありませんし、中途半端な関わりでは「心の壁」は崩せません。しかし、隔絶された場所からの口出しだけが盛んな状況もあまり好ましくないでしょう。「ダイバーシティ&インクルージョン」の理念へ近づくには、想像以上に多くの人へ苦難を強いることになるかもしれません。

障害者ドットコムニュース編集部

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