SPISというツールを知っていますか?~ウェブを用いた新たな定着支援

仕事
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定着支援の必要性

障害者手帳をお持ちの皆さん、就職後に受けられる支援はどんなサービスを思い浮かぶでしょうか?2018年4月から導入されたサービスである就労定着支援を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。支援機関から担当の支援者が会社に定期的に訪問し、仕事の悩みや人間関係での相談を受け、会社と調整して働く障害をお持ちの方が仕事をしやすい環境に整える制度のことです。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センターが2017年に出した調査結果では、精神・発達障がい者の1年以内の離職率が40%以上という結果が出ています。一般の新卒の離職率が高くても20%となっているので、障がい者の離職率が高いことを示しています。定着率が低いと企業としては、採用にあたりどうしてもためらいが出てきます。 障がい者総合研究所によるアンケートによると退職理由の1位は病状の悪化で、2位が職場の人間関係がうまくいかないという理由で離職するケースが多いという結果でした。退職前に相談したかというアンケートでは、約60%の方は相談しなかったという結果です。会社の人間にも、外部の支援機関にも相談できず退職を決断しています。 現在、法整備が進んでおり上記にあげた定着支援についてサポートが充実しています。また、会社によっては日常の声掛けや、日報のコメント等で体調面を確認している会社は多いでしょう。定期的に面談をすることで働く障がい者の不安要素や聞き出し、不安をできるだけ取り除く努力をしているでしょう。しかし、日々働く本人たちの些細な心の変化を、上司や管理者が仕事をこなしながら全て察するのは不可能に近いと思います。 企業や支援機関が様々な努力をしても、これだけ離職率が高い理由の1つは、日々働く障害を持つ方のちょっとした心の変化や、言葉に出来ないストレスが心の底に淀みそれが爆発した結果だと考えています。日報や面談だけでは伝えにくい、どういった場面でストレスが溜まるかなどの、客観的なデータを示せないのが大きな原因だと考えられます。これらを諸問題を解決するために、開発されたのがSPISです。

SPISとは

【SPIS】(エスピス)とは、2018年より以前より開発された、ウェブを使用した就労定着支援システムです。毎日決められた項目をチェックすることで、点数化され集約したデータをグラフに現し、客観的なデータの視える化を実現します。

SPISは、【Supporting People to Improve Stability=人々の安定性向上を支援】という意味です。仕事が終わる前にウェブからログインして毎日その日の体調を数字で1~4までを直観で数値化します。これを毎日続けることによって、1カ月単位で集計してグラフで視覚化できるので、過去に自分がその時何を感じて何を思ったかを振り返ることができます。またコメント欄があり、些細なことでも記録を残すことによってご自身のメンタル面での自己管理に役立つツールです。内容を見れるのは、本人・管理者・SPISの相談員のみです。これによってプライバシーにも配慮したツールになっています。

SPISウェブがもたらすもの

SPISは1カ月に1回に面談するようなアナログな形式ではなく、インターネットを用いて利用者が日々、記録を付けることによって体調管理や管理者が気付きにくい本人たちの心の機微をグラフ化します。視覚化することで第三者の支援機関が客観視し、定期的に三者面談を行うことで、細かなすれ違いを防ぐ役割を担うことになるのです。 長期就労に欠かせないのが、自己管理能力(セルフ・コントロール)が大事です。自己管理と言っても、何をすればいいか分からないこともあります。毎日、調子がいい日・調子が悪い日を数字などで記録し、グラフなどで分かるようにすれば客観的なデータです。これらを積み重ねることによって習慣化し、自分の体調の良し悪しの目安となり、無意識に自己管理能力を高めることに繋がるのです。

4つのケア

4つのケアという言葉をご存知でしょうか?厚生労働省が定めた「労働者の心の健康保持増進のための指針」に書かれているメンタルヘルス対策を効果的にするための必要なケアを4つの区分に分けて書かれています。

  • セルフケア

    自分自身で行うことのできるケアを指します。働く本人が自分でストレスに気付き予防することです。

  • ラインケア

    管理者が行うケア。主に会社の上司が日頃の職場環境を把握して、改善や相談対応を行うことです。

  • スタッフケア

    産業医や保健師、会社の人事労務管理スタッフが行うケアです。具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行うことです。

  • 外部資源ケア

    会社以外の専門的な機関や専門家の援助を受け、その支援を受けることです。

上記の指針で組織内が回るのなら問題はないのですが、全ての会社がこれらの環境を整えるにはハードルが高いかも知れません。SPISはその仕組みが最初から組み込まれているような設計になっていて相性が良いのです。

お試し版SPISシステムを体験してみて

パソコン・タブレット・スマートフォンからインターネットを利用できる環境なら、お試しでSPISを体験できます。服薬情報や生活面・社会面・作業面の3つの大項目があり、1~4までの数字を(1が良くない・4が良い)チェックするだけで簡単にできます。チェック項目も人によってオリジナルの項目を増やすことができます。その日の体調や感情のうつろいが視覚化されることによって、本人でも気づきにくいサインが客観的に見ることができます。また、日々のコメント欄に直接、言葉ではうまく言えない事を記入することで、メールカウンセリングの効果があり、自分自身で気付かない疲れやストレスを発見できるメリットがあります。また、会社の上司や管理者もどう対処していいか分からない時でも、SPIS相談員に報告することで、対処法も見えてくるでしょう。

まとめ

自己管理と言っても中々難しい部分はあるでしょう。会社も健常者と違って、どう対処すれば分からないこともあるでしょう。障がい者もせっかく就職できたのに、会社も雇用できたのに、細かな行き違いがあり短期間で退職することはお互いにとって非常にもったいないと思います。

SPISは長期就労を目指している方だけでなく、障がい者雇用でお悩みの会社にも間違いなく役に立つでしょう。

参考文献

就労定着支援システム SPIS
https://www.spis.jp/demo.html

こころの耳
http://kokoro.mhlw.go.jp/

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
http://www.jeed.or.jp/

Media116
http://www.media116.jp/

障がい者総合研究所
http://www.gp-sri.jp/

tkbn

tkbn

40代男性。30代半ばでうつ病を発症。40代になって発達障害の疑いありと診断される。就労支援機関で自分の特性について学び、最後の就活を終えコラムを書いています。趣味は鉱石収集。年2回大阪・京都で行わるミネラルショーや即売会に行って、気に入ったものをコレクションするのが楽しみですが、部屋で飾る場所が無くなっているのが最近の悩みです。

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