気分屋とは違う?!~双極性障害II型について

双極性障害(躁うつ病)
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私は、大学に通っているときに、躁期とうつ期を経験し、双極性障害Ⅱ型と診断されました。双極性障害は自分に診断が下りて初めて耳にしましたが、小中学生の頃から熱しやすく冷めやすい性格であるという自覚はあったので、この診断は腑に落ちるところがありました。

どんな病気なの?

双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれていました。簡単に言えば、気分がいいと感じる「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」の差が人よりも大きい病気です。躁やうつの症状はほとんどが回復しますが、症状の再発率は90%に上ると言われています。Ⅰ型は躁状態が大きく、入院を要するほど症状が深刻な場合に診断されますが、以下はⅡ型について触れていきたいと思います。

双極性障害Ⅱ型の場合、症状があらわれている期間は54%であり、46%の期間は症状が見られません。また、症状があらわれている状態のうち、93%がうつ状態、2%が軽躁状態、1%が混合状態(ネガティブな躁状態とうつ状態が同時に起こる状態)と言われています。原因については、はっきりとわかっていませんが、遺伝子や脳といった身体的側面や成育歴や環境にも左右されるので「心の病気」というより「脳の病気」であるとも考えられています(もちろんストレスから発症することがあります)。

軽躁状態とうつ状態

軽躁状態のときは自身が病的であると自覚することはほとんどありません。周囲が違和感を覚えたとしても本人は困っておらず、むしろ「今までの人生が間違っていた」「初めて本当の自分になれた」と感じることすらあり、また、正当なことを言いがちになっているので反論のしようがない場合もあります。自分の能力が実際より優れていると思い込み、それまでなかった自信を持ち始めます。本人が自信を感じていても周りからはうぬぼれに見られることも少なくありません。重度になってくると、誰よりも自分が優れており他者は無能だとすら感じ、その結果周囲を不愉快にさせ、人間関係が崩れる場合もあります。

また、軽躁状態には思考が急速になるということも見られます。軽度の場合、アイデアがどんどん湧いてくるため、創造力や生産性が上がり普段より仕事が捗り、周囲の人も会話が楽しいと感じられます。しかし、症状が重くなってくると、思考が速すぎて話の内容が理解できなくなる上に話を遮ることもできない、考えが浮かびすぎてバラバラになり繋がりがなくなる、同時に多くの活動をし始めるなどが見られ、最悪の場合、多額の浪費や借金、車のスピードを出しすぎるなどの危険行為、さらには違法行為に手を出すことさえもあります。

うつ状態は、憂うつな気持ちが永遠に続くように感じる、これまでやりがいを感じていたことさえも興味や喜びを失う、自分には価値がないと自己否定する、なにをするにも意欲が湧かなくなるなどの症状が見られます。また、双極性障害のうつ状態は、軽躁状態の自信を失うため、より不安の気持ちが大きくなりがちです。

私自身も、躁状態のときは、大学の同期よりも自分が優れていると信じ込んでしまい、「難しい他大学の院試を受ける」と周囲に言いふらしたり、バイトを毎日のように入れ、そのお金を使ってネットショッピングで大量の服や読める訳がない量の本を買ったり、毎日3時間睡眠程で部屋の掃除や資格の勉強を始めたりしました。友達や家族、大学の先生方など多くの周りの人の意見に耳を貸すことはありませんでした。うつ転するとその時期の自信を完全に失ってしまい、大学に行くこともできなくなりました。

再発の原因と予防

うつ状態や躁状態の再発の多くは、決められた通り薬を飲まなくなる、ストレスがかかる、生活リズムや社会リズムが乱れることが原因です。

まずはなにがなんでも病院に定期的に通院し、服薬をすることが重要です。また、症状が悪くないうちに軽躁状態になりかけたときやうつ状態になったときにどうするかをあらかじめ決めておく必要があります。

ストレスを完全になくすことは現代社会においてとても困難ですが、認知行動療法やストレスコーピングなど、ストレスを感じにくくすることや、早めの対処などが求められます。

生活リズムを整えるためには、決まった時間に就寝・起床する、規則正しく三食を食べる、昼間はできるだけ外に出かけて人と触れ合うなどを通して、体内時計を整えることが必要です。特に、睡眠の乱れは双極性障害の人にとって影響が大きく、1日の徹夜でさえも躁転やうつ転に繋がりかねません。また、睡眠欲求が減っている状態は、軽躁状態が疑われます。少量の睡眠でよく寝たと感じられても、実際は睡眠が不足しており、体力が回復していないということに自覚できません。以上のことより、双極性障害の方は、より一層睡眠について注意する必要があると言えます。

社会リズムを大きく乱す事柄として、新しい仕事に就くことや転勤や労働条件の変化の他にも、引っ越しや結婚・離婚など避けられないものも多くあります。そういった時ほど、前述の生活リズムを整えることが重要になってきます。生活リズムを整えるには、毎日の起床・就寝時刻、食事の時刻、外出時刻、その日の気分などを記録し、振り返ることも有効です。

双極性障害では、100%の回復ではなく、症状の再発をできるだけ抑えて病気に振り回されないようになることが目標となります。そのためにはまず、症状の理解が不可欠であり、その上で様々な予防策を講じる必要があります。

また、周囲の方にとっては、双極性障害の人は一見すると気分屋で扱いにくいと思われるかもしれません。しかし、当の本人にはその気分の変化を自覚する事が困難です。そのため、周囲が「いつもと違う」と感じ、それを本人に伝えることが症状理解の近道と言えます。周りの人が普段から変化を観察し、症状ができるだけ小さいうちに指摘することができれば、症状の悪化を防ぐことに繋がるかもしれません。

この文章が、少しでも多くの双極性障害の方の症状悪化を防ぐことに繋がれば幸いです。

参考文献

よくわかる双極性障害(躁うつ病) 著:貝谷久宣 主婦の友社

対人関係療法でなおす 双極性障害 著:水島広子 創元社

双極性障害 著:加藤忠史 ちくま新書

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大学生の時に双極性障害II型と診断されたアラサー男。趣味は犬の散歩です。

双極性障害(躁うつ病)

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