セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「「働きたい!」というムードが漂う場所に」(セコラム第33回)

仕事

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.33

三休がオープンしもうすぐ1年を迎えます。福祉事業所が新規で始めるサービスではなく、新たに福祉事業に参入する形だったからなのか、利用者営業を行ってもすぐにはメンバーは増えずに、あれよこれよと考えたアクションを少しずつメンバーは増えていき昨年の今頃はひいひいと言いながら取り組んでいた農作業も、メンバーと一緒に分担することで若干の余裕を残して作業を終えることができています。最初の頃に悩んでいたことはいまも悩みつつ、新たな悩みも増えてきています。それは「メンバーが辞めずに通所すること」です。僕たちは「就労」というゴールを持ちつつ訓練を行う事業所なので矛盾を感じる悩みですが「その目標を達成できずに通所できなくなること」をなくしていきたいのです。

自分が抱いたイメージじゃなかった、だから違う事業所に行こう。
自分が思ったより工賃が少ない、だから違う事業所に行こう。
自分と合わない人がいる、だから違う事業所に行こう。

様々な理由があるけれども、そのほとんどは「自分が思ったもの」と「実際のそれ」の乖離なのだと思います。三休は「働きたい!」というムードが漂う場所にしていきたいと思っています。「働きたい!」という思いを持った人が通所したいと思う雰囲気を作らないといけません。いままで以上にその個性を突出すべきフェーズに来ています。僕たちのような就労継続支援B型事業所は「福祉」業だけれども「サービス」業というのも忘れてはいけません。「こんなことを大切にしています。こんなことをやります。こういう未来を描いています。」言葉1つひとつから表現された事業所のカラーに即した人たちに「選ばれる」こと。そして働くメンバーによってカラーがより濃くなっていくこと。そして、その個性に惹かれた人たちがメンバーにさらに加わっていくこと。こうして事業所は大きくなっていくのです。

嬉しいことがありました。僕たちは農作業だけでなく内職もしているのですが、1日の目標に到達しないときがありました。終業30分前に、とあるメンバーが「世古口さん、残業しましょうか?この箱をすべて終わらせましょう」と言ってくれました。もう1人のメンバーも残業し、その日の目標は達成することができました。

「働くしんどさも、よろこびも分かち合う」これは三休が大切にしている考えの1つです。仕事の達成感を共有することでメンバーやスタッフの関係性は強くなっていきます。助け合い、分担し合い、切磋琢磨していく関係性が生まれます。「残業しましょうか?」という一言が発せられた日から「働く!」という空気が三休のなかに循環し始めた気がします。1人ひとり通う理由も違うし目標も違います。だけれども三休での仕事を通して目標を共有し仲間を見つけ自分らしい働き方や生き方を見つけていってほしいです。大げさかもしれませんが、残業の時間を共有した2人のやり取りを見るとそう思います。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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