潔癖症とは?きれい好きと潔癖症である不潔恐怖症の違い

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最近、テレビなどでも潔癖症(潔癖性)の芸能人の話題が多く出てきます。本来、潔癖症とは医学的には病気の別名で、正式名称は不潔恐怖症(汚染恐怖症)という病気であることを知っている人は、非常に少ないと思います。自分の身体へ「目に見えない汚れ」が付着しているのではないかと何度も手を洗ったり、入浴に数時間もかかってしまうことは不潔恐怖症(汚染恐怖症)です。

一方、いろいろな人がよく口にする潔癖症は、きれい好きであるケースがほとんどです。では、きれい好きと潔癖症と呼ばれる不潔恐怖はどう違うのかを見ていきたいと思います。

きれい好きと不潔恐怖症(重度の潔癖症)の違い



きれい好きとは、部屋が散らかっていたり汚れていることに我慢できないので掃除をしたり、体を清潔に保っておきたいので、頻繁にシャワーを浴びたりお風呂に入ったり、本人は、それを好きでやっている為、不安や恐怖がなく、日常生活に支障をきたさないものです。

一方、潔癖症が過度になった不潔恐怖症とは、強迫性障害の一つで、洗浄強迫ともいわれています。不潔であるという強迫観念にとらわれ、恐怖や嫌悪感、苦痛を解消しようと儀式のように手洗いなどを繰り返し、日常生活や人間関係に支障をきたす障害です。自分の意志でコントロールできないので、本人はとても辛く苦しい思いをします。


不潔恐怖症(重度の潔癖症)の見分け方




出典:https://twitter.com/sakamegane

上のドーナツの写真は、一目で自分が潔癖症かどうかわかると話題になった画像です。みなさんはこのドーナツを見てどのように感じますか?

・食べかすが落ちている
・誰が触ったかも分からない外袋の上に置く
・外袋を机の上に置く
・チョコから食べると手にチョコがつく
・ティッシュが置いてない
・やぶき方が縦

以上のことが気になった人は不潔恐怖症(重度の潔癖症)である可能性があります。


不潔恐怖症(重度の潔癖症)の症状



不潔恐怖症には次のような症状がみられます。

・何回手を洗っても汚れが取れていない気がして、必要以上に手を洗ってしまう。
・1日に何回もシャワーやお風呂で体を洗ってしまう。
・お金を触ることに嫌悪感を感じる。
・電車やバスのつり革に触れることに嫌悪感を感じる。使えない場合もある。
・学校や会社など、自宅以外のトイレを使うことに嫌悪感を感じる。使えない場合もある。
・おにぎりやお寿司やハンバーグなど、他人が握って作ったものが食べられない。
・ひとつの鍋や鉄板から食べる、鍋物や焼肉を食べることができない。
・恋人とのキスができない。


「きれい好き」と「不潔恐怖症(重度の潔癖症)」との違い



掃除や洗浄に対して、清潔な状態が好きだから率先して丁寧に行っているというのであれば、「きれい好き」といえます。きれい好きの人は、視覚や嗅覚など五感の範囲できれいかどうかを判断します。

一方、不潔恐怖症の人は、肉眼では見えない頭の中で想像した汚れまで気になります。
肉眼では見えない汚れの粒が次第に増え、何か非常に悪いことをもたらすのではないかと危機感を抱きます。 不潔であるという強迫観念にとらわれ、恐怖や嫌悪感、苦痛を解消しようと儀式のように手洗いなどを繰り返し、日常生活や人間関係に支障をきたす障害です。単なる「こだわり」とは違い、自分の意志でコントロールできないので、本人はとても辛く苦しい思いをします。


不潔恐怖症(重度の潔癖症)の弊害



洗浄強迫の人は、手洗い等の洗浄行為を終えるタイミングや程度が分からず、いくら洗っても汚れが残っているように感じてしまう方が多いようです。また、「〇回洗ったら終わりにしよう」と回数を決めることがあり、そこから数にこだわる方もいます。入浴時間も長くなり、家族への負担も大きくなりますし、本人は深い疲労感を伴います。


不潔恐怖症(重度の潔癖症)の治療法



不潔恐怖症の治療として効果が認められているものには、認知行動療法や暴露妨害療法、薬物療法があります。

認知行動療法は、不潔恐怖の強迫行為や強迫観念が出始めたら、その時の状況や感情を客観的に見つめることを習慣化することで改善していく治療法です。悪癖から脱却し、新たな思考の習慣を体に覚えさせるものです。長く継続していくことが必要ですが、この方法で多くの人が改善しています。

暴露妨害療法は、「洗浄などの強迫行為とは逆のことをする」というものです。ただし、他人に強要されて触りたくないものに触れようとしても、暴露反応妨害として機能しないので、自らの意志で行う必要があります。強迫行為とは逆のことをする、と聞いて不安になるかもしれませんが、それぞれの潔癖度合いを考慮し、段階的に行うものです。まずは難易度の低いことから始め、洗浄などをしなくとも、だんだん恐怖や不安が少なくなってくることを体験していきます。

薬物療法は、抗うつ剤が処方されることが多く、その中でもセロトニンという脳内伝達物質を増やす薬が、一般的には多く使われています。最初に試されることが多いのは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)ですが、効果があまりなければ、三環系抗うつ剤を用いることがあります。効き目は強いのですが、副作用も多いので、服用するときは慎重にならなければなりません。また、不安感や不眠などで困っている場合は、抗不安薬(安定剤)、睡眠薬などを併用したり、強迫観念が強く、妄想を伴っているような場合は、抗精神病薬を処方することもあります。ただし、薬物だけでは不安恐怖症の根本的な治療には至らないことが多いので、森田療法や暴露妨害療法などの精神療法も併用することが効果的です。

筆者は、一時期、必要以上に手を洗ってしまう為、両手の指があかぎれだらけだったことがありました。筆者の場合は、「思い込み(=自分がおそれていること)が実際には起きない」という現実を確認し、繰り返し体験する事で治りました。



潔癖症という言葉は、よく耳にするようになりましたが、重度になると日常生活に支障をきたす病気であることはまだまだ知られていません。
筆者のケースは一例ではありますが、治療の効果も人によって違います。もし、不安に思うことや治療法の希望などがあれば、医師に相談されてはいかがでしょうか。。医師から十分な説明を聞き、病気や治療のことのことが理解できれば、必要な治療なのだと納得し、進められるでしょう。

障害者ドットコムニュース編集部

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