うつ病を発症し、やむなく離職~就労移行支援事業所を利用して
仕事出典:Photo by blackieshoot on Unsplash
私はこれまでにうつ病を患ったことが2度あります。1度目は休職となり、傷病手当金の給付を受けつつ職場復帰を目指しました。しかし、2度目は別の勤務先に勤め始めてから約3か月しかたっておらず、就業規則(休職期間は1か月が上限でしたが、主治医の診断で少なくとも3か月の休養が必要)の関係で退職するしかありませんでした。退職したからには再度の就職先を探さなければなりませんが、しばらくは就職活動を再開させるだけの精神的余裕はなかったのです。
離職から就職に向け「就労移行支援事業所」の利用を決断するまで
それから約2か月がたったころ、就職活動を始めようと考えたものの、自分一人でそれを進めるには限界を感じており、何から手をつければいいのか見当がつきませんでした。「うつ病を患った人間を雇ってくれる勤務先が果たしてあるのだろうか」と不安になりました。
就職相談先として思いついたのが「地域就労支援センター」と「キャリアカウンセリング」でした。さっそく双方に相談にいきましたが、そこでえられたものはあくまで「就職活動の進め方」に関することが中心で、ある程度は参考になったものの過去に就職活動の経験がある私としてはさほど、真新しい情報はえられませんでした。また、うつ病で離職したことを伝えると「手帳を取得して『障害者就労』を目指すことも方法」とアドバイスされたものの、今ひとつ納得できません。結論がえられないまま新型コロナウィルス感染症が国内で蔓延したことで、それらの相談先も約2か月にわたって閉鎖となり、自宅に引きこもる日々となったのです。
1度目の緊急事態宣言が明け「障害者就労移行支援事業所」の利用を本格的に検討し始めました。しかし、これらの事業所は「過去にほとんど就労経験がない方たちが利用するところ」と考えていたため、すぐに結論を出すことはできず、利用するべきか否か迷う日々が1年ほど続きました。また、厚生労働省の事業である「就職氷河期世代を支援」するためのセミナーに参加することも考えましたが、こちらは社会人としての基礎を身につける「ビジネスマナー研修」の受講が必須で、長い就労経験があるというプライドもあり、私のニーズを満たすものではないとの判断から見送ることにしたのです。
しかしその後、就労移行支援事業所に実際にでむき、個別の説明会・見学会に参加したことで就労経験の長い方も利用していることを知り、雰囲気もいいと感じたため正式に利用契約を結ぶことになりました。なお、私は手帳は未取得でしたが、定期的に通院している実績があることで利用が認められました。(ただし、利用の可否を判断する各自治体ごとに基準が異なるので、詳しくはお住まいの自治体に確認する必要があります)
「障害者就労移行支援事業所」の利用を開始してから
利用を開始してから就職活動を進めるにあたっては、自分についての理解を深める必要があると考えました。そのためうつ病を患ったことも含めて、過去の経過を徹底的に振り返り分析しました。そのことによって、自分は今後どのような働き方をすることでうつ病を再発することなく定着できるのか、導き出す作業をおこないました。この取り組みについては、自分で考えるだけではなく、支援スタッフと自分の考えたことを共有することでより理解が深まっていったと思います。また他にも複数のプログラムが用意されており、自分のニーズに合わせて必要に応じてスタッフと相談しながら受講することもできます。(すべてのプログラム受講が必須というわけではありません)
その一方で利用開始当初は「障害者」「合理的配慮」という言葉に少し抵抗があり(障害者支援の場であるため、プログラムでもそれらについてはよく触れられます)、自分のニーズに合うのだろうか?という不安もあったことは確かです。しかし、ひとりひとりの事情や障害などの特性を理解したうえで、支援方針を決められていることがわかり、通所にあたっても毎回必ず取り組み内容の共有を行ったのちに振り返りがあることで「自分はこの進め方でいいんだ」という安心感がえられ、大変心強く思っています。
これからどう進めていくか
今後は、キャリアカウンセリングなども並行して活用しながら、慌てず焦らずしかし着実に就職先を決められるよう、支援スタッフと情報共有しながら活動を進めていきたいと思います。また、就職してからも自分に関して理解を深めたことを活かし、初めから無理をしないことを心がけながら、定着にむけてできる限りの努力をしたいと考えています。
就労移行支援は利用できる期間が最大で2年と限られています。この期間を有効活用しながら、就職後はできないような様々な体験や試行錯誤ができる、人生の中でも貴重な機会だと思います。悔いの無いよう、就職後もここでえた経験を活かすことができれば幸いだと考えています。
参考文献
【よくわかる!就労移行支援】
https://works.litalico.jp/syuro_shien
うつ病