プログラミングを扱うA型事業所「プラスエス」さんと提携先の「株式会社見える化」さんにインタビューしました

仕事

プログラミングを中心に扱うA型事業所の「プラスエス」さんと、提携している「株式会社見える化」さん、その利用者さんらにインタビューする機会を頂きました。

テレワークのプログラマー

──皆様の取り組みについてお話しください
「きっかけは、弊社株式会社見える化に入社後発覚したのですが、ADHDのスタッフがおりました。特に私としては、気になることもなく特性と捉えお付き合いしていた中で、特性をお持ちの皆さんの中にまだまだ新たにIT業界にチャレンジを希望する方がいると仮定し、たまたま元々のプラスエス熊沢さんとの付き合いがあった為相談させて頂き2年ほど前にスタートし、当社カリキュラム(マナベル)を元にプログラマーとして主に松本さんと中島さんを紹介され今でも大活躍していただいております」

──おふたりは障害者雇用としてどのような業務をされていますか
「ざっくり言うとプログラミングです。見える化さんから開発業務を頂いて、出来る出来ないを議論しながら進めています。実務を始めて日が浅いので、今は簡単な業務だけをやっています」
「kintoneの環境を一から構築したり、全部の案件で共用できるプログラムを作ったりするような感じですね。kintone内にJavaScriptを主としてコーディングし、HTMLやCSS等を用いて視覚からわかりやすくしたり、APIを用いて情報の転記を行なったり、高度な機能を使いながらやっています」

──おふたりに働いてもらおうと思ったきっかけは何ですか
「施設の単純作業を見ていて『違うな』と感じました。プラスエスの熊沢さんとも相談し、現段階でPCに強いもしくは好きな方を選んでいただきましたら、松本さんと中島さんでした。特性によるかと思いますが、PC作業での就業を望む方が多いという仮定においては、ドンピシャでありましたので、在宅で出来るパソコンでできる仕事を依頼しております。」

初めてのまとまった収入

──職場の環境や、働くことによる変化などを教えてください
「平日は4時間、土曜祝日は3時間、月に23日くらい通所しています。入った時点ではプログラマーになるなど夢にも思っていませんでした。高校と大学が工業系なのでプログラムについてはある程度知っていましたが、自分には向いていないと思っていました。パソコンでの仕事自体はやりたかったので、初めて聞いたkintoneも実践するうちに『もしかしたら自分にも出来るのでは』と思えてきて、研修動画やプログラムの勉強サイトを見ながら少しずつ積み上げていきました。作業も松本さんの手伝いから、少しずつ大きな仕事を任されていって、流石に0から作るのは無理ですが既存のプログラムを扱うことは出来るようになりました。身体を壊したのが10年前、そこからまともに就職できなくて、安定した収入を得られたのが去年で初めてでした。収入としては大したことないかもしれませんが、自分にとっては大きくステップアップの出来た1年です。一気に駆け上がろうとするとまた潰れてしまうので、体調を見ながら少しずつ進めていけたらいいなと思っています」
「元々、デザインの仕事がしたくて求人を探していました。そこでパソコンでデザインが出来るという求人を見かけたのが出会いです。デザインの仕事は無かったのですが、色々あってプログラミングの仕事を任されています。独学でやってはいたのですが実務経験はそれまでありませんでしたね。一日6~8時間働いていましたが、今は6時間で、そろそろ7時間に戻そうかなと考えている所です」

──熊沢さん、見える化堀内さんとの出会いは何ですか
「以前から堀内社長と付き合いがありまして、紹介された感じです。開設当初はデータ入力がほとんどだったので、幅を持たせるために求人に色々書きました。それで松本が入ってきたのですが、高い能力を持っているのに我々には活かすことが出来ず、稼がせる手段のために見える化堀内さんへ紹介しました。松本の能力幅を活かしてくれる企業様なので、こちらとしても大変助かっています。売り上げにおいてはデータ入力とプログラミングで大きな差がありますし、プログラムをやったことのない人間でも出来るようになるマナベルというツールを見える化さんがお持ちということで自然に進めることができました」

──プログラミング以外の強みはありますか
「プログラミング単体ではハードルが高いというか、kintoneの中ですら業務の幅があって、その辺の魅力はあると思います」

とても優秀です

──一緒に働いていて苦労や課題はありますか
「業務のやり取りに滞りは無く、素晴らしい対応をしてもらってますし、心強いなと感じています。遂行能力も高く、逆に我々が情報収集の不足などで迷惑をかけることすらあります」
「苦労したことよりも、助けられたことの方が多く、実際にkintoneの開発に関しても高いエンジニアスキルに支えられました。障害者への見方も、単純に『出来るんだ』『すごい』という風に変わっていきました」

──今後AI技術がポイントになると思いますが、どのように捉えてますか
「我々の視点からですと、色々と有用なパーツが増えていく中で、持っている特性に合わせたディープラーニングが必要になってくるのではないでしょうか。そこまで影響はないのではないかと思います。日本のITリテラシーは世界でも下から数えた方が早いレベルで、何故なら固定取引先でやり方が決まっていて、テキストが動く程度のものしか望まれず、少し高度な仕組みになると嫌がられる現状があるからですね。取り組みを増やすことによって、将来的には中小企業のIT担当者として何社か掛け持ってテレワーク出来る仕組みが出来れば一番いいかなと思います。もちろん働く本人が望めばですが」

──見える化さんでは他に障害者雇用の方がいるのですか
「今はいません。ただ、障害者雇用と通常雇用の区別はよく分からないのでしていませんね」

今後について

──今後こういう風に働いていきたいという目標はありますか
「本当はそこまで志の高い人間ではないので、自身のメンタルを大切にしつつ、無理せずほどほどにやっていきます。もちろん出来ることを増やした方が望ましいですけれども、今出来ることをやっていくだけでもいいのではないかと思っています」
「私は皆と仲良くしていくのがモットーであり、それ以外は特に求めていません。取引先の皆様に迷惑をかけない範囲で仲良くなっていけたらなと思います」

──今後IT系で障害者就労が広まっていくには何が必要だと思いますか
「どこまで力になれているかは分かりませんが、上手くお付き合いさせて頂いていると思います。障害者だからではなく、一個人として接する、理解のある企業さんが増えてくれば、輪も広がってくるのではないでしょうか。松本などは正直大変になるときもありますが、それも含めて優れた仕事ぶりを発信するべきでしょうし、雇う側も受け入れる相互理解も必要です。その為の発信が出来るようになる必要がありますね」
「仕事とは、型に嵌るときは嵌るべきでしょうが、オンラインやITに関しては個性を出していけると思うので、個性に特化していくべきだと思います。出来ないことはないというお二人の姿に影響される企業が増えていかないとですね。取引先から『これをexcelに戻しておいてよ』と意味不明なことを平気で言って、お金と時間を使った仕事を否定するのが今の日本のITです。松本さんや中島さんの方が何倍も高いITリテラシーを持っていますよ。上場企業から零細企業まで、IT環境は瀕死状態と言ってもいいです」

『まこさん』という素敵なキャラクターで発信されています。IT系の障害者就労がさらに広まっていけばと思います。


株式会社見える化
公式HP:https://www.aelu.org/
マナベル(業務自動化):https://mieruka.cloud
プラスエス:https://teraspro.com

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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