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急病の時、救急車とタクシー、どちらを呼んだらいいか迷ったことはありませんか？最近では、救急車をタクシー代わりに利用する人も増えていると問題になっています。筆者の体験談を紹介させていただき、救急車とタクシーのどちらを選べばよいか考えたいと思います。

発作はまたも突然起こった

それは数年前。市の主催する大がかりな夏祭りの夜でした。祭りの賑わいをよそに、会場である公園に隣接していた私のアパートから目と鼻の先の小さな一品料理屋に足を向けました。すると道の途中で頭も体もフワァーっとなり、意識を失いかけたのです。発作性もうろう状態でした。

私はてんかんです。てんかんというとイコールけいれんというイメージが強いですが、発作性もうろう状態と言って、このように突然意識がもうろうとしたり、ひどい場合には意識を失ってしまうこともあるのです。これを発作性もうろう状態と呼びます。以前にも何回か経験していたので、そうだと直感しました。

辛うじて意識を失っていなかった私は、自宅に戻るべきか料理屋に入るべきか逡巡し、「助けを求めよう」—そう決め、料理屋のドアを開けた途端店内に倒れこみました。

119番との押し問答

「大丈夫か!?　どないしたんや!?」という大将の声に「救急車を‥‥」と辛うじて頼みました。

大将が119している様子。「意識失いかけとんやで‥‥発作性もうろう状態やって本人は言うとる‥‥精神疾患の場合対応できへんて!?‥‥119番やろ!?　もうええわ。タクシー呼ぶわ！」大将はガチャーンと電話を切りました。

タクシーを頼もうとしているところだったと思います、電話が鳴りました。消防署でした。「今から救急車を向かわせる」とのこと。もし、私に万が一のことがあり、119番の責任になることを恐れたのでしょうか。この対応の反転の理由は今もって分かりません。

全く動かない救急車

けたたましいサイレンと共に救急車が着きましたが、どうやって救急車に乗ったのかは覚えていません。中に入ると質問攻めです。「お名前と生年月日教えてください」から始まる基本的なこと、今回のもうろう状態の状況など10分ほど聞かれました。店から私がかかっている精神科の病院は車なら5分もかかりません。「まだ病院着きませんか？」と私が尋ねると、「いえ、まだ車動いてませんよ。」と救急隊員。「エッ！？」「じき、向かいます」。

そしてそこからさらに、質問は続きます。てんかんの病歴。それから併発している双極性障害（躁うつ病）でもある私の病歴を事細かに聞いてきます。「もういい加減病院着きますよね」「いえ、まだ車動いてませんよ。店の前です」私は絶句しました。「タクシー呼ぶから、もう出してくれ」と言いましたが、「それは困ります」の一点張りです。

タクシーを呼んでも10分もかからない病院に着いたのは、119番通報して30分以上後のことだったと思います。病院に着いても、診察室の前でかなり待たされました。救急隊員が私から聞き取った内容をじっくり報告していたようです。全て病院にある情報を。診察室で手際よいよいドクターの診察を受け、私は入院ということになりました。



急病のとき、救急車を選ぶかタクシーを選ぶかはケースバイケースだと思います。私のこのケースでは、救急車は完全に失敗でした。私は一刻も早くドクターに診察してもらいたかっただけなのです。

救急車は、搬送の記録を残さなければなりません。その記録をもとに、搬送先の病院でドクターに申し送りをしなければなりません。そのため命に別状がない場合は、救急車は出発までに時間を要します。一刻を争う命に関わる病気やケガの方が優先に使うためにも、通ったことのある病院で早く治療を受けたいというのであれば、タクシーを呼ぶのがよいでしょう。救急車の適正利用にもつながります。