ある引きこもり支援団体が語る「就職できる人の5大条件」とは

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Photo by Nick Fewings on Unsplash

就職とは、社会へ出る以前に生きるか死ぬかが左右されるレベルで重要なイベントです。その重要性は引きこもりであろうとなかろうと変わらないのですが、誰でも簡単に手に職をつけられる訳ではないというのはこの世の矛盾であり欠陥です。

さて、ある引きこもり支援団体が「就職できる人の条件」を語っていました。その団体は「CARPE FIDEM」といい、不登校や引きこもりの若者に向けた大学進学塾を中心に活動している一方、独自の引きこもり観などをコラムなど目につく形で発信もしています。

元引きこもり当事者という同じ条件でも就職の可否に差がついている以上、就職できる人が持つ条件や個性というものは必ずあります。それは一体何なのでしょうか。条件に当てはまらなければ就職は出来ないのでしょうか。そもそも、語られている価値観の全てが正しいと言えるのでしょうか。

就職できる人の5大条件

CARPEさんが「就職できる人の条件」として挙げたのは、「頭が良い」「体力がある」「特殊な技能がある」「コネがある」「気合がある」の5つで、これらの最低1つでも満たしていれば職場定着も含めて就職は上手くいくのだそうです。

条件1:頭が良い
頭の良さは最も高所得に結びつきやすい条件です。医学部や薬学部など大学の中でも専門性の高い学部を卒業すれば証明でき、進学校への在籍や先天的な高IQなどは殊更有利に働きます。大学名によるコネとも両立しやすく、良い就職先に恵まれやすいのも特徴です。早い話が学歴で頭脳を証明せよとのことで、良くも悪くも進学塾らしい提言だと思います。ただ、経済面などの観点から実質的な年齢制限はあり、30代からこれを目指すのはほとんど不可能です。

条件2:体力がある
所得面こそ頭脳労働に及ばないものの、フィジカル面の強さは就職における間口の広さに直結します。体力が求められる仕事は常に人材が不足しており、裏を返せば求人が途絶えることもない訳です。一般的な引きこもり支援が就職先として想定するのも、この辺りが多いですね。ただ昭和の体育会系気質が残っている所も多く、定着まで考えると一転して不安定な選択肢となります。

条件3:特殊な技能がある
一口に特殊な技能と言っても様々ですが、画才、歌唱力、語学力、プログラミング技術など、商業で通じるレベルで特化した一芸もまた心強い才能です。学歴としては、高校時代から工業や芸術など専門性の高い学校に通っているケースが該当します。本人の性格と技能が合致すれば、定着も含めて最強の選択肢に化けるでしょう。但し所得面での不利は大きく、一般的なサラリーマンの年収に並べば御の字というレベルの世界です。

条件4:コネがある
ここでいうコネとは、親類縁者か出身校の繋がりを指します。一般的に忌避されがちなコネ入社も、引きこもりの社会復帰という観点では強烈なアドバンテージを持ちます。ほとんどが親類がらみのコネになりますが、業種的に失業しにくい反面、企業規模の小ささから所得面は期待できません。出身校絡みのコネは、先述した「頭の良さ」とも絡んでおり、有名校の繋がりによって高待遇の企業へ就くことも期待できるそうです。

条件5:気合がある
何をもって気合とするかは大きく2つ、「教えを請う事への抵抗がない」「元気で声が大きい」ことです。特に前者は社会人として常に求められる姿勢で、人生の中で学び直しが必要になったとき素直に他者から教えを請える人間は気に入られます。また、後者も決して馬鹿には出来ず、元気に声を張り上げて鼓舞するだけでも評価されるところもあるようです。上述した頭脳・体力・技能・コネの4項目をいずれも持たない人にとっては最後のリソースとなりますが、1つでも持っている人にとっても就職への大きな支えとなる力です。

何も持たない人は?

頭脳、体力、技能、コネ、そして気合。いずれも持ち合わせていない人はどうすればいいのでしょうか。CARPEさんは既にその質問を受けており、こう答えています。「(何もない人は)他人の邪魔をせず、ひっそりと生きましょう」「自分が上手くいかないからといって、嫉妬や劣等感に狂い、他人への妨害を企図するのは絶対にやめましょう」

とは書いてありますが、実際CARPEさん的に許せない生き方とは、働きもせず国や他者からの施しだけで食いつないでいることだそうです。CARPEさんに言わせれば、他人に迷惑をかける生き方とは社会保障や生活保護に甘えきった生き方のことであって、ヘイトやクレームやキャンセルカルチャーで商業活動を妨害することではないのかもしれません。

迷惑をかけてメシを食う者は存在する

ここまでがCARPEさんの弁となります。就職に必要な能力は大体分かりますが、何も持たない人へのアドバイスには矛盾や隙間があるというのが読んでみての正直な感想です。実際の世の中を見渡してみれば、他人への妨害をマネタイズしている、いわば「他人に迷惑をかけてメシを食う者」「他人への妨害自体が職業となっている者」はごまんと存在します。

例えば、ヘイト言説をばらまいたりクレームやキャンセルで他人様の商売を萎縮させたりする活動家などです。収入源は他にあるかもしれませんが、活動の一環として特定の層を貶め支持者をハイにさせることは結構あります。まさに他人に迷惑をかけること自体を職業としている典型ではないでしょうか。YouTubeの収益化されたチャンネルでヘイト的な発信(例えばADHDは気の持ちようなどと)をする輩は、完全に露悪とヘイトでメシを食っている“賤業”です。

CARPEさんが嫌う、社会保障へ依存しきった生き方も、それを奨励して生計を立てている人々が居ることはCARPEさん自身が「人権と弱者救済の名のもとに生活保護を勧め『働かなくて何が悪い』と嘯く人々が支援者側にも存在します。彼らはそう主張することが利益になるからやっているに過ぎず、実際の当事者の利益は考えていません」と語っています。

国や他者からの施しに依存する小さな存在ばかり糾弾するのではなく、他人を妨害することで収益を上げてメシを食っているような存在にも厳しく非難するべきです。そうしないのは、どれだけ悪質な方法でも自力で生計を立てられているならば無職の引きこもりより偉いという価値観が根底にあるからでしょう。他の記事では「中年(30代)以上の引きこもりはもう無理」とバッサリ切り捨てているくらいですし。

まだ若いうちなら社会復帰への希望も比較的大きいというのは否定できませんが、それでも私は「30~40代の元引きこもりを正規雇用まで導いてやったぜ」という武勇伝の方が聞きたいです。誰か、こけおどしでもいいので、「若い引きこもりだけ相手にしてイキるのは半人前。中年引きこもりを社会のレールに乗せてこそ初めて一人前の支援者だ」と啖呵を切ってくれませんか。

参考サイト

不登校・引きこもりと就職事情~就職できない人に足らない要素~
https://www.carpefidem.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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