しんどい心をゆるめる読書録#4~『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』
暮らし
こんにちは、かのんです。
今回はしんどい心をゆるめる読書録第4回になります。
統合失調症の当事者の1人として、本を読んでどのような感想や想いを抱いたのかをお話していこうと思います。
今回取り上げる本は『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』です。
表紙のイラストが虎と小さい子で、とても可愛らしいです。
この本は横書きで描かれており、絵本感覚で読めるエッセイになっています。私がこの本を手に取ったきっかけは、書店で見かけてぱらぱらとページをめくっていると、人付き合いに関する内容が目にとまりました。ですので、私が長年悩んでいて、最近やっと色々と分かってきた、人付き合いに関する事もお話出来ればいいなと思います。
この本は第5章からなっており、優しい口調でこちらに語り掛けてくれます。
本を読むと、その時々の自分の心情から、目に留まる内容が変化したり、その時は気づかなかった事柄が後々になって気づいたりすることも多々あります。
今回私がこの本を読んで思ったことの1つに、『合わない人間関係は手放していい』ということでした。私は学生時代は孤独で、大人になってから知り合えた人達も、また1人になりたくないという寂しかった時の思いから、必死につなぎとめていたことが多々ありました。
よくある例として、私の方から連絡しても、向こうからは全く連絡をしてくれない。ということがありました。
私が仲良くなりたいなと思っていた同性の方で、結構な年数のお付き合いがあったのですが、それは全て私から遊ぼうと連絡したから繋がっていただけで、向こうの方からの連絡はなかったのです。今思い返せば、仲を深めたかったのですが、頑張っても仲は深まらず。
自分にとってかなりしんどい付き合いをしていたんだなと、後になって気が付きました。
そしてコロナ渦になり、自然と関係は終わりました。
ですが、関係が終わったからと言って、よけい寂しくなったかというと、逆で、凄く楽になりました。その時くらいから思っていたことですが、やっぱり人には相性というものがあって、いくらこちらを観て欲しいと頑張っても、向こうに仲良くなる気がなければ、いくら押しても引いてもこちらを向いてくれないんだなということを学びました。
それ以降は、友人関係を築くにあたり、自然と友人としてゆるくお付き合い出来ている人がいたので、その方を大事にしようと決めました。そのゆるく繋がれている方は、しょっちゅう会うわけではなく、本当に何年も会っていなかった期間もあるのですが、いつも笑顔でお互い話が出来たので、合う人もこの世の中にはいるんだなと、気が付きました。
そしてそのような、自分にとって心地よい、無理のない関係の方が、自分を大事にしているということにも気が付きました。
この本は、時には肩の力を抜き、自分自身がいかに心地よく、そして自分の人生に真剣に取り組み、自分自身が確実に1歩1歩努力を重ねることで、見えてくることが多々あるということ。
自分の人生に対する、愛や希望や夢を、ほんの些細なことから、気持ちを込めて、こういう風な考え方をしていくといいよという、アドバイスを、様々な例に対して教えてくれます。
どんな人にも上手くいくときといかないときがありますが、そんな時も全て自分の行動や生活、日々の積み重ねから自信を付けて、乗り越えていけるという、これからの人生において、前向きに進めるように、背中をポンと押してくれるようなことが沢山書かれています。
どんな人にも悩みがあると思います、完璧な人はいないと。でもそんな人達も悩みを抱えながら、実直に生きていると。
そして私が好きな内容で、『相手を変えることは出来ないが、自分は変えられる』という話も出てきます。
他の本でも読んだことがあるのですが、私も昔は良く、家族の事で、「こうだったらいいのにな」と不満を持つことがありました。ですが今は相手に変わって欲しいと思うのではなく、自分がさっと動いてしまおう、と考えが変わりました。
相手を変えられなくても、自分は自分の思うように、出来る範囲が少なくても、少しでも動いてみる。すると世界が変わると思います。こんな考えがあったんだな、とこれを知った時は目からうろこでしたし、随分と生きやすくなりました。
それと共に上述した話に戻りますが、友人関係も、相手に望むのではなく、自分にとって好きな事を、趣味でもお仕事でも、やっていくと、自然と仲間が出来てくることも知りました。
『統合失調症を患い早20年』の第2回でも書いたのですが、統合失調症には、急性期と消耗期と回復期があります。
その消耗期のあたりで、私は趣味の事を追求しだしました。どこにそんなエネルギーがあったのかは自分でもよく分かりませんが、その時の辛かった現状をどうにかしたいという気持ちから始めました。自分を変えたのです。
その頑張りを続けて約8年余り。今では自然と趣味仲間も出来ました。それは私にとって日々の生活の活力になりましたし、毎日頑張ろうとも思えるようになりました。
どんな病気であれ、病気を抱えながら生活をするというのはもの凄く大変なことだと思います。
本人も当然そうですし、周りの人々の支えもあって、暮らしていくことは本当に頑張られていると思います。
その大変なことの中でも、ほんの少しでも気持ちが楽になるように。
自分が好きなこと、もしやっていなかったら始めて観るのもアリだと思いますし、少し見方や考え方を変えるだけで、今までと同じ生活でも、何か希望が見えるかもしれません。
日々の生活において、同じ繰り返しと思えるようなことも、生きててよかったと思えるように。
今回はそんな、日常の気づきを思い起こさせてくれるような本でした。
参考文献
『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』
著者 クウベル
訳者 藤田麗子
発行所 ダイヤモンド社


