個人的に今でも神シナリオと称賛できる教育啓発ビデオの話

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Photo by Josh Chiodo on Unsplash

「これは神シナリオだわ~」と他人へ勧められる作品に出会ったことはありますか。昔、全校生徒向きの学習でネットの書き込みを題材にした教育ビデオが上映されたのですが、そのビデオのシナリオが教育としても映像作品としても優れており今でも覚えています。

主人公の少女には部活も一緒の親友がいたのですが、その部活での成績から嫉妬を抱いており、ある時ついに学校のネット掲示板で親友の悪口を書き込んでしまいます。当時は学校裏サイトが問題になっていた時期で、SNSではなく掲示板が主なフィールドでしたが匿名性についてはほぼ一緒でした。軽い気持ちの書き込みが着火剤となり、掲示板は多くの人が入り乱れる悪口大会に。

不特定多数からの悪口を知った親友は当然塞ぎ込んでしまいます。主人公は両親に連れられ親友の家へ謝罪に向かうのですが、「まさか貴方にそんなことを思われていたなんて!」と顔も見ずに罵られ、事の重大さを認識。ビデオの中でも外部講師が招かれ、ネットの使い方について講習が始まるのですが、ここからが神シナリオたる所以となります。

まず講師が「皆さんは透明人間になったら何がしたいですか?」と質問すると、お調子者の男子が「女湯に入ります!」と即答し周囲から笑われました。ここまではコメディリリーフを使い倒しただけですが、なんと講師は怒るでもなく笑い飛ばすでもなく、まるで理想の回答であったかのようにこう言います。「自分の仕業と分からないなら、そうしますよね?」

透明人間とは匿名性のたとえ。自分が責任を取らなくていいならどんな逸脱行為もやってしまえるのだと、この応答だけで伝えきってしまいました。シナリオ担当の自己満足ではなく、視聴者にもよく伝わる良いやり取りだったと思います。

終盤にも神シナリオの妙味は残されています。帰り際に親友と鉢合わせした主人公は改めて謝罪するのですが、ここで親友がとった反応は「何も答えず背を向けて去っていく」というものでした。仲直りなんて甘い結末にせず、友情の崩壊を示すように主人公が一人立ち尽くす姿を映しながらスタッフロール。ここにも痺れました。ちょっとした悪意が取り返しのつかない事態を招くのだという教訓がひしひしと伝わってくる良い表現でした。

匿名性の何たるかを正確に説明したやり取り、取り返しのつかなさを表現したエンディングと、ネットの書き込みを題材とした教育ビデオとしては100点満点のシナリオでした。掲示板全盛期としての古さは否めませんが、SNS時代の今にも通じる部分はあると思います。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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