障害説明欄の記入、私はこの方法でやってみました。
仕事 その他の障害・病気Killian Pham
就職したいという気持ちが強くなり、いざ就職活動を始めよう!という時、なくてはならないのは履歴書です。この際に障害者特有のものとして、障害者求人やオープン就労の際に必要になってくるのが履歴書の「障害説明欄」の記入。今回の記事はそこにフォーカスを当てたものになります。
「障害説明」その生みの苦労は大きい
障害者が求人応募する際は、履歴書に障害説明欄があるものを用います。この欄は、企業に対して「自分には障害によってこのような場面で困ることがあるので、企業側でこのような配慮を講じてもらえればありがたいです」という内容を伝えるためのものです。ここが明確に書かれていればいる程、企業側は安心して障害者を雇用できます。また、障害者側からしても、自分の障害についてしっかり企業が理解してくれているという安心感を得ることができるのです。 ですが、この欄を埋めるのは簡単なことではありません。なぜなら、自分の困りごとの傾向や程度、自分でできる対処方法、その対処方法によってどの程度にまで困りごとが軽減するのか、企業側の配慮とは具体的にどのような方法を取ればいいのか等々、具体的に詳細を明らかにしなければいけないからです。そのために行なう障害理解は、自分自身に真正面から向き合うことが絶対に必要とされ、障害者の心に多大な負荷を掛けることになります。 障害理解の際に、心に大きな負担が伴うのは仕方がないことです。ただ、闇雲に障害理解を行おうとしたら必要以上に疲弊してしまいかねません。そこで、ここではライターである私自身が実際に試した障害理解を行える方法を紹介させていただきます。なお、全ての障害者の方に効果があるということを保証するものではないことをあらかじめ、おことわりさせていただきます。社会生活技能訓練をご存じですか?
私は対人コミュニケーションに自信がなく、その訓練としてソーシャルスキルトレーニング(SST)に取り組んでいました。SSTとは「社会生活技能訓練」と呼ばれている社会療法のひとつです。その取り組み手法は多種多様なのですが、自分が行なっていたSSTは、自分が過去によく遭遇した「人とのコミュニケーションにおけるトラブルのシチュエーション」に対し「あの時どういった対応や発言ができていれば、トラブルを回避できたのか」について考えロールプレイをしてみる、という内容でした。これにより、適切な言葉や時間を判断する力、相手の気持ちを推し量る力を養うのが主な目的なのですが、この取り組みは、プロセスを進めていく中で多大な負荷が最低2回掛かります。 ひとつは、どうすればトラブルが回避できたのかというゴールを見つけ出す時。ゴールがうまく見つけられず煮詰まってしまうと、どうしようもない閉塞感に支配され、無力さを感じてしまいました。もうひとつは、取り組みを行なう前段階、トラブルのシチュエーションを書き起こすという事前準備の時です。過去のトラウマを掘り起こす訳ですから、その時の悲しみや怒りが再びよみがえり、行き場のない感情が絶望となって心の中にしばらく漂い続けました。 結果として、これらの取り組みが対人コミュニケーションに役立ったのかというと、未だ成果は出ていないのですが(個人差があるのだと思います)、障害理解においては絶大な効果が表れました。一番のメリットは困りごとの整理
この取り組みの一番のメリットは、シチュエーションの数を増やしていくことで、どういったトラブルで困りやすいのかというカテゴリーの分析ができるようになる点です。筆者自身の例を挙げさせていただくと、トラブルのシチュエーションを32個挙げ、「断れない」「臨機応変な対応が苦手」「自暴自棄になる」といったカテゴリー分けで整理ができるようになりました。これにより、障害説明欄にメインで記載する特徴的な障害特性を記載することができたのです。また、自分の障害の傾向や程度についても、書き起こしたトラブルのシチュエーションから具体的な指標が提示できるようになり、自身で取れる対処法や改善の程度、企業側に求める配慮についても、ロールプレイを通して具体化されたものが出せるようになりました。 障害の自己理解に悩まれている方で、これといった方針がない方が一度SSTを試されてみると良いかも分かりません。 参考文献一般社団法人 SST普及協会
http://www.jasst.net/top/
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