ハンディキャップを持った海外のミュージシャン
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楽器を演奏することは、思うよりも簡単ではありません。最初は楽しみで購入したギターも、難しさからやる気を失くし、今では部屋の隅に置いたままという話をよく耳にします。五感や身体を駆使して音を奏でるミュージシャンたちの中には、ハンディキャップを持ちながら楽器を自由に操り感動を与える人たちもいます。そんな中から今回は海外のミュージシャンをご紹介します。
盲目のギターリスト ジェフ・ヒーリー(JEFF HEALEY)
カナダ出身のブルースギターリスト。「ザ・ジェフ・ヒーリー・バンド」として1980年代後半にデビュー。日本でも脚光を浴びました。というのも彼のギターの演奏の仕方が独特で、膝や台上に寝かしたギターを琴のように演奏するのです。そして歌うのです。
孤児として生まれた彼は、養子縁組に恵まれますが、1歳のとき癌により失明。3歳からギターを弾き始め、幾つものバンド活動の末、22歳でプロデビューに成功します。そんな彼が創るブルーズだからこそ、人生の悲哀さと、前向きに生きる情熱が宿るのでしょう。(惜しくも2008年、41才の若さでこの世を去っています)
片手のドラマー リック・アレン(RICK ALLEN)
イギリス出身のロックバンド「デフレパード」のドラマー。1978年から現在に至るまでドラムを担当しています。彼はミュージシャン仲間の運転する車に同乗中事故に遭い。左腕を失います。一命は取り止めたものの、ドラマーにとっては致命的な損傷でした。
失望と苛立ちの中、療養中のベッドの上で枕を蹴っていた時、彼は閃きます。脚でドラムを叩けばいいじゃないか。彼は今、腕で叩くスネアドラムの音を脚で叩くバスドラムにプログラムすることでこれまで通りに演奏しています。それを可能にしたのは進化した現代楽器と、2年間の必死の練習と、バンドメンバーのサポートでした。
ハンディキャップを持つミュージシャンたちの創り出す音楽とその雄姿は、私たちに前向きに生きる元気と勇気を与えてくれます。その素晴らしい音楽が誕生する背景には、人生の苦しみに打ち勝つ精神力や、サポートしてくれる仲間や家族、そしてファンの存在があるのですね。