うつ病と診断されて1年経ちました
うつ病 その他の障害・病気出典:Photo by Kazuo ota on Unsplash
私は20代半ばで適応障害、のちにうつ病と診断されました。それに伴い仕事を退職したり趣味を楽しめなくなり、「日を追うごとに自分が自分でなくなっていくような」憂鬱な日々を送りました。うつ病と診断されて1年が経過する今、自分なりにどのようなことがあったか振り返ってみたいと思います。
はじまりは適応障害
新卒で入社した会社は中小のIT企業でした。客先の会計プログラムの開発業務が私の担当です。大学で学んできた福祉の分野と畑違いのため、人一倍努力しなければと思い、入社前からプログラミングの勉強をするなど私なりに熱心に取り組みました。プログラマーの仕事はプログラミングの知識、技術が必要になることはもちろん、業務知識として簿記や会計の知識も必要に迫られました。使用していた言語がマイナーであったこともあり参考書なども書店に並んでおらず、修得するまでに時間を要しました。
また、現場に出てみると、改修したプログラムが問題ないことを示すためにテスト結果の資料を作成したり、自分自身の進捗などを言葉でうまく伝える能力も必要でした。入社前に考えていたよりも幅広い能力が求められると現場に出てからは痛感しました。
客先常駐の業務のため、数ヶ月で別の現場に移ることになります。一から新しい環境でやっていくのは、どちらかというと苦手に感じました。新しいプログラムの仕様を理解し、業務に取り掛かっていくたびに自分の力不足を痛感します。徐々に先輩からの助言が減っていくにつれ、「私の作業はこれで問題ないのだろうか」「何もできない」「見放されているのではないか」不安に思うことが増えていきました。その頃から中途覚醒が増えたり、下痢に悩まされるようにもなりました。当時の腰痛や冷え症の症状も今思い返すとうつ病の身体症状だったのかもしれません。
「新人なんだからここは気合でなんとかやっていかなければ、へこたれてはならない」とがむしゃらにやり過ごしていきました。しかし帰り道に泣いてしまう回数も増え、「これは何かカウンセリングにでも通うべきか」「精神的に追い込まれているのではないか」と思い心療内科を予約することにしました。
初めての心療内科でしたが先生方も優しく接してくださり、最終的には「適応障害」との診断が下りました。職場にもすぐ適応障害の診断が下りた事なども説明しました。この時は「服薬なども守れば仕事もやっていける」と一安心したのですが……。
うつ病がやってきた
しばらく事務の仕事をしていていたおかげか症状も安定し、次の現場に移ることになりました。新入社員を1人指導することを任され、以前よりも責任感を感じながら仕事にかかりました。周囲から見ても私は大丈夫なんだと変に自信もありました。
しかし、気が付いた時には「電車に乗ると息がつまる感じがして苦しい」「10分歩くだけでも疲労感を感じる」「プログラムの文字を追うことができない」「業務中に指摘されたことを3度聞き直しても理解できない」などの症状に苛まれました。業務中にデスクで「消えてなくなりたい」と涙したことさえあります。なんとかこれらの症状を改善したいと主治医に相談するも、薬の調整が難しく副作用で日中の眠気が強くなるなど業務に差し障ることとなりました。家族やパートナーからも「その様子ではとても働けないよ」と退職を勧められました。
しかし、「ここで退職してしまったら仕事などとても就けない」という無収入への不安から踏ん切りがなかなかつきませんでした。しかし、知人や主治医から「傷病手当金」という制度が利用できることと「障害者枠」での就職について助言をもらい、なんとか退職に納得することができました。また、症状が半年以上継続していることから診断名も「うつ病」に変りました。
うつ病と向き合って
家族からは、「将来結婚する場合に偏見を持たれる場合もあるかもしれない」と精神障害者保健福祉手帳の取得に難色を示されることもありました。しかし、手帳を取得することで障害者枠で働けるチャンスがある旨を伝え、なんとか理解を得ることができました。
今現在は、以前から交際を続けていたパートナーと結婚し、就労移行支援事業所に通所しながら休み休み日々を送っています。そこでは自分の苦手と感じているコミュニケーション力の向上や生活リズムの改善などを図っています。講義の中では「~べき思考」が強いことを実感させられました。「ちゃんとやるべき、責任持って仕事を全うすべき」という意識が強かったように思います。責任感も適度に持ち、ダメなときは適当に受け流すやり過ごす、人に頼ることも大切だと思い直すようになりました。
「心身を悪くしてまで仕事をする必要はない」と今の私は思います。一休みして新しい環境でやっていくことを選んだ今は、せかせか急ぐことなくマイペースに自分のやれることからやっていく時期なんだと思っています。
また、仕事をするには生活リズムや、体調が安定していることが第一条件だと考えているので、日誌などで記録をとりながら毎日を送るようにしています。仕事に活かせそうな資格勉強や日々の家事などに励みつつ、自分のペースを大切に過ごすことができています。困難が立ちはだかった時に真っ向勝負するのも手ですが、しかし他にも「逃げる」「遠回りする」「手を変えてみる」のもありだと一連の出来事で痛感させられました。
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