うつ病患者の本音~支えてくれるのは嬉しいけれど……

うつ病

出典:Photo by Drew Hays on Unsplash

私は大学在学中にうつ病になり、5年以上がたちました。現在は、普通に日常生活を送り、社会に出るための準備ができる状態にまでなりました。

ある日突然、身体に異変が起き、気持ちも徐々に沈んでいき、本当に辛い日々でした。当時は、周りのことを考えられず、とても迷惑をかけていたと思います。今になって考えると、それも仕方のないことだと理解できます。

しかし、当事者ではない周りの人たちはどうでしょうか。急に人が変わってしまったかのようで、驚き、不安になることでしょう。

経験した私だからいえる、周りの人に対して「こうしてほしかった!」ことをお話しようと思います。このコラムが誰かの力になれれば幸いです。

私のうつ病トリセツ

私の症状は、無気力、気分の落ち込み、楽しいと感じることができない、不眠、全身の痛みやだるさなど様々ありました。

無気力なため、食事をする、お風呂に入るなどの、日常生活において当たり前にやっていたことが、できなくなってしまいました。「やらなければいけない」という気持ちが生まれてきませんでした。何も考えることができない状態だったのです。

また、身体への症状は特に辛かったです。頭痛は、起きている時間のほとんどなっている状態でした。身体の痛みやだるさも、常にどこかに現れている状態でした。

不眠にも悩まされました。本当に寝ることができませんでした。布団に入って、目をつむっても、何時間たっても、眠りにつけることはありません。一睡もできずに朝を迎えていました。眠いのに眠れず、睡眠薬でなんとか寝ている状態でした。

私の「○○してほしかった」こと

私がうつ病を経験して、周りの人たちに「こうしてほしかった」ことがいくつかあります。今回はその中から、3つ紹介させていただきます。

1つ目は「とにかく"ほっといて"ほしい」です。

私の場合、人と関わることができませんでした。「こんな状態の私と一緒にいても楽しいわけがない」「相手も暗い気持ちにさせてしまう」などと、ネガティブに考えていました。また「どうせ私のことなんて理解してもらえない」「わかってくれる人がいるわけがない」とも思っていたのです。

私は人といるときに、相手に合わせたり、気を遣ったりする傾向があります。今までは自然にできていた気遣いも、相手を思いやる余裕がないためできず、そんな自分も嫌でした。

「口を動かす」という行為さえもできないほど、無気力でした。こんな自分を誰にも見られたくなくて、とにかく独りでいたいと思っていました。

2つ目は「わからなくても共感してほしい」です。

疲れる、しんどい、痛いなどの経験をしたとき、人に聞いてもらいたいと思うことがあると思います。話したとき「そんなの大したことないよ」とか「みんなもそうだって」といわれてしまい、傷ついた経験がある人もいるのではないでしょうか。たったひとこと「大変だったね」といってほしいだけなのに……。

私自身、うつ病になる前もなった後も経験があります。特にうつ病になってからは、今まで経験したしんどさや痛みとは比べ物にならず、余計に分かってほしいという気持ちがありました。

しかし、見た目では分からないため「本当にうつ病なの?」とか「全然元気そうじゃん」と何度もいわれました。人と話さなければいけないときは、頑張って平然を装っているんです。それなのにそのようにいわれてしまい、とても傷つきました。

本当は「どうでもいい」と思っていてもいいです。でも、ひとこと「大変だったね」「辛かったね」といってはくれないでしょうか。

3つ目は「頑張れ!といわないでほしい」です。

悪気なく使っているのはわかっています。素直に応援の気持ちからいっているのは理解しています。しかし、プレッシャーになります。すでにこんなに頑張っているのに、これ以上何を頑張ればいいの?と思ってしまいます。

うつ病患者とは知らない人から見たら、確かに何もしていないようにみえるかもしれません。でも見えない敵と四六時中闘っているんです。自分ではコントロールできない感情と闘って、必死に生きています。

なので「頑張れ」ではなく「頑張ったね」「頑張っているね」といってほしいです。

支える立場の人にしてほしいこと

自分の身近な人(家族、友人、恋人、同僚……)がうつ病になった際、強制的に休ませることが大切だと思っています。学校、会社、家庭など様々な場所で頑張り過ぎた結果、身体や心が悲鳴をあげ、助けを求めています。まずは、しっかりと休息ができる環境を整えましょう。

生活のために休むことができない場合もあるでしょう。しかし、そこであなたの出番です。助けてくれる場所を探したり、周りに頼ってみたり、難しいと思いますが、全く方法がないわけではないと思います。

身体が休んでいても、不安なことがあるとつい考えてしまい、気持ちが休まっていない状態になってしまいます。治療に専念すること以外の不安要素をできるだけ、排除してあげてください。

次に、病気について知る努力をしてみましょう。ネット、SNS、本、主治医の先生に聞くなど、あなたに合った方法で調べてみましょう。

本人もその周りの人も初めてのことでわからない、知らないことばかりだと思います。一人ひとり症状も違いますし、感じ方も違うため、調べて知ったこと全てがその人に当てはまるというわけではありません。でも調べてみることで、このような症状が出る人が多い、こんな症状が出ることもある、ということを知ることができます。

個人的なオススメは、SNSです。実際の経験者が過去の経験や、現在の様子などを投稿しています。専門書のように難しくはありませんし、イラストを使用したり、あるあるなどを載せていたりと、楽しく知ることができると思います。当事者も、同じように頑張っている仲間がいるとわかることで、勇気をもらえるはずです。

知らないから不安なんです。怖いと感じるんです。まずは調べてみて、そして、本人と話してみてください。その人は何を望んでいるでしょうか。独りでいたい、誰かにそばにいてほしい、家でゆっくり休みたい、外で体を動かしてリフレッシュしたい……聞いてみないとわかりません。

その人に合った環境で過ごせることは、少しでも不安が減ることにつながると思います。

最後に、理解しようと努力してみてください。自分が知らなかったこと、経験したことがないことは理解するのに時間がかかると思います。当事者自身、突然の出来事に不安でいっぱいです。説明することも難しいと思います。今まで当たり前にできていたことが、できなくなることもあります。

ゆっくりでいいので「どんな症状が出ているのか」「それが原因で何ができないのか」「どのような環境で過ごすと、ストレスが少なく穏やかにいられるのか」ひとつひとつ確認してみてください。周りの人が真剣に向き合ってくれている、味方でいてくれるとわかると、それだけでとても安心できます。お互いに焦ることなく、一歩一歩進んでいきましょう。

専門家ではなくても、できることはたくさんあると思います。「自分の大切な人に早く元気になってほしい」という気持ちはみなさんが持っていると思います。その強い気持ちを、ぜひ行動に移してみてください。

おわりに

うつ病は、誰がかかってもおかしくない病気だと思います。どんなことがきっかけでなるかもわかりません。偏見など持たず、少しでも異変を感じたら心療内科で診察を受けることをおすすめします。診断してもらい、少しでも早く治療を始めることで、治るまでの時間が早くなるかもしれません。

学校、会社、家庭などで、今この瞬間も頑張り過ぎている方が、少しでも楽に穏やかに過ごすことができるよう願っています。

どりー

どりー

大学在学中にうつ病(不安症、強迫性障害、複雑性PTSD等の診断経験あり)になり、治療を続けてきました。
現在は就労移行支援事業所に通いながら就職を目指しています。
自分が楽しいと思う事、嬉しいと思う事をゆっくりしながら生活しています。

うつ病

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください