イマドキのヴィラン造形事情

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Photo by Ember Navarro on Unsplash

時代が移り行く中で、ヴィラン(悪役)の扱いについても変わってきました。超有名作品のヴィランを主役とし、その悲しい過去を描いたスピンオフなんかは代表的なものです。ひとくちに悪役といっても、打ち倒すべき相手に留まらず、切磋琢磨するライバルや別の信条を持った裏主人公といった多様な立場が元々あるのですが、ここでは作品の「黒幕」という意味にしておきましょう。

ある映画のヴィランが、ネットでちょっとした騒ぎになりました。私はその映画を実際に見た訳ではないので詳しいことは分かりませんが、なんでも「弱者男性の成れの果て」ではないかと言われだしたのだそうです。昔から冴えない人生を送り続けていたというヴィランの設定が、そういう考察の根拠です。

遂には、「ポリコレに配慮するあまり、ヴィランは弱者男性から作るのが合理的となった。何故ならば、弱者男性からのクレームはつかないからだ」という、映画ではなくキャラクター造形事情への考察まで飛び出しました。逆に刑事ドラマでは警察組織の上層部など強い権力者が巨悪として蠢いていることが多いのですけれども。

とりあえず、「弱者男性」からヴィランを作るのがクレーマー予防に良いと認識されているようです。言い換えれば「弱者男性」はどれだけ悪し様に描写しても怒られないという意識です。弱者男性の基準は曖昧に思えますが、低収入・発達障害・恋愛経験なし・インドア趣味あたりは共通認識とみて間違いないでしょう。いずれも「ポリコレ保護対象」からは外れています。

ただ、あの考察も少々拙速というか前のめりな印象は否めません。強烈な選民思想と差別意識を持ったヴィランでは駄目なのでしょうか。独善的な世直し行動が暴走したヴィランでは駄目なのでしょうか。また、脚本のスキルは求められますが、別の信条や正義を持った相手という落としどころもあります。プロの脚本家であればその程度は朝飯前なのでしょうけれども。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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