「tenbo(テンボ)」と障害者のファッション
エンタメ出典:https://www.yahoo.com
障害者、特に身体障害者には、お洒落をしたくても中々難しいところがあります。そんな中、この困った状況を解決しようとする動きが国内で産声を上げています。その中で最も注目するべきファッションブランドは「tenbo(テンボ)」です。この記事では障害者のお洒落を楽しめない現況とそれを改善しようとするtenboを紹介します。
当たり前のオシャレが難しい
私達は普段、当たり前のようにお洒落をすることができます。ラフなアメカジから背筋がピンとなるモード系まで様々なジャンルを選び、身にまとって街を歩く。障害者には、その当たり前が難しい方々もいます。ユニバーサルファッションブランドはポツポツとありますが、機能性重視でデザインはおじさん・おばさん向けのものをよく見かけます。確かに、機能性は大事です。例えば、車イスをを使われる方が普通のジーンズを履かれますと、床ずれになる危険性があるため、お尻の部分がシームレスになっている物が良いそうです。とは言えど、このままでは障害者のファッションと健常者のファッションに差があり過ぎるのは看過しておくべきではないはず。多種多様な領域に越境するファッションブランドの登場が望まれています。
tenboの登場
「tenbo」とは、ファッションデザイナーとして長らく経験を積まれた鶴田能史氏が2015年に立ち上げたファッションブランドです。ブランド名tenboの理由は、鶴田氏が小学生時代に出会った言葉でして、スワヒリ語で象という意味だそうです。象といえば穏やかで優しそうな印象がありますが、時には村を暴れまわることもあります。よって、優しさもあれば壁を壊したり何かを守る強さもあるということが、鶴田氏の大事にされている言葉でブランド名にしています。
彼がファッションデザイナーを始めたきっかけは、祖母の介護で高齢者や障害者のお洒落な服がないと実感したからです。tenboは服作りの際、ピープルデザインを掲げていて年齢、国籍、性別、障がいを問わず誰でも楽しめることを意識しています。加えて「機能性」と「デザイン性」を両立することに努めています。
tenboとこれから
筆者はテンボの登場によって、後続のブランドが増えていくのではないかと、期待しています。しかし、実現するには容易なことではありません。特に若者は不況のためかファストファッションですましてしまう傾向があり、ブランドをあまり買いません。その中でブランド側は若者にどうすれば商品を買ってくれるのか頭を抱えています。テンボもこの事情により、どのようにして若者にアプローチするのか考えていると思います。そのためか、国内の様々なショーや東京コレクションに参加し、障害者と健常者のモデルを一緒に舞台に立たせています。きっと、テンボは多種多様な人たちがファッションを楽しめる平等な世界をこれからも創り出してくれるでしょう。
テンボの挑戦で障害者は、ファッションに楽しめる世界ができると希望を見つけつつあります。この希望を消さないように、私たちは何でもない日常に対して視点を変えると、まったく違う物が見つかるかもしれません。
参考文献
テンボについて
http://www.tenbo.tokyo/about/
健常者も障がい者もオシャレに着れる服を世界中へ発信したい!
https://readyfor.jp/projects/tenbo
テンボ 2017年春夏コレクション
https://www.fashion-press.net/collections/6830
テンボ 2015-16年秋冬コレクション
https://www.fashion-press.net/collections/4238