れいわ舩後・木村両議員の登院に制度の穴~障害者の勤労スタイルに影

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先の参院選で当選し参議院議員となった、れいわ新選組の舩後靖彦氏(ALS患者)と木村英子氏(脳性まひ)。国民の期待や不安を背負って政治の場へ勢いよく進出する筈だったのですが、さっそく問題が発生してしまいました。登院が出来ないのです。

登院できない理由は、介護制度の穴だとされています。二人にとって生活のアキレス腱となる重度訪問介護は日常生活の範囲内で受けることが出来るのですが、出勤中や仕事中は対象外となっているのです。その為、登院は出勤と見做されて介護を受けられないことが判明しました。

介助費用を誰が出すかなどで紛糾しましたが、当面は参議院が出すことになっています。それにしても、障害者が“外に出て働く”というのは一定の難しさがあるように感じられますね。

障害者が働くのは想定外?

公的な福祉サービスというものは自分で調べなければ分からない情報しかないので、何かにつけて「盲点」に気付かされることは多いです。今回の件でも、介助を受けながらの初登院になるとてっきり思っていただけに、「登院中の介助(重度訪問介護)は制度外なので受けられない」とは盲点だったというのが正直な感想です。株式会社アースの副社長というバリバリの社会人だった舩後氏が事前に言ってくれてもよさそうなものだったのですが、在宅勤務で知らなかったという線もあり得ますね。

重度の身体障害者が働きに出ることを想定していないという点では「制度の穴」と言っても差し支えないでしょう。自宅や施設から外に出ないだろうという古(いにしえ)の固定観念からアップデートされていなかった事実も浮き彫りになりました。確かに外へ働きに出るのは困難ですが、そのケースを今まで想定すらしていなかったのは驚きです。

八代英太氏がAbemaTVで語る

先月31日のAbemaPrimeでもこの件について触れられています。参議員と衆議員を合わせて28年務めた八代英太元郵政大臣のほか、参議院の対応に難色を示す維新の東徹議員やALS患者の酒井ひとみ氏などが意見を交わしました。

番組内で東氏は、「れいわ新選組が制度の見直しを求めるのならば、介助費を誰が払うかよりも制度の議論をするのが先。舩後氏と木村氏は国会議員となった以上、自分たちだけでなく同じ境遇の人をどう救うかも考える必要がある。」と持論を展開し、「本人に話を聞かず、山本代表の持ってきた紙に従って対応したことも拙い。」と経緯についても疑問を呈しました。酒井氏も「特例によって今後の制度作りに支障が出るかもしれない。」と一連の動きを危険視しています。

八代氏は「参議院からの合理的配慮は必要だが、いつでもサポートというのは非現実的。議員活動中の何時間必要か、委員会だけ・本会議だけなのかといった所を詰めていかなければならない。」「エレベーターなどのバリアフリー化は進んだが、完璧かどうかチェックする意味でも登院してもらいたい。」「れいわ新選組も自分たちで体制づくりするチームワークを発揮しないとダメ。」と、両議員の使命と自助努力について言及しました。

障害者の就労スタイルVS勤労のステレオタイプ

同番組内で八代氏は「障害者も納税者となる気持ちにならないと」という思いを吐露しました。「介護訪問サービスは所得者でも負担額が3万7千円を超えないようになっている。雇用促進法により重度障害者を雇った企業には補助金が出る。このように負担が収入に勝らないよう仕組みが作られてきた。」と、制度の進歩を説きつつも「障害者手帳を持つ780万人のうち、雇用されているのはわずか80万人。」という実態を述べています。

ここからは私見なのですが、「会社に出て働く」というステレオタイプから解放されていない現状が障害者の納税者化を妨げているのではないかと思います。在宅業務など勤務形態次第ではより多くの障害者が手に職を得られる筈なのですが、まだまだ(特に地方部では)浸透していません。「障害者には単純作業」という怠慢な割り振りも障害者の就労における選択肢を狭めています。

れいわの二人に関して八代氏は、「障害者の雇用や自分が議員人生でやり残したことを含めて両議員には盛んに議論してもらいたい。二人の当選はインクルーシブ社会という新時代の到来だ。」と多大な期待を寄せています。

バリアフリーに遅れ?

念願の初登院は報道陣の大群が詰め寄せて進むも退くも叶わない滅茶苦茶な状況でした。ところが、報道陣の態度に隠れてエントランスの“障壁”が頭をもたげていたのです。

先に議場入りした木村氏は、まずスロープが途中までしかないので板を使って議事堂へ入りました。議事堂へ入って介助者が登院ボタンを押すのですが、その先は階段しかなく進めません。木村氏は一旦出て、別の入り口から議場へ向かうことになりました。後に来た舩後氏も同様の手順で議場入りしています。

お世辞にもスムーズと言えない流れを見ると、参議院のバリアフリー化は言うほど進んでいないのかもしれません。「バリアフリー化をチェックする意味でも両議員の登院は必要だ。」と八代氏は述べられていましたが、次は八代氏の目線で参議院の建物構造などを隅々まで語ってほしいです。

参考文献

国会に登院できない障害者の対応は慎重な議論が求められる―アゴラ
http://agora-web.jp

れいわ議員の介助費、参院が負担することに反対した理由は?維新・東徹議員と”車いすの国会議員”第1号・八代英太氏と考える
https://blogos.com

【れいわ新選組】殺到するカメラマンに飛び交う怒号、混乱極めた国会議事堂前。「われ先に」の取材姿勢も2人には「障壁」か~舩後さん、木村さんが車いすで炎天下の初登院
https://blogos.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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