就労継続支援B型、就労移行支援を行っているまちかどステーション八百萬屋に取材に行ってきました

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まちかどステーション八百萬屋に取材に行ってきました。

「まちかどステーション八百萬屋」は大阪府堺市で就労移行支援事業や就労継続支援B型を中心に活動しています。八百萬屋の名称は八百屋さんとよろず相談屋さんをかけて八百萬屋(やおよろずや)と名付けたそうです。他にも八百屋というだけあって、地域の農家さんと共同して農作業をしたり、収穫物を店頭で販売ししているのが特徴です。また、地域のよろず相談に答えて問題を解決したり、地域に根付いた事業展開も行っています。経営しているカフェは地域の高齢者の憩いの場となっています。

そんな「まちかどステーション八百萬屋」を運営している「NPO法人ASUの会」の理事を務めている増田靖氏に今回はインタビューさせて頂きました。

珍しい八百屋さん+よろずやさん

──この活動を始めようと思ったきっかけはなんでしょうか?また、八百萬屋さんの特徴とはどういったものでしょうか?

私は元々、堺市にあるかなり大きな社会福祉法人で18年間お仕事をさせて頂いてまして、その中で5 年ほど前に食堂を企画立ち上げから店長として3年間させてもらったのです。たくさんのお仕事や人との繋がりを持たしてもらいました。ですが、だんだんと仕事が膨らんでいく中で、地域で顔と顔が見えるような場所で始めたいという気持ちが生まれました。また、元々「NPO法人ASUの会」というのがありまして、そこは高齢者の居場所づくりをしていたNPO団体なのです。元々シニアの方たちが運営せれていて、理事たちの平均年齢が77歳にもなります。自分たちがやってきた活動を今後どなたかに任したいということを2年ほど前から考えておられて、僕がやりたいということが合致して活動が始まりました。

元々ここの特徴として、地元の小さな農家さんたちが大切に育てられたお野菜を扱って八百屋をしています。地域のコミュニティを大事にしたいという思いがあったので、最初はお昼にランチを作って提供するということが始まりました。「八百屋さん」と「何でも相談よろずやさん」をあわせて「八百萬屋」という名前をつけたのですけど、何でも相談というところでは、実はこの場所もニュータウンとなって50年になったそうなんですね。当時30歳とか40歳であこがれのマイホームを買われた方が50年経って80歳90歳になられる。そういった方々の息子さん娘さんは地方に行かれたりして、大きな家に独りで住んでおられるという現象があって、そこで、膝が痛いので芝刈りができないので助けて欲しいとか、引越しのお手伝いとか、色々な「よろずの」相談事があって、そういった地域のお困りごとのお手伝いをお仕事にするというところが特徴かなと思います。

──どうして就労移行支援事業を始めようと思ったのですか?

元々は就労継続B型だけを考えていたのです。それでB型でも就労するのだ、B型でも一般就労だったり、高い給料をお支払いする事業所を初めは設計したのですけど、申請する段階で「B型では就職できないのではないか」というイメージがあるということに気付きました。初めB型20名と設定していたのですけど、よりイメージをもってもらいやすく、就職に向けての準備や働ける場所を作りたいんです。でも、いくらB型でそういった事ができるとしてもなかなかイメージが湧きづらいので、移行というものをまず作り、移行が持っている「就職に向けての準備をする場」という社会的イメージを受け取るために移行をつくったというのが正直なとこなんですよね。でも、移行は期限が2年しかないので、B型に席を置いてもらったほうが全然いいのですけどね。

──移行の方ではビジネスマナーとか、パソコン訓練とかもされているのですか?

もちろん。

──企業実習も行かれているのですか?

企業実習もしてます。そいうったところもB型でも全然できると思っています。B型でも実習もできるし、企業を探してくることもできるのです。ただ先ほども申し上げたとおり移行のイメージがあまりにも強いもので、今回はB型をあえて移行とセットにしました。

──就職率というのはどういうくらいですか?

B型から就職している人もいます。まあ、まだできて1年なので、就職したのは2人です。1人はB型事業で来られた方で、もう1人は移行です。率というと少ないですけど、まあ、今までメンバーとしては10名なのですけど、今B型が7名、移行が3名、そういうような割合ですから、就職それぞれ一人ずつの1年でした。

始めようと思ったきっかけ

──どうしてB型を始めようと思ったのでしょうか?

B型を始めたいと思ったのは自分で選べることです。僕の知っている限りでは、一般のB型に入ったら、担当になったパートを一生担当する。パン担当はずっとパンを焼き続けているというような現象が多く、一生ずっとそこにいるようなイメージなんです。あと、給料もそれほど高くはない。でも、本来は、B型も就労支援をするための制度だと思っています。より高い工賃を貰えて、さらにそこを踏み台にして一般就労などのもっと高いところを目指してもらいたい、つまりは自分で自立するような仕組みの働き方をB型という事業を使って提案することが目的です。社会的イメージがB型に求めるものと移行に求めるものとがあるので、移行を作ったとのと同じように制度としてはB型をつくったということになろうかと思います。

──事業を通して実感した成果はありますか?また、逆に気付いた問題点はありますか?

成果はひとりひとりがあれやりたい、これやりたいと希望が出せるというところが全然違うし、元々持っておられるメンバーさんの力が本当に凄いなと改めて感じるところです。今までずっと家にひきこもっていた子がここに来ることによって通えるようになったりとか、学校で不登校だった子が休まずにここに来るようになったとか、ここで特別な訓練をしたわけでなく、その人が持っている力だと思います。また、地域の人たちと接することが多いので、皆さんからありがとうとか、頑張っているねと声をかけられることで、やる気になったり自分って頑張れるんだっていうところが出てきているんだと思います。人の意欲っていうのは前向きにどんどん変わってきているのじゃないかなていうところが一つ大きな成果かな。やっぱり障害があっても、その人が生き生きと耀けるものが絶対に世の中にはある。うちが凄いというよりもその人が持っているものが凄くて、それを引き出していくことが支援としての特徴だし、凄く大事なところだと思っています。

問題点は、工賃が15,600円を超えてしまうと生活保護費が削られるのです。一ヵ月で2万とか3万までいったら、そこまで給料を上げてくれるなという話になってしまい、本末転倒なのですね。その人働けるんですよ、働けるんですがそこはしたくないとか、できないとか、要は生活保護費は削らないで欲しいという要望が僕は問題というか、すごく悩んでいます。

利用者の意見

──利用者の方々は施設にどんな印象を持たれていますか?

人によって週4回とか週3回とか通って生活リズムを整えていって、自分のしていきたい目標に向かっていろいろな仕事をやっていくっていうのは大事だと思います。畑仕事でしたら収穫したり、稲刈りをしたり、そこで実際に土に触ることで土を触って作業して収穫を手伝うということで、自分でやったていう自信になっていくようです。

わからないときは、すごく得意な方がおられるので、その方に教えて頂いて一緒にやってみるとか。わからないことがあったら聞いてみて、それでもできないとなったらやってもらっています。ここのカフェとか納品、野菜販売いろいろ種類があるので、やりがいがあります。

──居場所とやりがい、両方なんですね。

今後の課題と改善点や展望

──今の課題と今後の改善点や展望

メンバーさんが本当に頑張ってくれているので、結構依頼を受けるのですよ。メンバーの数がまだ10名足らずで、少ないのです。メンバーをもう少し増やしたい。印象が農業というイメージがついているせいか、どうしても男性が多くて、カフェとか織物とかの女性向けのお仕事もあるのですが……。今、女性が1人なので、もう少し女性に使って頂きたいなぁと、チラシを最近は一新して女性がイメージをもてるようなカフェだったり、織物だとか、ホームページも前より明るいイメージのものに改善をしているところです。そういう営業活動、募集活動を引き続きしたいのと、今後の展望として、やっぱりB型だけでなくて、自分たちの独自の事業として自立できるようにしていきたいなあと思っています。そこで雇用が生まれたりとか、世の中の方に喜んで頂けるような、農業農作物をつかった加工品の販売などを事業化していくことが今後の展望かなと思っています。障害のある人もない人も一緒に働くことができる、そういう会社や、物を地域に発信していけたらと考えています。

色々と模索中の日々、やりたいこと目白押し

──お客さんはどのぐらい来られますか?

そうですね、週初めはお野菜が新鮮なのでたくさんご利用されるのですけど、週末の方は、お野菜が減ってきますから、週末にかけて段々お客さんも減って来ます。全体的には、去年と比べてお客さんに沢山来てもらえるようになりました。

──最後になりましたが、アピールポイントはありますか?

障害があるからとかないからとか関係なく、「職業選択の自由」というものを提供できたら、一緒に働くパートナーとしてやってくことができます。障害者啓発とも言えますが、結局はそれが農業の労働力や、後継者不足の伝統産業の担い手になったりしていきます。そういったことが地域の理解にもつながっていっているのではないでしょうか。社会と地域に開かれた事業所であるところが、他の事業所とは違う特徴です。

今後の話ですが、コミュニケーションだとか、ビジネスマナーとかそっちの方面の訓練にも力を入れて行きたいです。前に少しだけ行っていた事業所があるのですが、そこにSST(ソーシャルスキルトレーニング)があって。そういうのをもっと積極的に取り入れてみるとか、必要じゃないのかなと思っています。

──本日はお時間を頂き、ありがとうございました。

まとめ

今回取材をさせて頂いた八百萬屋さんは、地域そして、人と人との繋がりを大切に考え、障害があるなしに関わらず、地域の人たちと共に歩んでいく、そんな活動をされています。実際に私も、取材、見学を通して、増田さんの人の良さや、地域の人達との信頼関係を実感させていただきました。

興味のある方はぜひ、まちかどステーション八百萬屋へお問い合わせ下さい。

https://peraichi.com/landing_pages/view/yaoyorozuya

℡ 080-3865-4510

npo-asu.mks@sirius.ocn.ne.jp

障害者ドットコムニュース編集部

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