ハンドメイド雑貨を販売するB型事業所「ツナグ工房」、株式会社TSUNAGUの中村雄太代表取締役にインタビューしました

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ツナグ工房

大阪府東大阪市の就労継続支援B型事業所「ツナグ工房」では、主にオリジナル雑貨の制作や販売を行っています。商品であるガーランド(花輪・花冠)や鞄などの雑貨はハンドメイドとなっており、モノ作りに高い関心を持つ入所者が集まっています。

運営元である株式会社TSUNAGUの中村雄太代表取締役へ取材する機会を頂きましたので、インタビューを行いました。

就労継続支援の道に進んだきっかけ

――きっかけの部分を教えてください。

働ける障害者が多いというのは分かっていましたので、彼らが活躍できる場を作りたいと考えておりました。他の事業所を見せて頂くと内職が多い印象があったので、内職ばかりでない事業所を立ち上げようと決意したのです。

元々、高齢者住宅を紹介する居住型老人ホームの運営をしていました。そこで50代60代の精神障害者の入居相談から始まり、相談員の話からも20代30代で行き場のない人が居ることも聞いたのです。調べていく中でA型・B型・移行があると知ったので、働いたり訓練したりする場所があれば老人ホームに入らずとも自立した生活を送れるのではないかと考えました。実際はそこまで上手くいっていないのが現状ですが。

A型から始めるも利用者間の仕事バランスからB型へ

――就労継続支援について研究したうえで立ち上げたわけですね。

最初は半分勢いでA型事業所から始めました。しかし実際にやってみると、最低賃金を出さねばならない中で利用者ごとの仕事量の差を埋めるのが難しかったです。例えば、一生懸命働くと体力や精神力が続かず休みがちになる人や、一般就労でも通用する能力があるのに一歩先へ踏み出す勇気のない人が居ます。働ける利用者が働けない利用者の埋め合わせをする構造に対してよく悩みました。

雇用契約を結んで最低賃金を払う関係上、出勤率を気にしたり遅刻した人へ注意したりする必要があります。それを福祉と絡めた場合にどこまで許容すればいいのか、許容しすぎて真剣な利用者とのバランスが乱れやしないかは難題でした。個々の働きぶりによらず最低賃金で昇給も無いため、働ける利用者は最低賃金のまま上がらず、休みがちな利用者でも最低賃金は保障されています。

事業所はA型とB型の共存を挟みました。B型で頑張れている利用者をA型へ、ステップアップする構想があったのです。しかしB型で短時間から始める利用者を見て、A型の利用者は一般就労を目指す人とB型へ移りたがる人へ二分されました。働くほど損だと受け取られB型へ移りたいと言われることもありました。

とはいえB型でもよく働く利用者は(歩合制のため)工賃が7万8万へと達しています。B型利用者の一人はお客様からの信頼も篤く、サイズの融通が利いて事業所唯一の鞄職人と言っていい人間ですが、A型へ移るのは自由度の低下やプレッシャーの増大から嫌がっている様子でした。

いつしかA型の利用者も2人だけになり、募集してもこちらの求める基準と応募者の希望が合わなくなってきたので、思い切ってB型一本に絞った次第です。とはいえ工賃はある程度段階を刻んでおり、よく働いていれば最低賃金並みにまで上がるようにはしています。

事業所の強みは「作りたい」という人間が来ること

――絵や雑貨など斬新な分野で活動されていますね。

広い世間を見渡せば我々より優れた事業所はありますし、プロの芸術家に比べれば腕前もスピードも及ばないでしょう。まだ上がいることを実感させられます。ただ、芸術の高みを目指しているのではなく、社会の一部として溶け込んでいきたいという思いでやっています。自分たちのことをして周囲に受け入れられるかどうかを大事にしたいです。

国から補助金を受けて福祉サービスを行っている事業ではありますが、比較対象としては一般企業などを目標としていきたいです。

――事業所としてどういった点に強みを感じていますか。

自分たちが事業所として特別優れているだとか特殊な事業をしているなどと感じてはいません。ただ作ることの好きな人が集まっており、「B型に行けと言われたから」ではなく「ツナグ工房に通いたい」という利用者に恵まれていることは強みだと思います。利用者を集めるための活動(相談支援を回るなど)はしたことがなく、作品や実績を見つけた人が興味を持って訪れるパターンが多いです。

――相談支援に問い合わせるなら、ただ「人を紹介して欲しい」という事業所よりも「一緒にやりましょう」「いい関係を築きましょう」という事業所の方が誠実ですよね。

そうですね。相談支援員に言われたから来るというスタンスでは厳しいものがあります。ツナグ工房に通うならば、自分からモノ作りをしたいという気持ちがないと辛いのではないでしょうか。相談支援員から「この人はこういう作業が得意なので体験利用させてくれませんか」と紹介される形が多く、逆に内職だけがしたいという人は紹介されません。

――モノ作りや絵の好きな人がピンときたら来るという感じですか。

そういうスタンスでないと慣れない作業ばかり続く形になるでしょう。実際に「実は手作業が苦手」などで長続きせずに体調が悪化した人もいました。どんな人にも向き不向きはあるのです。

ツナグ工房には(作業内容に興味を持って)来たいという人が来てくださいます。B型作業所になってからは人を査定して選ぶことはしておらず、見学と体験を通して入所するか判断してもらう形式です。能力ではなく通所の意志があるかどうかが全てです。

事業所は社会進出の場

――どういった利用者に通ってもらいたいか等はありますか。

こちらから希望を大っぴらに出している訳ではありませんが、基本的には自分の意志で通う人が望ましいです。向き不向きは紹介する側が予め判断してくださいますので、希望する利用者像を絞る必要性は特にありません。

事業所としては、利用者には長く通って欲しい反面、早く次のステップへ移って欲しいという難しい矛盾を抱えています。国から補助金を頂いて運営する立場もありますし、元々就労支援とは一般就労へのステップアップという目的で生まれたものでもあるわけですから、社会進出への場としての働きは求められています。

利用者を5年も6年も抱え込むのではなく、社会へ参加し活躍できる人材を育てていかねばなりません。B型から次のステージへ進んでいくのが最も自然な形だと思っています。

――最後に今後の展望などを教えてください。

出来れば、焙煎工房を作りたいなと思っています。自家焙煎のコーヒースタンドは省スペースでコストもかからず、我々の収益モデルとしては理想的な形になると考えています。10坪くらいのスペースで気軽にコーヒーを頼めるカウンターに、奥で焙煎しているようなイメージをしており、個人的に好みのスタイルでもあります。

中村代表取締役、インタビューにお答えいただきありがとうございました。

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、
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