障害者雇用コンサルティング会社『FreeLabo』にインタビューに行ってきました!

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画像:Photo by Kevin Bhagat on Unsplash

今回は多様な人材の可能性の追求と、本当のダイバーシティ実現のために、障害者と企業、障害者と就労支援事業所を繋ぐ、障害福祉業界でフリーダムな人『FreeLabo』代表の宇野さんにインタビューを行いました。

事業について

──『FreeLabo』について簡単に説明お願いします。

フリーランスとして障害者雇用コンサルティングと、障害福祉サービスの就労支援事業所(就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)のサポートをメイン事業としております。障害者雇用コンサルティングは、企業の中で障害者雇用の仕組みづくりをしており、企業の法定雇用率の背景から障害者雇用をしなければいけないと分かっていても、「障害者の方にどう配慮して良いか分からない」「どの様な業務をしてもらって良いか分からない」と言う相談を受け、その企業の課題解決のサポートをしています。就労支援事業所サポートは、就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所が対象ですが、立ち上げのサポートから、利用者募集サポート、業務やカリキュラムの構成、S N S戦略まで、様々な角度から事業所のサポートをさせて頂いています。

──障害者雇用コンサルティングの中で障害者の方を採用される際に、ハローワークから直接採用するより、事業所出身者から採用されるのは、事業所出身者の方が自己理解も進んでおり、自分の障害の向き合い方を把握している人材が多いと言うことでしょうか?

はい、雇用されたから良いと言うことではなく、継続できないと本人もしんどいですし、企業側にも負担がかかります。例えば1ヶ月、2ヶ月で辞めてしまう様なミスマッチはお互いにとって良くないですよね。

知的障害の方や、精神障害の方の多くは、診断名が同じであっても個人個人で特性の違いが出てきます。その中で事業所に所属されている方は、第三者(支援員など)から得意・不得意に対する評価や、支援のカリキュラムを受講されているので、結果、自己理解も進んでいたり、基礎的なスキルを身につけている方も多いと感じます。1年間通して見たデータからでも、就労支援事業所から就職されている方が、6ヶ月以上の定着率が良いので、基本的には事業所から人材採用している理由です。

就労支援事業所サポート

次に「就労支援事業所サポート」についてです。主に、就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所です。私自身、就労移行支援事業所の立ち上げ経験があるので、事業所の立ち上げ方は知っています。そして、立ち上げて終わりではなく、事業所が運営していけるかどうかが重要で、運営については特に利用者の確保が重要です。そういった所もサポートさせて頂いています。

──つまり事業所サポートとは、「立ち上げ」「利用者紹介」「訓練内容の調整」と言うことですね。

利用者の紹介

利用者紹介は就労移行、就労継続A型、就労継続B型に対応しています。福祉サービス全体に言えることですけど、利用者がいないと運営維持できないサービス構造になっています。今であれば事業所の紹介をしているサイトなどがありますがあり、通所したい方が事業所検索して、良いと思った事業所に直接問い合わせして、見学に行ったり体験に行ったりします。逆に私の場合は、直接当事者や家族の方からS N Sなどで連絡があったり、知人・友人の方から「困っている人がいるので助けてほしい」などの相談を受けて、就労の場合は事業所と連携したり、その他の困りごとの場合はその領域の専門家と連携しサポートしています。

併せて、現在連携している病院がありまして、その病院・病棟に入院される方は難病等を抱えている方も多く、また二次障害で精神障害や知的障害を抱えている方も多くおられます。

そういった方が退院して社会に出るとなると、中々すぐには一般就労ができない現状、そして病院でも就労のところまでは専門的にサポートできないと言うことで、連絡を受けたら面談をして、事業所に繋いだりもしています。

実際にはそういった福祉サービスで相談支援事業所や役所の部署もありますが、やはりどのサービスでも良し悪しあり、相談支援事業所は同法人で就労移行や就労継続支援事業所を運営されている場合、そちらに無条件で斡旋される場合が実際にはあります。この仕組みはビジネス戦略においてはありだと思いますが、例えば「こう言う作業をしたい」とか「将来的にはこんな仕事に就職したい」「こう言う支援を受けたい」と考えている当事者が、無条件に紹介されてそちらを利用するケースも多々あり、事業所とのミスマッチを起こすこともあります。

それでは本人の選択肢が狭まること、他の事業所とも公平性に欠けると感じ、第三者的立ち位置で当事者支援できる様に、福祉サービスに則ってない形で私は事業展開しています。

決して全ての相談支援事業所がそうではないですし、利用者が回されていると言ったら語弊がありますが、囲い込みが行われている背景はあります。そう言うグレーな部分がある中で、当事者からするとそんなのは知ったこっちゃないですし、情報を自ら取りにいけない方は事業所を信じて通っています。私はできるだけ本人希望と効果的支援ができる事業所とマッチングをしたいと思い、全くしがらみのない状態で支援をしています。

障害者雇用コンサルティング

日本全体の人口の約7%の人が、何かしらの障害を抱えていると言われています。そう言った状況の中で、障害者の労働力を社会がまだまだ活かしきれていないと感じていて、多くの障害者の働き口も確保されていないです。障害者の雇用率(法定雇用率)も法律で民間企業は2.2%と定めた数字はありますが、算定企業の50%が達成できていない現状です。

障害者雇用をする上で企業側にもハードルがあって、障害に対しての知識がある専任担当がいれば、ある程度障害に理解はありますが、一般企業に必ずしも障害知識がある人がいる訳でもなく、全く分からない状態で雇用しなければならない状況で、障害者の方に何の業務をしてもらえば良いか分からない、指示の出し方が分からない、経営陣が雇用に前向きでも、対応するのは現場なので、現場で働いている人達が障害に対して理解できるかと言う課題があります。

そしてまだまだ障害者に対する固定概念もあり、その偏見を変えたいとアプローチはしていきますが、浸透はしていない状況で、本当に仕事ができるのかと言う考えが非常に強いと企業と接している中で感じ、そのため、障害者雇用をしなければいけないと思っていても、最初の一歩が踏み出せない企業が多いと思います。

このハードルを最大限下げるために考えて、現在、サービスリリースしているのが「CSプロジェクト」です。

CSプロジェクト

就労継続支援B型事業所では、月額工賃額も少しずつ上がってはいますが、1日4時間、月20日通所して作業をしても、全国平均16,000円程度の報酬です。この金額が高いか低いかと言うと圧倒的に低い金額だと感じています。そこをまず変えようと思い、株式会社シーアイ・パートナーズ様のサポートのもと、CSプロジェクトと言うモデルを作りました。

このCSプロジェクトはチャレンジドスタッフプロジェクトの略で、このサービス名にしています。

基本的には就労継続支援B型事業所とコラボする事業で、私達が間に入り、企業と事業所を施設外就労という仕組みを利用してマッチングすると言うモデルです。

従来であれば、企業から事業所へ業務を移して作業していることが多かったですが、施設外就労では、事業所から企業に出向き、企業の中で業務委託契約のもと作業をすると言う仕組みです。

現在は、大阪府堺市の企業と事業所をマッチングし2020年3月からスタートしていて、週5日、月〜金の実働3.5hで作業して頂いています。こちらの利用者1名あたりの1hあたりの工賃額は750円で、全国平均が150円〜200円に対して、約4倍近い工賃を実現しています。そして、利用者だけが企業にいくのではなく、毎日必ず1名は事業所の支援員が付き添いをしてサポートしており、支援員に関しては福祉サービスの一環で同行しているので、企業の派遣費用等は一切発生しません。

窓口は私(宇野)自身です。その理由は、企業と事業所が直接やりとりをしても良いのですが、事業所は事業所で支援に特化して欲しいのと、企業も福祉事業所の温度感が分からないなどのケースもあり、仲介役として間に入っています。 そして、受託金額の設定や業務に関してもコンサルティング的な立ち位置で企業と話をし、定期的に現場へ訪問、進捗状況や双方の課題のヒアリングなども行い調整も行います。

ビジネスモデルとしては、私は事業所から仕組み設計、調整、今後のサポートも含めて受託人数に応じていくらか費用を頂いています。ですが費用感も事業所は施設外就労をすることで事業所収益も増加するので、事業所が費用的に損をすることはなく、事業所の運営も向上させた上でのことなので、参入ハードルも低く設定しています。

そしてCSプロジェクトの最大の魅力は、今までの就労訓練以上にグラデーション式に障害者雇用を創出できることです。今回のモデルは施設外就労という企業から事業所への業務委託なので、企業の雇用ではありません。ですからこの時点では企業の障害者雇用率(法定雇用率)の算定はできていない状況ですが、例えば、A君、B君、C君が施設外就労に企業へ行っていて、A君がすごく業務に対して真面目で、業務の適性があると企業の現場の方や人事の方から一定の評価を頂いた場合は、1年程度を目処に企業から事業所を通して直接雇用のオファーをA君に対してできる内容にしています。そうすると、企業はA君を普段の業務適性や体調面等を見た上で雇用検討ができるのと、A君も雇用された際は同じ環境で、同じ業務で、同じメンバーと仕事をスタートできる安心感もあり、後の定着率も向上すると考えています。そして直接雇用された際、A君は雇用契約の上で仕事をするので、最低賃金以上の給与を受け取ることができ、自立に向けてまた一歩踏み出すことができます。

このモデルは、トライアル雇用に近いところがありますが、障害者本人の就労へのハードルを最大限下げることと、企業の雇用へのハードルを下げるモデルだと感じていまして、実際に企業内で就労するのでかなりリアルな就労訓練だと思います。後には雇用されたA君が自分の利用していた事業所の利用者をサポートできたり、次にこの仕組みで雇用された方の先輩として業務指示をしている可能性も十分にあり、雇用されてからのキャリアアップもイメージできるモデルです。そして、企業の障害者雇用を懸念する課題でもある、障害者が仕事をできるのかどうかという固定概念も変えていけると確信しています。

──一石二鳥ですね

企業からするとメリットは多く、最終的には障害者雇用もできる点と、労働力の確保ができる点です。企業は人材不足の場合は自社で求人掲載して募集をかけるか、人材会社へ依頼して派遣社員を入れたりはしますが、中々人材確保できない企業もあります。そこでCSプロジェクトは労働力の確保もできるので、誰も損をしない仕組みです。事業所も施設外就労から就職も生まれれば、就職実績もできますし、それを知ってまた事業所に人も集まります。

今までの就労継続支援B型で、利用者を囲い込んでいたケースもありますが、国も制度も変わってきている様に、これからはどれだけ効果的な支援をできるかに変化してきています。就労を生み出す支援が全てではないと思いますが、利用者に多くの選択肢を作り出すことが支援者として必要だと感じています。

どれだけ事業所内で訓練しても、やはり会社に入ると違うということは良くあります。机上の訓練だけでは埋められない部分は沢山あって、リアルな体験がものすごく大切と感じる中で、CSプロジェクトはそこを少しでも解消できるモデルだと感じています。

実際に独自で大手企業と事業所がコラボして、この採用まで仕組み形成しているところは全国に数カ所ありますが、一つのパッケージ化をして企業と事業所のハブになって横展開していく企業は私の知る限りではないので、再現性を高めて全国展開していこうと進めています。このモデルが広がり、障害者の労働力の証明と賃金・工賃の向上、企業の固定概念の払拭をしていければと思っています。

すでに3月からスタートしました堺市の企業では、数ヶ月が経過し順調に評価を頂いています。実際には数日で業務に対応できており、業務工程を一人で任されている方もいるほどです。実際に企業の現場担当者の方からは「全部指示を出さないといけないと思っていたが、その方の障害理解をしている支援員さんが同行してくれてるので安心です」や、「正直こんなに仕事ができると思ってなかった」などのお声も頂いております。もちろん進めていく中で課題も出てきておりますが、大きなトラブル等はなく、少しずつ改善に向けて事業所にも、障害者本人にも取り組んで頂いています。

質問

──企業から求められる人材とはどんな人でしょうか?

求められる人材としては、一番大きいと感じるのは「自分の障害を理解している」ということです。よく言われる自己理解とか自己覚知です。この理解のところは診断名がどうというより、自分自身どう言った時に困りごとが出てくるかで、自分の障害特性や配慮事項的なところです。そして、特性が出た際はどう対応しているかや、そうならないために普段からどうケアしているかが大きいと感じます。

正直、仕事のスキルに関しては、ワープロ検定を取得しているから就職できる時代でもないですし、特定の資格を取得したからと言って、専門業種ではない限り就職できる訳ではないです。私自身は一定のスキルは必要だと思いますが、業務スキルの大半はやっていく中で学べば良いと思っています。ですが大前提として働く上での自分の体調管理や、障害特性の理解ができないと、自分の限界も分からず無理してしまったり、配慮をお願いできなかったりするので、ここは必須だと思っています。

──企業とのミスマッチを防ぐためにどの様にされていますか?

ミスマッチを防ぐためにまずは就労支援事業所から人を募っています。最初に1時間ほど面談しますが、その人の全ては1時間では分かりません。例えば、障害によって躁鬱などが波のある方だと、躁の状態で面談をしたとして、そこで印象が良くても働いてから鬱が出て凄く気分が下がってしまうことも考えられます。となるのであれば、一定期間見ている事業所の評価と、本人がどういう所で躓いてしまうか、どういうスキルがあるかを事業所の支援員が一番知っているので、事業所の支援員から情報を貰うことが必要になってきます。一方で私が企業の情報を取りにいくので、そこでマッチングできるか判断しています。これがミスマッチを防ぐために行っていることです。

──面接だけでは分からないことが凄く多いですね

そうですね。これは障害者の方に限ったことではなく、全員に言えることで、初めましてで1時間話しただけでは、その人のこと100%理解することはできないですよね。

──『FreeLabo』を立ち上げた経緯を教えて下さい

障害者の方の支援をしようと思ったきっかけはいくつかあって、私は母子家庭で育ち、学童保育に通っていて、そこがものすごく楽しくて好きだったのですが、そこには障害を持っている方も何人かいて、当時は普通に一緒に野球をしたりして遊んでいて、何の違和感も感じなかったのですが、前職の人材会社で働いていた時に、求職者で様々な方が登録に来られていました。その中には障害者手帳を取得されている方もいて、話を聞いていくと業務スキルはあるのに、障害者というだけで無条件に不採用になる現実を目の当たりにし、そこから障害者の方はどこでどうやって就労しているのかを調べる様になり、その時に就労支援事業所などの存在を知っていきました。そこからその人材会社で新規事業として就労移行支援事業所の立ち上げをさせていただけることになり、ゼロから事業所の立ち上げ、そしてマネージャーとして運営管理や直接支援を1年半ほど経験させて頂き、もう少し幅を広げて支援したいと思い独立して、FreeLaboという屋号でフリーランスの道に進み、紆余曲折ありながら今に至ります。

おわりに

FreeLaboでは障害者雇用コンサルティングを始め、就労支援事業所の立ち上げから運営サポート、利用者の紹介、障害者の方の就労相談まで幅広く展開しています。また、事業所と企業を繋ぐ「CSプロジェクト」と言った新しい試みもしています。そして、2020年中に法人化する予定で、後には自社で障害者雇用をすることも視野に業務設計と、もっと沢山の方に情報が届く様に新しいサービスもリリースする予定です。これからも独自の立ち位置で、各事業所と協力し、一人でも多くの障害者人材の就労に対してサポートできる様に走り続けますので、応援とご協力宜しくお願いします。

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、
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