障害はどこまでオープンにすべき?~適切な自己開示

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障害者の共通の悩みとして「障害はどこまで開示するのか」というものがあります。特に、診断されて間もない方は、友人や知り合いにどこまで障害を開示するのか悩みやすいです。

そこで今回のコラムではADHDである私の経験を踏まえ障害の自己開示に関して書いていきます。

自己開示とは?

「自己開示」とは字があらわす通り、自分自身に関する情報をありのままに伝えるという意味です。障害者だけが使う言葉ではありませんが、一般の方よりは使う頻度が多くなると思います。

「障害を開示する」というのは、つまり「障害を包み隠さず他人に伝える」ということです。これは簡単そうに見えてとても難しく、特に友人や知り合いなどには伝えにくいと思います。また、自己開示をするとしても「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかは、答えが出ない難しい問題です。

自己開示するうえでの支障

ではなぜ、自己開示は難しいのでしょうか?

1番にあげられる理由としては「受けいれてもらえるかどうか不安」ということでしょう。

障害の有無に関わらず、誰しも人に何かを打ち明ける際には「受けいれてもらえるだろうか」「理解してもらえるだろうか」という不安があります。ましてや、障害を打ち明けるとなると余計に恐怖を感じてしまい、打ち明けにくくなってしまうのです。

また、何人かに打ち明けたけど、よくない結果に終わった経験がある人は、なおさら打ち明けにくくなります。

2つ目に「言葉として上手くまとめられない」という点があげられます。

一口に障害と言ってもその症状には様々なものがあります。例えば発達障害でも、ADHDやASD、LDなどいくつかの種類があり、さらにその中でも人によって症状や程度が異なります。

これらはしっかり自分のことを理解していないと、そもそも言葉にして伝えられない、言葉にできたとしてもしっかり伝わらなくなります。

最後に「そもそも自己開示する理由が分からない」というのがあげられます。

2つ目までの支障もあり、自己開示をする必要が分からない人も少なくありません。

もちろん、自己開示することのメリットはあるのですが、普通に生活しているとその意味には気付きにくいです。

自己開示をするメリット

では、ここで自己開示のメリットについて考えてみましょう。

おそらく、真っ先に思いつくのは「配慮をいただける」ということでしょう。

「障害」は基本的に「日常生活において支障をきたす症状」のことをさします。そのため、障害者は何かしらの配慮がないと支障をきたすことが多いです。

しかし、そもそも障害について他の人に知ってもらわないと、配慮はできません。そのため、自己開示をする必要があるのです。特に職場や学校においては支障がでやすいため、上司や教師には自己開示しておいた方がよいでしょう。

2つ目は「相手に自分を理解してもらえる」ことです。

障害について自己開示することで、自分を理解してもらいやすくなります。自分を理解してもらうことで、相手は障害を加味して物事や業務を頼んだり、話をしやすくなるのです。反対に、相手に自分のことを理解してもらえていない場合、自分に合わない業務や誘いが多くなったりしてしまい、ミスや失敗が多くなります。

できるだけ自分と他人の認識をあわせるためにも、自己開示は必要でしょう。

その他にも様々なメリットがあげられますが、基本的には「自分を知ってもらい、正しい付き合い方をする」ことができるというのが大きいです。そのため、付き合うすべての人に開示する必要はなく、日常や業務上、必要な人にだけ開示すればよいと思います。

「誰に」開示するのか

先ほども述べた通り、付き合う人すべてに開示する必要はありません。では誰に開示する必要があるでしょうか。

まず、最低限伝えるべきなのは「業務や作業などの指示を与える人」です。具体的には会社であれば上司、学校であれば先生などがあげられます。障害は一部の業務や作業に支障をきたすことがあります。指示を出す人がそのことを知らなければ、出来ない作業が回ってきてしまい会社や学校に迷惑をかける可能性があります。

さらに、障害が伝えられていなければ、指示役には障害の特性によるミスや失敗が、ただのミスや失敗に見えてしまいます。自分の評価を下げないためにも、上司や先生には必ず自己開示をしておきましょう。

続いて、親や友人などの「日常生活で関わりが多い人」にも伝えておくとよいと思います。

障害の多くは、日常生活にも支障をきたします。そのため、日常生活で関係の深い人に知らず知らず迷惑をかけている場合があります。そこで前もって伝えておくことで、相手は失敗やミスの理由が分かりますし、配慮もしやすくなります。

とはいえ親しい間柄の場合、伝えるだけでなく、できるだけ失敗やミスが少なくなるように対処をし、相手の悩みを聞いてあげるなど、こちらからも何かしらでお返しした方がよりよい関係になると思います。

これらの人は伝えていないと日常の上で大きく支障が出る人たちです。他にも職場の同僚、ある程度の仲の友人など様々な人があげられますが、無理に伝える必要はありません。普通に付き合う中で支障がありそうなら、伝える程度でよいと思います。

「何を」「どのように」自己開示するか

自己開示では、なにも自分の全てを伝える必要はありません。その人と付き合ううえで支障がありそうな部分だけを伝えればいいのです。

私のADHDを例に説明すると、職場には「聴覚過敏で作業で注意散漫になることがある」など、家族には「不注意が起きやすく、日課や支払いを忘れる」など、それぞれにおいて支障が出ることを伝えています。逆に多くのことを伝えすぎると向こうも疲れてしまうため、対処のできないことを「"どの症状"のせいで、"具体的にどんな支障"があるか」という形で"必要なもの"だけ伝えておきましょう。

また、伝え方に関してもいくつかのポイントがあります。

1つ目はあわせて「対処や配慮も伝える」ことです。

先ほどの私の例であれば「聴覚過敏なので耳栓をして作業をさせていただきたい」「日課や支払いを忘れていたら、声をかけてほしい」など具体的にしてほしいことを伝えています。ここを丸投げすると、相手もどこまで配慮すべきなのか困ってしまうため、確実に伝えておきましょう。

2つ目に「いい点もあわせて伝える」ことです。これは、マイナスなイメージだけを伝えてしまうと、相手は付き合いづらく感じてしまうためです。

例えば私は「耳栓をして集中できれば、人よりはやく作業できる」などのメリットもあわせて伝えています。特に就職などにおいては悪い点や配慮だけを伝えると、企業からは「取る価値が分からない」ため、あわせて障害だけでなく自分の魅力をアピールしましょう。

これらを意識することで、自己開示をおこなうさいに相手が理解しやすく、受けいれられやすくなるはずです。

おわりに

今回のコラムでは障害の自己開示について、私の経験をもとに考えを述べてきました。

とはいえ、要点が分かったからといって、すぐに自己開示はできないと思います。しっかり自己開示をおこなうためにも、まずは自分についてしっかり見つめ直し、言うべきことをまとめるところからはじめましょう。

中学生時代にパニック障害を発症。一度は回復したものの、社会人になって再度発症し、その際にかかった精神科にて、検査を勧められ、発達障害と診断されました。以降悪戦苦闘しながらも、社会に適応しようと奮闘中です。

趣味はゲーム全般で、最近はカードゲームに力を入れています。

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