統合失調症の寛解はどこにあるのか?闘病36年で辿りついた結論

統合失調症

画像: Unsplash mit Bulutが撮影した写真

統合失調症には、治癒という概念がありません。症状が安定した状態が続くことを寛解(かんかい)という言葉で表現します。しかし、寛解した筆者でも、ときどきは調子を崩すことがあるし、妄想や幻聴も完全にはなくなりません。一体どこからが寛解なのだろうという疑問を抱いたり、いつになったら寛解するのかと途方にくれたりすることがあるのではないでしょうか。このコラムでは、36年間統合失調症と付き合ってきた筆者が考える「寛解とはなにか」について持論を述べます。

統合失調症における寛解とは

まず前提として、寛解とは ”症状が継続的に軽減するか、症状が消失すること” と定義されています。「治癒」といわず「寛解」というのです。

再発する可能性はあるけれど、症状が安定しているという感じでしょうか。筆者の場合は、症状が消失したわけではありません。妄想や幻聴、不安感などの症状があります。

しかし今は、幻聴や妄想の症状が気にならなくなりました。「調子が悪いな」と感じるのは、たいてい幻聴や妄想ではなく、不安感が強く起きたときです。その不安感も、さまざまなことを試して軽減できるようになってきました。

筆者にとっての「寛解」

筆者にとっての寛解とは、幻聴や妄想があっても、生活に支障がない状態です。多少の不安感や憂鬱な気分があるのは、健常者でも同じ。不調が起こるのは仕方ないことだと考えています。筆者は現在も服薬しており、たまに調子を崩すのですが、おおむね問題なく生活ができるため、寛解していると思っています。

同じ統合失調症をもつ人々のなかでも、寛解についての考え方は分かれます。医師に寛解だと言われない限り寛解したとはいえない、薬を飲んでいるなら寛解とはいえないという意見も見聞きします。

筆者は、主治医に「寛解していますよ」と言われたわけではありません。就労継続支援B型事業所に週1日行くだけで、仕事に就くことはできていません。それでも、自分の現状は「寛解」だと思うのです。統合失調症をもっている以上、大きなストレスを受けたり、疲労が蓄積されたりしたときに、ひどい症状があらわれる可能性はあると考えています。ですが筆者の今の生活はとても充実しており、メンタルが安定しています。満たされているという感覚もあるので、自分はすでに「寛解」していると考えるのです。

寛解までの道のり

冒頭でもお伝えした通り、筆者は36年間統合失調症と付き合っています。16歳で発症し、現在の執筆中の時点で52歳になります。20代から40代前半までは、家で暴れたり怒鳴ったりしていましたし、気分の浮き沈みも激しく、生活のリズムもめちゃくちゃでした。45歳頃からは自宅に引きこもるようになり、その後、48歳で激しい幻聴と妄想が再発しました。

ですが、この頃から自主的に、さまざまな努力をするようになりました。大きなきっかけとなったのは「日光浴」です。統合失調症をもっていると、悪い者から監視されているとか、世の中の人から見られているという意識が強まって、部屋にこもりきりになったり、カーテンを閉め切ったりして生活することもあります。日光にほとんどあたらない生活では、脳内のセロトニンが減って気力や意欲が低下するといわれています。また、まるで世界がひっくり返ったように恐ろしく感じ、圧倒されるために、基本的な生活習慣が疎かになるということがあるようです。

筆者の場合、まずは手のひらだけの日光浴から始まり、徐々に顔や腕などに日を浴びるよう努力しました。すると不思議なことに、自然と外に出たくなって、散歩をするようになりました。やがて早寝早起きのリズムができて、睡眠の質もよくなりました。49歳で引きこもりを脱し、少しずつ外に出る習慣がつき始めます。そのうちに妄想や幻聴が気にならなくなり、51歳で就労継続支援B型事業所に入所、寛解という道のりで現在に至ります。

病気がよくなったきっかけは、体の健康やそのメカニズムなどに関心を持つようになったことが大きいように思います。生活リズムを整えて、毎日睡眠をしっかりとり、必ず心身を休めること。こんな、基本的で当たり前のようなことが、以前はまったくできていなかったのです。もちろんそれも、個人の努力不足や怠慢のせいではなく、病気の影響によるところが大きかったのだと思います。

まとめ

筆者が寛解したのはまだ3年くらいなので、少々説得力に欠けるかもしれません。しかし、今後、5年、10年とメンタルが安定して暮らす自信があります。ときには調子を崩しますが、不調の波がやってくるスパンがどんどん短くなっているのです。

以前は1日中、朝から晩まで調子が悪かったのが、今では散歩に出かけたり、図書館へ勉強しに行ったり、事業所へ通ったり、こうして執筆をしたりできるようにまで変化しました。まずは、基本的な規則正しい生活を送れる状態になることが、寛解への第一歩かと思います。幻聴や妄想は、気にならなくなるときがきます。寛解は必ずやってくると信じてほしいです。


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モンゴロイド

モンゴロイド

1971年生まれの52歳。北関東在住。高校を2校中退し、30年前に閉鎖病棟へ2ヶ月間入院。現在は病気の症状も落ち着き、物書きの端くれとして電子書籍の執筆を6年間継続中。

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