迫害と感情論を正当化する、オリジナル生物学の氾濫

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人体の進化(アップデート)は現代社会に適応しておらず、大きく遅れています。現代の価値観に則してアップデート出来ているならば、男性ホルモンが薄毛を引き起こすこともない筈です。脇や耳などにあるアポクリン汗腺などは時代遅れの最たるもので、大昔はフェロモンを分泌する部位だったそうですが、ヒトへ進化する頃には既に不要となっており、ただワキガの原因になっているだけです。

人体には無駄や非合理的な部分が少なからず存在します。それでも平均寿命は上がっているので、人体はうまく出来ていると勘違いされるのも仕方のない事でしょう。人体や心理が完全かつ合理的という誤った前提のもとで幅を利かせているのが、「オリジナル生物学」です。

「オリジナル生物学」は、本来の生物学とは無関係かつ逸脱した存在でありながら生物学の名を借り、単なる感情論に偽りの学術的権威を着せる迷惑な論理です。本職の生物学者からも、都合のいい時だけ生物学の名を騙る存在は害悪として認識されています。そんな迷惑千万な「オリジナル生物学」の言い分を幾つか取り上げてみましょう。

「子孫を残せない“劣等種”は淘汰されるべきだ」
交配して子孫を残すのが生物の使命である以上、それを遂行できない者は“劣等種”として淘汰されるべき…という言い分です。何をもって“劣等”と見做しているかは無駄に様々ですが、遺伝・子孫・モテといった要素が「オリジナル生物学」にとってのメインフィールドであることはほぼ共通しています。そして、「オリジナル生物学」の中では“劣等種”への迫害は自然淘汰の働きとして許されるべきとされています。

「“キモい”“生理的に無理”は防衛本能」
「オリジナル生物学」を嗜む女性によくある言い分ですが、「キモい!」「生理的に無理!」と酷薄なまでに男性を面罵するのは“防衛本能”ゆえに仕方ないのだそうです。言われる側のトラウマは性犯罪にも匹敵し、異性への恐怖感さえ植え付けられるのですが、なぜか「弱い男の方が悪い」という論調になりがちですね。これもまた「オリジナル生物学」の傾向でしょうか。そもそも、その言い分だと「私は本能に忠実で理性のタガが機能しません!」と公言するに等しいのですが、それも理解しているのでしょうか。

「弱い者、異質な者を排除するのは本能だから仕方ない」
さっきと被りますが、「オリジナル生物学」において差別やいじめといった大々的な迫害は、本能によるものであるため仕方がないそうです。やれ防衛本能だの、やれ集団を守るためだの、原始時代から続いているかのように語っておりますが、単に発言者がどこまでも本能に忠実なだけでしょう。同じ口で「知的障害者は性欲に忠実だから常に性加害リスクがある!」などとヘイトをぶちまける手合いも見受けられますが、差別の本能とやらに忠実なのはノーカウントでしょうか。

このように、まるで特殊詐欺のかけ子が警察や銀行などの権威を偽るように、ヘイトじみた感情論に偽りの科学的根拠をコーティングするのが「オリジナル生物学」のあり方です。要は「自分の信条は人倫を逸脱した過激思想などではなく、何らかの学術的正しさに基づいた正論である」と思い込みたいだけの“弱者らしい”思考パターンに過ぎない訳ですね。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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