感染症あつかいされる精神疾患
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出典:Photo by Julien de Salaberry on Unsplash
著名な芸能人などの奇行や不祥事で、精神疾患が話題になることが少なくありません。他にも凶悪な犯罪者が、心神耗弱により執行猶予判決になった場合なども、よく話題に上がります。
それはテレビや新聞のみならず、SNSなどで一般人が交わす日常的な話題のレベルになっています。
わたしがそういったSNSを眺めていて感じたことは、やはり精神疾患や障害者は「バイ菌」のような扱いなのかな、というところです。
共鳴すれど、感染せず
わたしは精神疾患は「共鳴する」ものだと思っています。同じような悩みを持つもの同士が触れ合うことは、弱ったものが身を寄せ合うこととして安心できる状態になったりします。ですが、同時に共倒れの危険も孕みます。
マイナスの思考とマイナスの思考がぶつかり合って、最悪の場合は心中するようなケースもあります。精神疾患を抱える人に健常者が触れあうことで、精神的に影響されて、落ち込むことがあったり同じような病気になる場合もあると思います。
ですがこれは「感染」というものではないと思います。
なぜこのようなことを考えたかというと、とあるSNSの投稿に「この○○(被疑者)が居たところに行くと精神病に感染するぞ」といった書き込みがあったからです。
もちろん精神疾患は他の一般的な感染症、インフルエンザや風邪のように空気を綺麗にしたりアルコール消毒をして感染拡大を防ぐものではありません。障害者が座っていた席に座ると障害がうつるといった旨の表現をされていることに大きな違和感を覚えたのです。
受け入れられない社会
日本だけでなく世界的に見ても、トランスジェンダーや同性愛などのようなLGBT系の多様性に関して、許容する環境ができつつあると思います。それぞれが好きなものをハッキリと好きと言える環境になってきています。
身体障害や知的障害に関しても、パラスポーツ選手や音楽、アートの世界で活躍される方がメディアでも多く取り上げられ、世間的な認知度も上がってきていますし、応援の声もよく耳にします。
では精神障害はどうでしょうか?
わたしの目にする狭い世界のことが基準になってしまいますが、やはりまだ「キチガイ」や「メンヘラ」といって爪はじきにされているように感じます。また、今でも変わらず「うつは甘え」などの言葉も目にします。
認知の差
この障害の種類によって起きる温度差のようなものは、それぞれの障害がどのような悩みを抱えているかの認知度の違いだと思います。
なんだかんだいってもオールドメディアが大声で取り上げてきた身体障害や知的障害、ジェンダー障害に関しては、健常者の間でもしっかりと認知されており、どのように苦労しているか、街中で困っていたらどう協力すればいいかなどが共有されていると思います。
ですが、精神障害に関してはずっと犯罪者予備軍のような扱いを受けている状態です。もしかすると、これもメディアが犯罪者の精神鑑定などを仰々しく取り上げることで操作されているのかもしれませんが……
おわりに
まずは「精神障害は物理的に感染するものではない」と、ごく当たり前のようなことが周知されてほしいなと思います。
心の病気であり、脳の病気である精神障害。アルコール除菌で防げるのなら、防ぎたいものです。