「与えられる笑いより、追いかける笑い」の思考に秘められた危険性

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Photo by Ion Fet on Unsplash

芸人のギャグで笑わない原因は色々ありますが、その中に「与えられる笑いよりも、追いかける笑いの方が面白い」というものがあります。なんでも、笑いのプロから与えられる笑いには“作為”があり、心から笑えるものにはならないとのことで、それよりは笑わせるつもりのない人の方が本質的な面白さを備えているという言い分です。

観客を笑わせる為の芸事に笑いを見出せず、本人に笑わせる意図がないからこそ面白いと豪語し、笑わせるプロより笑われる素人ばかり追いかけている、そんな状態。これは相当危ない思考といえます。

なぜならば、行き着く先は自分以外の全てを見下して悦に浸る冷笑系だからです。まずはダーウィン賞などのしくじりコンテンツを追いかけ「世界各地のバカの話」を笑います。それに飽きると、次は一般人が撮影した奇行やジャンルを問わない炎上沙汰を追いかけるようになります。同時に「自分はこんなバカにならない、なるわけがない」と思い込み、自身の行動力やチャレンジ精神を削ぎ始めます。

炎上追っかけにも飽きてくると、今度は「○○のファンはバカだ」「××の追っかけは脳に障害を抱えている」と他人の趣味や嗜好を攻撃するコンテンツにハマっていきます。そこからシームレスに、層や属性への攻撃や分断煽りもまた好むようになります。結果、自分は実質何もしないでネット上で他者攻撃や喧嘩のログばかり探して悦に浸る冷笑系の出来上がりです。全ての冷笑系がこの経緯でなるとは限りませんが。

どんな芸人のあらゆるネタでも無理に笑えという訳ではありませんが、もし「芸人がつまらない」「笑わせる意図を感じると冷める」となっているのであれば気を付けた方がいいです。何かしらの小さな、しかし危険な兆しが「笑えない」という形で出ているのかもしれません。冷笑系に成り果てる以外にも様々なリスクが、笑いのツボの劣化には潜んでいます。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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