障害をカミングアウトしてみる

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出典:Photo by Aleksandar Jason on Unsplash

学生のころ、私は障害を隠し続けていました。私は「吃音症」と呼ばれる、言葉を円滑に話せない障害があります。自覚し始めたのは小学校3年生のころだと思います。そこから大学を卒業するまで、家族や学校の先生以外にはカミングアウトできませんでした。(伝えていなかっただけで、何かしらの障害があることには気づいていたかもしれません)隠していた理由は、自分自身「障害を持っている」ことを認められなかったからです。

学生時代の苦労

私は障害ではなく「言葉を噛む」と勘違いされやすいため、よくからかわれました 。そのせいで、苦労することがたくさんありました。例えば、音読や発表などの人前で話をしなければいけない場面です。障害があることを開示していないので、周りの人は普通にできると思っています。しかし、私は普通に話すことが出来ません。そのため、不思議に思われたり、からかわれることが怖かったです。ときには、授業を欠席し回避することも。それでも、勇気を出し挑戦することもありました。しかし、ほとんどうまく話せませんでした。実際にからかわれることもあり、回避したとしても、回避したことに対して罪悪感にさいなまれました。

困ったことはたくさんありましたが、学生生活を送る上ではなんとかやり過ごせていました。

しかし、就職活動を行う時期になり問題が発生しました。就職先を決めるさいに、障害を考慮して職種を決めるか悩みました。悩んだ結果、症状のことを一切考えずやりたい職種を目指したのです。「これまで隠してこれたので、これからも大丈夫」という甘い考えがありました。

面接では自分の障害について一切話さず、隠し通しました。苦労はしましたが、希望していた職種に就くことが出来ました。

働き始めて

就職してからは苦労の連続でした。毎日、周りに気が付かれないように必死になっていました。入社したばかりで、覚えなければいけないことはたくさんあります。しかし、頭の中は症状を隠すことでいっぱいでした。そのころは、仕事をするよりも障害に気が付かれないようにすることに必死になっていたのを覚えています。誰かに相談したくても、面接で伝えていないので、相談することに抵抗がありました。

その結果すぐに退職してしまったのです。

障害をカミングアウトしてみて

退職後、「今の状態で就職しても同じことを繰り返す可能性が高い」と考えて就労移行支援事業所に通所し始めました。まずは、症状を開示することに取り組みました。開示することで、相手が理解してくれているという安心感が生まれたのです。その安心感のおかげで、人前に立っても不思議に思われることや、からかわれるかもしれないという怖さが少なくなりました。また、開示することで相手に症状の印象について確認することができるようになりました。実は症状が出ても相手は気が付いていないこともあったのです。

まだ、完全に自分の障害を認めたわけではありません。しかし、障害を開示することと、隠し続けることを比較した場合、私は開示することの方がメリットが大きいと感じました。そこで、今後は出来る限り症状を伝えて行きたいと思います。

おわりに

少し話はそれますが、からかわれたのは、自分が障害を隠していたことにも少しは原因があると思います。隠さず伝えていれば、違ったかもしれません。周りも協力してくれたかもしれません。私は「障害を隠しているのに理解してほしい」というわがままな考えをしていました。もちろん「知らなかった」で済ませて欲しくないですし、目に見えない障害に対する理解は進んで欲しいと思います。しかし、障害者からの情報発信も大切だと気が付きました。

障害をカミングアウトすということは非常に勇気いります。もし、障害を隠すことに限界を感じている人や、話すか迷っている人はカミングアウトを考えてみてはいかがでしょうか。考えてみてメリットが大きければ、隠さずに話したほうが仕事や生活がしやすくなるはずです。

えんぴつ

えんぴつ

小学生のころから吃音症を持っています。吃音症を隠さず話す事を目標にしています。

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